ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ネ)10027等 損害賠償本訴請求、使用差止め等反訴請求控訴、同附帯控訴事件
| 裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和8年10月7日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 被控訴人須崎市
株式会社クリーブラッツ |
| 法令 |
著作権 著作権法63条3項5回 著作権法83条2項2回 民法550条2回 著作権法63条1項1回 著作権法61条2項1回 著作権法112条1項1回 民法709条1回 民法597条3項1回 民法594条1項1回 商標法19条1回 |
| キーワード | 許諾128回 侵害15回 商標権10回 損害賠償4回 差止3回 ライセンス2回 無効1回 |
| 主文 | 1 控訴人の本件控訴を棄却する。 2 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文第1、2項を次のとおり変更 3 訴訟費用(控訴費用、附帯控訴費用を含む。)は、第1、2審、本訴反 4 この判決は、第2項⑴に限り、仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 | 1⑴ア 本訴は、「ちぃたん☆」という名称のキャラクター(キャラクターちぃ たん)を使用する被控訴人が、控訴人による被控訴人の取引先への通知及 び控訴人代表者の記者会見における発言等(本件被告行為)は、不競法2 条1項21号所定の不正競争に該当し、不法行為に該当するなどと主張し て、控訴人に対し、主位的に民法709条、予備的に国賠法1条1項に基 づき、4316万7379円(損害金2228万円、逸失利益1695万 7379円、弁護士費用393万円)及びこれに対する令和3年8月20 日(不法行為後の日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である。 |
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令和8年10月7日判決言渡
令和7年(ネ)第10027号、同年(ネ)第10054号 損害賠償本訴請求、
使用差止め等反訴請求控訴、同附帯控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和3年(ワ)第18479号、令和5年(ワ)第701
36号)
口頭弁論終結日 令和8年7月8日
判 決
控訴人兼附帯被控訴人 須 崎 市
(以下「控訴人」という。)
同訴訟代理人弁護士 中 田 祐 児
同 小 泉 博 嗣
同 島 尾 大 次
同 益 田 歩 美
同 白 木 裕 一
被控訴人兼附帯控訴人 株式会社クリーブラッツ
(以下「被控訴人」という。)
同訴訟代理人弁護士 竹 澤 克 己
同 伊 達 雄 介
同 須 嵜 由 紀
主 文
1 控訴人の本件控訴を棄却する。
2 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文第1、2項を次のとおり変更
する。
⑴ 控訴人は、被控訴人に対し、1887万7802円及びこれに対す
る令和3年8月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支
払え。
5 ⑵ 被控訴人のその余の本訴請求を棄却する。
3 訴訟費用(控訴費用、附帯控訴費用を含む。)は、第1、2審、本訴反
訴を通じてこれを10分し、その7を控訴人の負担とし、その余を被控
訴人の負担とする。
4 この判決は、第2項⑴に限り、仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴及び附帯控訴の趣旨
1 控訴の趣旨
⑴ 原判決を次のとおり変更する。
⑵ 被控訴人の本訴請求を棄却する。
⑶ 被控訴人は、原判決別紙「原告著作物目録3」記載の各写真若しくは原判決別紙「原告イラスト目録」記載の各イラストを付し、又は、これらの外観を備えた原判決別紙「物品目録」記載の物品を頒布してはならない。
⑷ 被控訴人は、原判決別紙「原告著作物目録2」記載の着ぐるみ又はその複製物を用いて、各種イベントを開催し、又は、広告宣伝、販売促進活動を行ってはならない。
⑸ 被控訴人は、原判決別紙「原告著作物目録2」記載の着ぐるみ又はその複製物を撮影した動画、又は、原判決別紙「原告イラスト目録」記載の各イラストを使用したアニメーションを放送し、自動公衆送信し、送信可能化し、又は、上映してはならない。
⑹ 被控訴人は、原判決別紙「原告著作物目録3」記載の各写真若しくは原判決別紙「原告イラスト目録」記載の各イラストを付し、又は、これらの外観を備えた原判決別紙「物品目録」記載の物品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは、電気通信回線を通じて提供してはならない。
⑺ 被控訴人は、各種イベントの企画・運営又は開催、広告宣伝、販売促進活
5 動において、原判決別紙「原告著作物目録2」記載の着ぐるみ又はその複製物を使用してはならない。
⑻ 被控訴人は、原判決別紙「原告著作物目録3」記載の各写真若しくは原判決別紙「原告イラスト目録」記載の各イラストを付し、又は、これらの外観を備えた原判決別紙「物品目録」記載の物品を廃棄せよ。
⑼ 被控訴人は、原判決別紙「原告著作物目録2」記載の着ぐるみ及びその複製物を廃棄せよ。
⑽(主位的請求)被控訴人は、控訴人に対し、2695万円及びうち770万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員、うち1925万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。(予備的請求)被控訴人は、控訴人に対し、2090万円及びうち165万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員、うち1925万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
⑾(主位的請求)被控訴人は、控訴人に対し、2450万円及びうち700万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員、うち1750万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。(予備的請求)被控訴人は、控訴人に対し、1900万円及びうち150万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員、うち1750万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで年3%の割合による金員
5 を支払え。2 附帯控訴の趣旨
⑴ 原判決中、被控訴人敗訴部分を取り消す。
⑵ 控訴人は、被控訴人に対し、3530万5032円及びこれに対する令和3年8月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略語は原判決の例による。)
1⑴ア 本訴は、「ちぃたん☆」という名称のキャラクター(キャラクターちぃたん)を使用する被控訴人が、控訴人による被控訴人の取引先への通知及び控訴人代表者の記者会見における発言等(本件被告行為)は、不競法2条1項21号所定の不正競争に該当し、不法行為に該当するなどと主張して、控訴人に対し、主位的に民法709条、予備的に国賠法1条1項に基づき、4316万7379円(損害金2228万円、逸失利益1695万7379円、弁護士費用393万円)及びこれに対する令和3年8月20日(不法行為後の日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。イ 反訴は、「しんじょう君」という名称のキャラクター(キャラクターしんじょう君)を使用する控訴人が、キャラクターちぃたんを使用する被控訴人の行為は、① 控訴人が著作権を有する著作物(しんじょう君オリジナル)に係る控訴人の翻案権を侵害するとともに、二次的著作物(ちぃたんイラスト、ちぃたん着ぐるみ、ちぃたん着ぐるみ写真)に係る控訴人の複製権、譲渡権、公衆送信権及び上映権を侵害する、② 控訴人が有する原判決別紙「商標権目録」記載の商標権(本件被告商標権)を侵害する、
③ 不競法2条1項1号、2号所定の不正競争に該当するなどと主張して、被控訴人に対し、著作権法112条1項、2項、商標法36条1項、2項、不競法3条1項、2項に基づき、侵害の停止、及び、侵害の行為を組成した物の廃棄を求めるとともに、選択的に、① 不法行為に基づき、(主位
5 的請求)2695万円(損害金2450万円、弁護士費用245万円)及びうち770万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金、うち1925万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金、(予備的請求)2090万円(損害金1900万円、弁護士費用190万円)及びうち165万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金、うち1925万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を、② 不当利得返還請求として、(主位的請求)2450万円及びうち700万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による利息、うち1750万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による利息、(予備的請求)1900万円及びうち150万円に対する令和2年3月31日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による利息、うち1750万円に対する令和5年2月28日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による利息の支払を求める事案である
⑵ 原審は、① 本件被告行為は、不競法2条1項21号所定の不正競争(営業誹謗行為)に該当するなどとして、被控訴人の本訴請求を、国賠法1条1項に基づき損害賠償金786万2347円及び遅延損害金の支払を求める限度で認容し、②⒜ 控訴人は、被控訴人に対し、キャラクターちぃたんが独自に商業活動をすることについて黙示に許諾していた(以下、これを「本件許諾」という。)、⒝ 本件許諾に係る錯誤無効、詐欺取消しは成立しない、
⒞ 本件許諾に係る合意が解除されたとはいえないなどとして、控訴人の反訴請求をいずれも棄却した。控訴人は、原判決中、控訴人敗訴部分を不服として控訴を提起し、被控訴人は、控訴人に対して4316万7379円及びこれに対する令和3年8月
5 20日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で附帯控訴を提起した。2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正ないし補充し、3のとおり当審における当事者の追加主張、予備的主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」の2から4(原判決8頁7行目から63頁8行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決19頁11行目から12行目にかけての「番号6枝番3の表現によって告知又は流布された内容は、意見ないし論評であるから」を「番号6枝番3の表現によって告知又は流布された内容は、意見ないし論評であり、番号7の本件コメント発出行為(甲84、85)は、テレビ東京による放送中止を受けた主観的、法的な見解の表明であるから」に改める。
⑵ 原判決21頁11行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 控訴人は、仮に本件許諾をしたとしても、これは地方自治法96条1項10号所定の「権利を放棄すること」に該当し、議会の議決がなければ効力を生じない旨の主張をするが、本件許諾は「権利を放棄すること」に該当するものではないし、仮に該当するとしても、議会の議決がないことにより直ちに契約の私法上の効力が否定されるわけでもない。」
⑶ 原判決21頁17行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 また、著作権法61条2項、63条2項、83条2項等の趣旨に加え、著作権が排他独占的な権利であることに照らすと、著作物の利用の許諾については、原則として、その期間や条件を含め明示の意思表示を要するというべきであり、特に、本件のような包括的、かつ、無償、無条件、無制限の利用の許諾や、二次的著作物の利用の許諾については、明示の意思表示が強く求められるというべきである。」
⑷ 原判決22頁4行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 Aは、被控訴人が、ちぃたん着ぐるみを製作し、キャラクターしんじ
5 ょう君や須崎市のPRのため、ちぃたん着ぐるみを須崎市観光大使委嘱式に出席させたり、これに関連する活動をしたりする程度であれば、控訴人から許可を取得する必要はないと考えて、その旨の回答をするよう指示し、その結果、「しんじょう君を製造する訳ではないので須崎市としては特に許可は必要ございません。」と記載された平成29年11月8日付けのメールがBに送信されたにすぎない。地方公共団体であり、しかも、平成29年9月8日に本件被告商標権の設定登録を受けたばかりである控訴人が、稟議や決裁を経ることなく、公有財産(キャラクターしんじょう君に係る知的財産権)について、無償、無条件、無制限で、商標法、不競法上の一切の権利行使を否定する内容の利用の許諾をすることはあり得ず、著作権等を取扱う事業者である被控訴人においても、上記メールにより利用の許諾を得たと認識するはずはない。また、仮に本件許諾をしたとしても、これは、控訴人がキャラクターちぃたんについて有する著作権、商標権及び不競法上の一切の権利行使を否定するものであり、権利を放棄するに等しいことから、地方自治法96条1項10号所定の「法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること」に該当し、議会の議決がなければ、その効力を生じない。」
⑸ 原判決22頁6行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 控訴人は、被控訴人に対し、直ちに侵害の停止等を求めていないが、これは、著作権の知識が不十分であったことや、いわゆる「ご当地キャラ」については、相互の信頼関係に基づき、オリジナルキャラクターに寄与する「派生キャラ」(オリジナルキャラクターの管理主体の許諾を得て、そのキャラクターを元に、新たに創作されたキャラクター)等の活動を了解するのが通常であったこと、カワウソちぃたんに須崎市観光大使を委嘱して間がなく、被控訴人が須崎市のPR活動を行うことを期待して推移を見ていたこと、
5 控訴人は地方公共団体であり、意思決定の手続に時間を要したことによるものであり、黙示の利用の許諾があったことを裏付けるものではない。」
⑹ 原判決32頁10行目の「原告の行為は」を「原告の行為は、① 商標権は存続期間の更新登録の申請をすることにより半永久的に存続し、著作物について商標権の設定登録がされると、著作権者の著作権行使に重大な影響が及ぶこと、② 海外における商標登録についても、著作権者の利益に対して極めて重大な影響が及ぶことに照らすと」に改める。
⑺ 原判決33頁4行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 そして、被控訴人は、控訴人において、ちぃたん着ぐるみの危険な行為を撮影した動画を投稿するのは許諾条件違反であり、控訴人と被控訴人との信頼関係を破壊するものである旨の主張をした令和5年3月24日以降も、従前と同様の、あるいは、より危険な行為を撮影した動画を投稿することを繰り返している。」
⑻ 原判決33頁9行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 控訴人は、キャラクターちぃたんの動画の投稿について、視聴者、市民等から多数のクレームや批判を受けた際、被控訴人に対し、可能な限りの助言をし、事態の鎮静化に努めているが、これは須崎市観光大使委嘱の目的を達成するためであり、被控訴人の行為を容認したものではない。」
⑼ 原判決33頁10行目の「原告による本件本訴の提起は」を「被控訴人が本件訴訟を提起したことや、キャラクターちぃたんの無償、無条件、無制限の使用に固執して、控訴人との協議に誠実に応じなかったことは」に改め、12行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「(カ)被控訴人は、キャラクターちぃたんを、仮想通貨や、マッチングアプリ、「中野駅前大盆踊り大会前夜祭」(通称「ピンク盆踊り」。ピンク盆踊りの開催について、中野区長は、公序良俗に反する内容を想起させる演目等が含まれ、許可条件に反するとして、大会実行委員会に抗議している。)
5 のチラシに使用するなどしてきた。これらは、キャラクターちぃたんの須崎市の「ご当地キャラ」としての役割を果たすものでないのみならず、キャラクターしんじょう君とキャラクターちぃたんとの間で誤認混同を生ずることにより、控訴人やキャラクターしんじょう君のイメージを著しく低下させるものである。」
⑽ 原判決33頁13行目の「(カ)」を「(キ)」に、16行目の「前記(ア)ないし(オ)の事情にかんがみれば」を「前記(ア)ないし(カ)の事情に加え、被控訴人が著作権法に違反して再許諾していることも併せ考慮すると」にそれぞれ改める。
⑾ 原判決33頁19行目から20行目を次のとおり改める。「 控訴人は、平成31年1月19日到達の内容証明郵便(本件被告通知)、令和元年7月8日到達の本件仮処分事件における同日付けの「主張書面⑽」、令和2年1月28日到達の内容証明郵便、同年6月1日到達の内容証明、令和5年11月8日の原審第5回弁論準備手続期日に陳述した同年6月30日付け「補正書」、及び、令和7年7月17日の当審第1回口頭弁論期日に陳述した同年5月30日付け「控訴理由書⑶」により、被控訴人に対し、前記ア及びイの許諾条件違反及び信頼関係破壊を理由として、本件許諾を解除する旨の意思表示をした。」
⑿ 原判決34頁8行目から9行目にかけての「被告が原告に対してキャラクターちぃたんに関連する商標登録出願をしないように求めていたことはない。」を「被控訴人は、キャラクターちぃたんを制限なく自由に使用できることを想定していたところ、控訴人は、これに異論を述べず、キャラクターちぃたん単体で自由な商業活動を行うことを容認していたのであって、控訴人が商標出願をしないよう求めていた事実はない(キャラクターちぃたんとキャラクターしんじょう君は、デザインが異なり、別個に商標権の設定登録を受けているのであって、被控訴人が商標権の設定登録を受けたことによっ
5 て、控訴人の権利に重大な影響が及ぶことはない。)。」に改める。
⒀ 原判決34頁17行目の「そして、」の次に「被控訴人は、ちぃたん着ぐるみを使用した動画を撮影する際、事故等が発生することのないよう適切な準備をしていたのであり、現に、着ぐるみ内のアクターについて、トラブルや事故は一度も生じていない。」を加え、18行目の「低下させるものではないし」を「低下させるものでも、それぞれ別個に活動しているキャラクターちぃたんとキャラクターしんじょう君との間で誤認混同を生ずるものでもないし」に改める。
⒁ 原判決34頁22行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 控訴人は、本件被告通知の送付前、被控訴人との間で、何らの協議も調整も行っていない。被控訴人は、本件被告通知の送付を受けた後、控訴人に対し、一貫して話合いによる解決を求めたが、控訴人は話合いをすること自体を拒絶し、本件仮処分事件における裁判所の和解の勧試にも応じなかった。被控訴人は、控訴人が、本件仮処分事件において、黙示の利用の許諾があったと判断された後も、被控訴人に対し、被控訴人によるキャラクターちぃたんの使用を著しく制限する条件を提示し続けたことから、本件訴訟を提起するに至った。」
⒂ 原判決34頁25行目から35頁1行目までを次のとおり改める。「 控訴人の主張する全ての書面に、許諾条件違反及び信頼関係破壊を理由として、本件許諾を解除する旨の意思表示を含有する旨の記載があるわけではない。」
⒃ 原判決35頁11行目から15行目までを次のとおり改める。「 知的財産権に係る権利行使の一環として、その侵害があった旨を告知する行為は、正当な行為であり違法性が阻却されるところ、フジテレビ及びテレビ東京は、被控訴人と共に、控訴人の知的財産権を侵害した者であり、フジテレビ宛書面送付行為及びテレビ東京宛書面送付行為は、いずれも知的
5 財産権に係る権利行使の一環としてされたものであるから、その違法性は阻却されるというべきである。また、本件定例会見資料配布行為、本件定例会見スライド配布行為及び本件定例会見発言行為は、地方公共団体としての説明義務に基づく正当な行為であるから、同様に違法性は阻却されるというべきである。」
⒄ 原判決35頁18行目の「あえて無視し、」の次に「従前の経緯について必要最低限の事実確認を行うことなく被控訴人の行為が」を加える。
⒅ 原判決39頁22行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 控訴人は、本件許諾をしたとは認識しておらず、被控訴人による動画配信によりキャラクターしんじょう君の価値、信用が毀損されていたことから、著作権侵害等を理由に危険行為の中止及び商業的利用の中止を求めたにすぎない。また、キャラクターしんじょう君の利用を許諾するか否か、その許諾範囲等は、控訴人によって決定されるのであるから、本件被告行為を行うに当たり、控訴人に従前の経緯等について調査する義務はない。」
⒆ 原判決40頁21行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 控訴人によるフジテレビ宛書面送付行為により、CMの放送が中止となったことを踏まえると、1回目の放送分に係るものを含む全てのCM出演料の支払を受けることが社会通念上不可能であることは明らかである。」
⒇ 原判決42頁20行目末尾に「そして、ブランチアウトとの商品化許諾契約から長期間経過した現時点において、ドン・キホーテ向け販売商品企画を実現するのは社会通念上不可能である。」を加える。
(21) 原判決44頁7行目末尾に「本件被告行為により、当該ロイヤリティの支払を受けることが社会通念上不可能となったことは明らかである。」を加える。
(22) 原判決45頁5行目から7行目までを次のとおり改める。
5 「 初版部数は1万5000部、定価は1600円と定められ、付録となる予定であったトートバック(1万5200個+予備分)の輸入手続等の準備も進められていたのであるから、被控訴人の逸失利益は、少なくとも180万円(1万5000部×1600円×7.5%)となる。」
(23) 原判決45頁23行目の「当該アニメは」から26行目末尾までを「当該アニメは、5分枠のテレビ番組専用に制作された各話1分30秒のショートアニメであり、これを他に転用することが困難であるから、制作費用の全額が被控訴人の損害というべきである。」に改める。
(24) 原判決47頁6行目の「別紙原告損害整理表の」を「そもそも、控訴人は、被控訴人が、他人に対し、キャラクターちぃたんの利用を許諾(再許諾)することを承諾していないことから、逸失利益が生ずることはない。これを措くとしても、原判決別紙原告損害整理表の」に改める。
(25) 原判決47頁10行目の「原告の主張によっても」を「「ちぃたん」の出演するCMを5回放送することになっていたことを裏付ける客観的な証拠はない。また、原告の主張によっても」に改める。
(26) 原判決47頁21行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 太田胃にゃんとのコラボ企画は、一旦延期されているにすぎず、その後、太田胃にゃんとキャラクターちぃたんとのコラボ動画が別途公表されていることに照らすと、損害は発生していない。」
(27) 原判決47頁22行目の「経費を適切に控除する必要がある」を「販売費、一般管理費等を含め経費を適切に控除する必要がある」に改める。
(28) 原判決57頁21行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 また、本件許諾は、カワウソちぃたん及びちぃたん着ぐるみが須崎市観光大使設置要綱の趣旨に沿って須崎市の情報発信やPRを行うことを目的とするものであり、かつ無償であることからすると、黙示の許諾に係る期間は、控訴人がカワウソちぃたんに須崎市観光大使を委嘱していた期間に限ら
5 れるとするのが合理的である。そして、控訴人は、平成31年1月17日、カワウソちぃたんの須崎市観光大使を解嘱したのであるから、同日をもって、黙示の許諾に係る期間は満了した。さらに、著作権法83条2項の規定を踏まえると、黙示の許諾に係る期間は、最初の利用行為があった平成29年12月15日から遅くとも3年を経過した日までとすべきであるから、黙示の許諾に係る期間は、遅くとも令和2年12月15日には満了している。」3 当審における当事者の追加主張、予備的主張
⑴ 本件許諾の撤回(控訴人の主張)本件許諾は控訴人の単独行為であり、控訴人において撤回することができるところ、控訴人は、平成30年12月19日到達の内容証明郵便(「須崎市観光大使の解嘱について(通知)」と題する書面)、及び、平成31年1月19日到達の内容証明郵便(本件被告通知)により、本件許諾を撤回した。仮に無条件で撤回することが許されないとしても、被控訴人の行為は、本件許諾に付された条件に違反し、また、控訴人と被控訴人との間の信頼関係を破壊するものであるから、控訴人は本件許諾を撤回することができるというべきである。(被控訴人の主張)本件許諾は、控訴人と被控訴人との間の合意に基づくもので、単独行為には該当しないから、控訴人が本件許諾を一方的に撤回することはできない。
⑵ 改正前民法594条、597条の類推適用(控訴人の主張)ア 本件許諾は、無償であり、使用及び収益の目的を定めるものでもないから、改正前民法597条3項の類推適用により、控訴人はいつでも本件許諾を解約することができる。
5 また、仮に使用及び収益の目的を定めるものであったとしても、被控訴人はキャラクターちぃたんの使用により月額50万円程度の利益を得ていたというのであるから、その支出した費用を考慮しても、遅くとも、キャラクターちぃたんの活動を開始した日である平成29年12月15日から1年経過することにより、使用及び収益をするに足りる期間が経過したというべきであって、同条2項ただし書の類推適用により、控訴人は、本件許諾を解約することができるというべきである。さらに、キャラクターちぃたんは、須崎市の「ご当地キャラ」、又は須崎市の「ご当地キャラ」であるキャラクターしんじょう君の「派生キャラ」であり、須崎市をPRすることをその目的とするにもかかわらず、その役割を果たしていないこと、被控訴人がキャラクターちぃたんを、本件被告通知後の危険な動画の投稿、仮想通貨、マッチングアプリ、「ピンク盆踊り」のチラシに使用したことなどは、重大な用法違反というべきであるから、改正前民法594条1項、3項の類推適用により、控訴人は本件許諾を解約することができるというべきである。イ 控訴人は、平成31年1月19日到達の内容証明郵便(本件被告通知)、令和元年7月8日到達の本件仮処分事件における同日付けの「主張書面
⑽」、令和7年7月17日の当審第1回口頭弁論期日に陳述した同年5月30日付け「控訴理由書⑶」、及び、令和8年2月17日の当審第4回弁論準備手続期日に陳述した同月10日付けの「控訴準備書面⑻」により、被控訴人に対し、前記の事情を理由として、解約の申入れをした。被控訴人は、本件許諾は有償性を有する旨の主張をするが、① 「派生キャラ」については、その運営者において活動費用を負担するのが当然であること、② 「ご当地キャラ」同士の共演(コラボ)は通常無償で行われること、③ キャラクターしんじょう君のSNSのフォロワー数は、キャラクターちぃたんとのコラボにより大幅に増加したわけでは
5 ないことに照らすと、被控訴人の主張は失当である。(被控訴人の主張)
① 被控訴人が、キャラクターちぃたんのデザイン、着ぐるみ製作、動画の投稿等の活動費用を負担していること、② 被控訴人が、キャラクターちぃたんとキャラクターしんじょう君のコラボ動画やコラボグッズの製作、ペアライセンスに関する協力連携を無償で行っていたこと、③ 被控訴人の活動により、キャラクターしんじょう君のSNSのフォロワー数は約4倍にまで増加し、その知名度の向上に相応の貢献をしたことに照らすと、本件許諾は、一定の有償性を有するものであり、本件において、改正前民法594条及び597条を類推適用するのは相当でない。控訴人は、キャラクターちぃたんは、須崎市の「ご当地キャラ」又はキャラクターしんじょう君の「派生キャラ」であり、須崎市をPRすることをその目的とする旨の主張をするが、キャラクターちぃたんは、既に高い知名度を有していたカワウソちぃたんをキャラクター化したもので、控訴人が、これを使用して独自に商業活動を行うことを前提とするものである。キャラクターちぃたんは、須崎市の「ご当地キャラ」又は「派生キャラ」ではない。
⑶ 改正前民法550条の類推適用(控訴人の主張)本件許諾は、無償かつ書面によるものではないから、改正前民法550条の類推適用により、履行の終わってない部分、すなわち将来の利用を許諾する部分については、控訴人が解除することができるところ、控訴人は、平成31年1月19日到達の内容証明郵便(本件被告通知)、及び、令和7年7月17日の当審第1回口頭弁論期日に陳述した令和7年5月30日付け「控訴理由書⑶」により、被控訴人に対し、本件許諾の将来の利用を許諾する部分を解除する旨の意思表示をした。(被控訴人の主張)
5 本件許諾は、一定の有償性を有するのであり、また、本件許諾は、書面(控訴人からの電子メール)によるものであるから、改正前民法550条を類推適用するのは相当でない。
⑷ 期間の定めのない継続的契約の終了(控訴人の主張)ア 本件許諾は期間の定めのない継続的契約であるから、当事者がいつでも解約することができる。そして、① 本件許諾が無償であること、② 本件許諾から侵害の差止請求までの期間は1年1か月程度にすぎないこと、
③ キャラクターちぃたんは、地方公共団体の「ご当地キャラ」であるキャラクターしんじょう君の二次的著作物であり、際限のない営利活動は想定されていないこと、④ カワウソちぃたんは、須崎市観光大使を解嘱された後、須崎市の「ご当地キャラ」としての活動は行っていないこと、⑤被控訴人は、控訴人の差止請求を無視し、キャラクターしんじょう君のブランドを毀損し、その顧客吸引力、識別力を低下させ続けたこと、⑥ 被控訴人は既に投下資本を回収していることに照らすと、解約の申入れに当たり、特段の予告期間を置くことは要しない。イ 控訴人は、平成31年1月19日到達の内容証明郵便(本件被告通知)、及び、令和2年1月28日到達の内容証明郵便(令和2年1月27日付け通知書)により、被控訴人に対し、本件許諾の解約の申入れをした。仮に、解約の申入れに当たり、予告期間を置くことを要するとしても、改正前民法617条1項、著作権法83条2項の趣旨に加え、控訴人が、令和2年1月27日付け通知書において、キャラクターちぃたんの活動、使用期間は、控訴人と被控訴人との間の協議成立後1年間とされていることに照らすと、本件被告通知から遅くとも3年、あるいは、令和2年1月27日付け通知書到達の日から遅くとも2年経過することにより、解約の効力が生じたというべきである。
5 (被控訴人の主張)
① 被控訴人は、民間企業であり、商業的利用を目的としてキャラクターちぃたんを創出し、その広告宣伝、動画撮影用のスタジオの賃借、改修等に多額の費用を負担したこと、② 控訴人は、キャラクターちぃたんの活動が、キャラクターしんじょう君を含む須崎市の広報活動に資することを企図して、キャラクターちぃたんの創出を認めたこと、③ 本件許諾は一定の有償性を有することに照らすと、本件許諾に係る期間は、キャラクターちぃたんの著作権の存続期間と一致するというべきであって、本件許諾は、期間の定めのない契約に該当しない。また、仮に期間の定めのない契約であったとしても、上記①~③の事情に加え、被控訴人が、キャラクターちぃたんの存在や活動を周知させるため尽力し、その結果、キャラクターちぃたんは、国内外で高い認知度を獲得していることや、本件許諾によって、控訴人によるキャラクターしんじょう君の活動に何ら支障は生じないこと、他方、被控訴人は、本件許諾の解約により極めて大きな不利益を被ることをも併せ考慮すると、契約関係の継続を困難にするような特段の事情がない限り、控訴人は、本件許諾を解約することができないというべきである。
⑸ 著作権法63条3項違反(控訴人の主張)ア 著作物の利用の許諾を得た者は、著作権者の承諾を得ない限り、その利用権を譲渡することができないのであるから(著作権法63条3項)、著作物の利用の許諾を得た者が、他人に対し、著作物の利用を再許諾することについても、著作権者の明示の承諾を得ることを要するというべきである。しかるに、被控訴人は、平成30年5月22日以降、控訴人の承諾を得ることなく、株式会社アニメイト、株式会社ヴィレッジヴァンガード
5 コーポレーション、株式会社ロフト、しまむら、ブランチアウト、株式会社キャランドゥ(以下「キャランドゥ」という。)、株式会社猫草、株式会社エムディーピー、株式会社トラスト等の多数の事業者に対し、キャラクターちぃたんの利用を許諾した。また、キャランドゥは、株式会社ジェイイノベーション、株式会社丸井織物に対し、キャラクターちぃたんの利用を許諾し、ONTIMES株式会社(以下「ONTIMES」という。)、droptip 株式会社、株式会社東海岸、株式会社 TWO STEP も、キャラクターちぃたんの利用のみならず、ちぃたん着ぐるみの管理、イベント出演の手配等を行っていることからすると、被控訴人は、これらの事業者に対し、キャラクターちぃたんの利用の再々許諾を含む包括的利用管理権を付与しているというべきである。被控訴人は、キャランドゥは、被控訴人代表者が実質的に経営する会社であり、被控訴人は、キャランドゥとの間の代理店契約に基づき、キャランドゥと第三者との各利用契約の内容を管理し、製作物の監修を行っている旨の主張をするが、仮にそうであるとしても、被控訴人とキャランドゥとの間に資本関係はなく、キャランドゥを被控訴人と同視することはできない。イ 控訴人は、平成31年1月19日到達の内容証明郵便(本件被告通知)、令和7年7月17日の当審第1回口頭弁論期日に陳述した同年5月30日付け「控訴理由書⑶」、及び、令和8年2月17日の当審第4回弁論準備手続期日に陳述した同月10日付けの「控訴準備書面⑻」により、被控訴人に対し、無断再許諾を理由として、本件許諾を解除する旨の意思表示をした。(被控訴人の主張)本件許諾は、被控訴人がキャラクターちぃたんを使用して独自に商業活動
5 を行うことを可能とするものであり、これには、被控訴人が、他人に対し、キャラクターちぃたんの利用を再許諾することが当然に含まれる。そして、被控訴人のライセンス先である各事業者は、被控訴人の各地域における実質的な営業代理店であるONTIMES等を含め、個別に被控訴人の承諾を受け、その監修や確認を経た上、キャラクターちぃたんに係る商品を製造、販売しているのであって(キャラクターちぃたんに係る動画については、その製作を委託した事業者から納品を受け、被控訴人自身が配信している。)、被控訴人とは無関係にキャラクターちぃたんを利用しているわけではない。キャランドゥは、被控訴人代表者の母親がその全株式を保有し、被控訴人代表者が実質的に経営する会社であり、ONTIMESは、キャランドゥと業務提携を行っている会社である。被控訴人は、キャランドゥとの間で締結した代理店契約に基づき、キャランドゥと第三者との間のキャラクターちぃたんに係る利用契約について、キャランドゥから事前に報告を受け、その内容を管理し、また、ONTIMESの製作物も直接管理し、監修している。なお、被控訴人が、株式会社トラストに対し、キャラクターちぃたんの利用の許諾をした事実はない。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は、被控訴人の控訴人に対する本訴請求は、損害賠償金1887万
7802円及び遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、控訴人の被控訴人に対する反訴請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおり補正ないし補充し、2のとおり当審における当事者の追加主張、予備的主張に対する判断を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1から13まで(原判決63頁10行目から105頁3行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決70頁25行目から71頁4行目までを次のとおり改める。
5 「 その後、被控訴人と控訴人は、平成30年8月25日まで、「カワウ
ソが当たり付き自販機当たるまで帰れま10やった結果www」、「倒れない棒買ってもらいましたっ☆」、「テーブルクロス引きに挑戦したよ-☆」などと題し、しんじょう君着ぐるみとちぃたん着ぐるみとが共演する動画を7本製作して配信したり、同年6月15日まで、ちぃたん着ぐるみが瓦割り、輪投げなどに挑戦する動画を受けて、「瓦割りに挑戦しましたっ☆」、「輪投げで遊ばせてもらいましたっ☆」などと題し、しんじょう君着ぐるみがちぃたん着ぐるみと同様のことに挑戦するパロディ動画を11本製作して配信したり、上記の動画について相互にリツイートしたりしていた(甲20~26、乙185~187)。」
⑵ 原判決71頁7行目の「危険な行為に及んでいると感じさせるものがあり」
の次に「(次のa~mは、本件被告通知前に、n~wは、本件被告通知後に配信された動画である。)」を加える。
⑶ 原判決73頁14行目の「前記(イ)の抗議等に対し、」の次に「平成3
0年11月頃までは、」を加える。
⑷ 原判決73頁17行目末尾を改行の上、次のとおり加える。
「 Cは、Bに対し、平成30年2月26日に「あと最近のちぃたんがやり過ぎって一部キャラファンが叩いてますけど、我々としては中の人見せるとか明らかなアウトが無ければ別に大丈夫ですし、ちょっとヘイト買い過ぎたとお考えならしんじょう君が『ちぃたん☆ちゃん産まれたてで赤ちゃんだからわかんないんだろうけど、ちょっとあぶないよ-☆もっとソフトにいったほうがいいかもだよ-☆』ちぃたん☆『やりすぎましたっ☆これから安全重視で云々』くらいの遣り取り見せるだけでファンは98%くらい納得すると思いますし株も上がると思いますので、必要ならお申し付け下さい」とのメッセージを送信し、同月28日には、Bの「いまゆるキャラちぃたんはアクセスが凄いことになっています。たくさんのキャラファン以外のファンが
5 凄い勢いでついてきています。その過程でガチキャラファンは苦言をいって
きます。いじめるな。。。と。ただかわいいだけのキャラをやっていても少数しか満足させられないし、結果的に需要が少ないとサービス停止となってしまうのがエンタメの世界ですので、このままの勢いを継続し次世代ふなっしーを狙っていこうと考えております。」とのメッセージに対し、「感動しました。その通りです!」、「ただ、目に見えて危ないトランポリンの頭から落ちるやつとかはアレかなと思います。」とのメッセージを送信した(乙175)。」
⑸ 原判決73頁18行目から21行目までを次のとおり改める。
「 控訴人は、ちぃたん着ぐるみが竹馬(前記(イ)f)や流鏑馬(前記(イ)g)に挑戦する動画の配信を受けて、「竹馬を買ってもらいましたっ☆ 」、「やぶさめセットを買ってもらいましたっ☆」と題し、しんじょう君着ぐるみがちぃたん着ぐるみと同様のことに挑戦するパロディ動画を製作して配信している(甲22、乙187、220)。」
⑹ 原判決85頁14行目から15行目にかけての「ちぃたん着ぐるみのデザ
イン確定に至る経緯は、前記1⑴イのとおりである。」を「ちぃたんオリジナルの制作及びちぃたん着ぐるみの製作の経緯は、前記1⑴のとおりである。」に改め、同行目の「被告の担当者であったCは、」の次に「被控訴人が、従前から、カワウソちぃたんを本件番組に司会者として出演させるなど、独自に商業活動を行ってきたこと、被控訴人が、カワウソちぃたんの着ぐるみを製作してキャラクター化することを検討していたこと、そして、」を加える。
⑺ 原判決87頁17行目から18行目にかけての「対応がされたと認めるに
足りる証拠はない」を「対応はされていない」に、21行目の「対応にかんがみれば」から22行目末尾までを「対応に加え、前記1⑷のとおり、視聴者から動画中のちぃたん着ぐるみの行為は危険であるとする抗議を受けた際
5 も、Cにおいて、しんじょう君着ぐるみがちぃたん着ぐるみを注意する動画
を配信することを提案するのみで、基本的に、動画中のちぃたん着ぐるみの行為を容認し、被控訴人がキャラクターちぃたんを使用して独自に商業活動を行うことを支持するメッセージを送信していることにも照らすと、控訴人が被控訴人に直ちに侵害の停止等を求めていないことにつき縷々主張するところを考慮しても、控訴人は、遅くとも平成29年12月初めまでには、被控訴人に対し、ちぃたん着ぐるみの利用を黙示的に許諾したというべきである。」にそれぞれ改める。
⑻ 原判決89頁10行目から11行目にかけての「対応がされたと認めるに
足りる証拠はない」を「対応はされていない」に改める。
⑼ 原判決89頁13行目の「対応にかんがみれば」から16行目末尾までを
「対応にかんがみると、控訴人が被控訴人に直ちに侵害の停止等を求めていないことにつき縷々主張するところを考慮しても、控訴人は、遅くとも平成29年12月初めまでには、被控訴人に対し、ちぃたんオリジナル、ちぃたん着ぐるみ、ちぃたん着ぐるみ写真及びちぃたんイラストを含むキャラクターちぃたんを使用して独自に商業活動を行うことを黙示的に許諾したというべきである。」に改める。
⑽ 原判決89頁18行目から21行目までを次のとおり改める。
「 以上のとおり、控訴人は、遅くとも平成29年12月初めまでには、被控訴人に対し、キャラクターちぃたんの利用を黙示的に許諾(本件許諾)したと認められる。控訴人は、地方公共団体である控訴人が、稟議や決裁を経ることなく、公有財産につき無償、無条件、無制限の利用の許諾をすることはありえない、本件のような包括的、かつ、無償、無条件、無制限の利用の許諾や、二次的著作物の利用の許諾については、明示の意思表示が強く求められる旨の主張をするが、ちぃたんオリジナルの制作及びちぃたん着ぐるみの製作の経緯や、
5 これに係る控訴人の認識、対応に照らすと、控訴人は、遅くとも平成29年
12月初めまでには、被控訴人に対し、キャラクターちぃたんの利用を黙示的に許諾(本件許諾)したと認められることは、上記のとおりであって、本件許諾につき明示の意思表示がないことや、控訴人における稟議や決裁を経ていないことによって、上記判断は左右されない。控訴人は、本件許諾は地方自治法96条1項10号所定の「権利を放棄すること」に該当する旨の主張もするが、本件許諾が同号所定の「権利を放棄すること」に該当するものでないことは明らかである。」
⑾ 原判決90頁4行目の「本件全証拠によっても」を「被控訴人が新規に開
設したカワウソちぃたんのアカウントのフォロワー数が極少数であること(乙245)、その他本件全証拠によるも」に改め、5行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 株式会社パンクチュアル作成に係る調査報告書(乙124、126)には、控訴人の主張に沿う部分があるが、株式会社パンクチュアルの代表取締役はCであり、現在、キャラクターしんじょう君の運営業務を受託していること(乙203)に照らすと、これを直ちに採用することはできない。」
⑿ 原判決91頁7行目の「委嘱するに当たり、」の次に「須崎市をPRし、
その知名度向上と観光産業発展のための活動を行うこと(甲12)や、キャラクターしんじょう君のPR活動を行うこと、キャラクターしんじょう君とのタイアップ活動を行うことのほか、」を、10行目の「許諾するに当たり、」の次に「上記の諸活動を行うことのほか、」をそれぞれ加える。
⒀ 原判決91頁15行目の「採用することはできず、」の次に「前記1⑵~
⑷のとおり、被控訴人は、カワウソちぃたんやちぃたん着ぐるみを須崎市観
光大使委嘱式に出席させたり、しんじょう君着ぐるみとちぃたん着ぐるみとが共演する動画を複数製作して配信したりしているのであるから、」を加える。
5 ⒁ 原判決91頁24行目から25行目にかけての「本件本訴を提起したこと
から」を「被控訴人が、本件訴訟を提起したことや、キャラクターちぃたんの無償、無条件、無制限の使用に固執して、控訴人との協議に誠実に応じなかったことにより」に改める。
⒂ 原判決93頁12行目末尾に「そして、上記の判断は、商標権は、更新登
録の申請をすることにより、その存続期間(商標法19条 1 項)を更新することができること(同条2項)によって、左右されるものではない。」を加える。
⒃ 原判決94頁1行目から2行目にかけての「原告に対し」から3行目末尾
までを「Cにおいて、しんじょう君着ぐるみがちぃたん着ぐるみを注意する動画を配信することを提案するのみで、平成31年1月19日到達の本件被告通知前、被控訴人に対し、ちぃたん着ぐるみの使用の中止を求める対応はされていない。」に改め、8行目の「Cは、」の次に「Bに対し、基本的に、動画中のちぃたん着ぐるみの行為を容認するメッセージを送信するほか、」を加える。
⒄ 原判決94頁14行目から18行目までを削り、19行目の「被告が」か
ら20行目の「黙示に許諾するに当たり」までを「控訴人が、少なくとも平成31年1月19日到達の本件被告通知前までは」に改める。
⒅ 原判決94頁23行目末尾を改行の上、次のとおり加える。
「 控訴人は、被控訴人が、ちぃたん着ぐるみの危険な行為を撮影した動画を投稿することは、控訴人と被控訴人との信頼関係を破壊する旨の指摘をした後も、ちぃたん着ぐるみの危険な行為を撮影した動画の投稿を繰り返している旨の主張をする。しかしながら、被控訴人は、カワウソちぃたんが須崎市観光大使から解嘱された後、キャラクターちぃたんを使用して、控訴人やキャラクターしんじょう君とは別個に商業活動を行っているのであり、動画中のちぃたん着ぐる
5 みの行為がキャラクターしんじょう君によるものと誤認混同されて、控訴人
の信用等が毀損されたり、キャラクターしんじょう君のイメージに悪影響が及んだりしていることを認めるに足りる的確な証拠はないことに加え、当初、Cにおいて、基本的に、動画中のちぃたん着ぐるみの行為を容認する姿勢を示していたことをも併せ考慮すると、被控訴人が、現時点においても、ちぃたん着ぐるみの危険な行為を撮影した動画の投稿を繰り返しているとしても、これが控訴人と被控訴人との信頼関係を破壊する事情に直ちに該当するということはできない。」
⒆ 原判決95頁5行目の「原告が本件本訴を提起したことは」を「被控訴人
が本件訴訟を提起したことや、控訴人との協議に応じなかったことは」に改め、7行目の「
(被告の主張)
を採用することはできず」の次に「(被控訴人による再許諾については、後述するとおりである。)」を加える。
⒇ 原判決96頁12行目を「11 争点2-5(正当な権利行使として違法
性が阻却されるか)及び争点5(控訴人の故意又は過失の有無)について」に、13行目の「本件において」を「控訴人は、フジテレビ宛書面送付行為及びテレビ東京宛書面送付行為は、控訴人の知的財産権を侵害したフジテレビ及びテレビ東京に対し、知的財産権に係る権利行使の一環としてされた正当な行為であり、本件定例会見資料配布行為、本件定例会見スライド配布行為及び本件定例会見発言行為も、地方公共団体として説明義務に基づく正当な行為であるから、その違法性は阻却される旨の主張をするが、フジテレビ宛書面送付行為、テレビ東京宛書面送付行為、本件定例会見資料配布行為、本件定例会見スライド配布行為及び本件定例会見発言行為が、いずれも被控訴人の営業上の信用を低下させる事実を告知又は流布するものであることは前記4、10のとおりである。そして、控訴人は、本件被告行為に先立って、控訴人と被控訴人の間で、少なくとも何らかの許諾があったことをうかがわせる、CとBとのやりとりの記録を確認せず(原審における控訴人代表者、
5 弁論の全趣旨)、この点に関する被控訴人との協議も行っていないのである
から、本件被告行為が知的財産権の正当な権利行使に該当するとはいえないし、本件被告行為を地方公共団体としての説明義務を果たすための必要な行為ともいえないのであって、本件被告行為は正当な行為であるとして、その違法性が阻却されるなどということはできない。そして」にそれぞれ改める。
(21) 原判決96頁25行目の「(甲63、127)」を「甲52の1、2、
甲63、127」に改め、97頁4行目の「放送がそれぞれされたものの、」の次に「同年2月1日、フジテレビにおいて、フジテレビ宛書面の送付を受けたことから、」を加え、6行目から13行目までを次のとおり改める。「 そして、フジテレビ宛書面は、被控訴人及びフジテレビがちぃたん着ぐるみを番組に出演させる行為は、控訴人の著作権を侵害する上、不正競争を構成するとして、その中止を求めるものであるから、今後のクライアントとの対応等を踏まえると、上記書面の送付を受けたフジテレビが4回分のCMの放送を中止したのは当然の判断というべきであって、かかる経緯に照らすと、ちぃたん着ぐるみの出演するCMが完成し、既に1回目のCM放送がされていることを考慮しても、被控訴人がフジテレビから上記CM出演料の支払を受けることは、社会通念上不可能であると認められる。そうすると、本件被告行為と相当因果関係のある被控訴人の逸失利益は、上記CM出演料全額である70万円(ちぃたん着ぐるみの出演するCMは既に完成していたのであり、CM制作に係る経費を控除するのは相当でない。)とするのが相当である。」
(22) 原判決98頁6行目の「(甲64の2)」を「(甲64の2、甲15
9)」に改める。
(23) 原判決98頁16行目の「平成30年」を「平成31年」に、21行目
の「平成29年」を「平成30年」にそれぞれ改め、99頁4行目から13行目までを次のとおり改める。
5 「 そして、証拠(甲127、131)及び弁論の全趣旨によれば、ブラ
ンチアウトは、被控訴人から事情の説明を受けた後も、控訴人と被控訴人との間で和解が成立しない限り、商品展開はしないとの意向を示し、リヴァレーも、令和7年5月7日、被控訴人に対し、ドン・キホーテ向け販売商品企画及びしまむら向け販売商品企画について、「イメージの問題と時間がかなり空いてしまったことにより、申し訳ありませんがどういう判決が出たとしても、企画の再開は難しい状況です。」と記載したメールを送信して、企画の再開に消極的な意向を示していることが認められ、かかる事情に加え、現時点において、控訴人と被控訴人との間の協議は特段進展していないことや、ドン・キホーテ向け販売商品企画の中止から相当期間が経過していることをも考慮すると、上記企画の実現は社会通念上不可能というのが相当である。そうすると、本件被告行為と相当因果関係のある被控訴人の逸失利益は、上記の商品化許諾契約に基づくロイヤリティである64万4400円(1790円×6000枚×6%。全証拠によるも、被控訴人従業員の固定人件費以外の経費が発生していたとは認められない。)とするのが相当である。」
(24) 原判決100頁4行目から13行目までを次のとおり改める。
「 しまむら向け販売商品企画について、契約書等は作成されていないものの、リヴァレーが被控訴人に対して、平成31年1月29日時点では、「プリント工場へ今週早めに連絡を入れておかないと納期が厳しくなりそうな状況です。」との、商品の生産に未着手であることを前提とし、被控訴人が速やかに商品化を許諾するよう求めるメールを送信し、同年2月7日には、「先日の高知県須崎市長が著作権を侵害しているとして活動停止を求めたという記事を見て、しまむらバイヤー様から現時点で生産を止めてほしいと今朝連絡がはいりました。」との、商品の生産に着手済みであることを前提とするメールを送信していること(甲65の10)に照らすと、遅くとも、同年2月初めには、被控訴人とブランチアウトとの間で、しまむら向け販売商
5 品に係る商品化許諾契約が成立していたものと認められる。
そして、ドン・キホーテ向け販売企画商品と同様、しまむら向け販売商品企画の実現は社会通念上不可能というのが相当である。そうすると、本件被告行為と相当因果関係のある被控訴人の逸失利益は、上記の商品化許諾契約に基づくロイヤリティである673万1055円(全証拠によるも、被控訴人従業員の固定人件費以外の経費が発生していたとは認められない。)とするのが相当である。」
(25) 原判決101頁2行目の「クラフトワークから」から4行目末尾までを
「クラフトワークから、同年2月7日、同月6日に行われた控訴人代表者による定例記者会見を見た旨の連絡を受け、同月19日には、クライアント(DeNA)との協議の結果として、上記のコラボ企画の中止、当該企画の告知記事等の取下げ、被控訴人の送付した当該企画に係る請求書の破棄を通告されたことが認められる。」に改める。
(26) 原判決101頁12行目の「他方で」を「また」に、15行目の「しか
し」から23行目末尾までを「そして、前記aのとおり、平成31年1月21日、ゲーム「トリカゴ スクラップマーチ」をPRする生番組が放送されたほか、同年2月26日頃まで、上記のコラボ企画の告知記事等の掲載が継続されていたと認められるものの(甲67の4)、同月19日までに、控訴人代表者による定例記者会見を受けて、クライアントと協議した結果、上記企画自体が中止となり、その告知記事等も取り下げることになったことに照らすと、被控訴人が上記2次使用料の支払を受けることも、社会通念上不可能というべきである。」に改める。
(27) 原判決102頁7行目の「100万円」を「115万円」に改める。
(28) 原判決102頁12行目の「対外的に発売予告がされていたこと」を
「対外的に、発売日や表紙デザイン(これには「価格(本体 1,600 円+税)」との記載がある。)を示して発売予告がされていたこと」に改める。
5 (29) 原判決102頁21行目から103頁2行目までを次のとおり改める。
「 そして、KADOKAWAとのムック本企画について、当該ムック本に係る使用許諾契約書が作成されるに至っていないとはいえ、これは、契約条項に「非独占」という表現を追加することや、契約を1年で自動更新するのではなく、改めて契約を締結することについて協議していたことによるもので(甲68の2)、平成31年2月6日時点において、被控訴人に支払う著作権使用料を、初版部数である1万5000部までは、出版物の定価(1600円)の7.5%とすることが確認されていたことや、ムック本の付録について、平成31年1月21日付けで、品名「まるごと ちぃたん☆ブックショルダーバッグ」、数量「15,200個+予備分」とする輸入の許可の申請がされ、その後、制作を完了したムック本と共に納品されるに至っていたこと(甲132、133)を考慮すると、被控訴人とKADOKAWAとの間で使用許諾契約が締結され、少なくとも初版1万5000部に係る著作権使用料180万円(1600円×7.5%×1万5000部)が支払われる蓋然性は高かったというべきである。そうすると、本件被告行為と相当因果関係のある被控訴人の逸失利益は、著作権使用料である180万円(1600円×7.5%×1万5000部。全証拠によるも、被控訴人従業員の固定人件費以外の経費が発生していたとは認められない。)とするのが相当である。」
(30) 原判決103頁24行目から25行目までを次のとおり改める。
「 以上によれば、本件被告行為によって被控訴人に生じた営業に係る損害は、次のとおりと認められる。(ア)S-PARK案件 70万円(イ)太田胃にゃんとのコラボ企画 415万2347円(ウ)ドン・キホーテ向け販売商品企画 64万4400円(エ)しまむら向け販売商品企画 673万1055円
5 (オ)ゲーム「トリカゴ スクラップマーチ」とのコラボ企画
115万円(カ)KADOKAWAとのムック本企画 180万円(キ)小計 1517万7802円」
(31) 原判決104頁17行目の「71万円」を「170万円」に、20行目
から21行目にかけての「786万2347円」を「1887万7802円」にそれぞれ改め、同行目から22行目にかけての「(別紙原告損害整理表の「裁判所の判断」「損害額(円)」欄参照)」を削る。
(32) 原判決105頁2行目から3行目までを次のとおり改める。
「 控訴人は、仮に黙示的に許諾をしたとしても、その許諾に係る期間は、控訴人がカワウソちぃたんに須崎市観光大使を委嘱していた期間に限られる旨の主張をするが、採用できない。控訴人は、著作権法83条2項の規定を踏まえると、上記許諾に係る期間は、最初の利用行為があった日から遅くとも3年を経過した日までとすべきである旨の主張もするが、本件許諾は、著作物の債権的な利用権を付与するにとどまり、出版権のような物権的な利用権を付与するものではないから、控訴人の上記主張も採用できない。」
2 当審における当事者の追加主張、予備的主張に対する判断
⑴ 本件許諾の撤回について
控訴人は、本件許諾は控訴人の単独行為であり、控訴人において撤回することができる旨の主張をするが、補正ないし補充後の原判決の判示する本件許諾に至る経緯に照らすと、控訴人は、キャラクターちぃたんが須崎市をPRし、その知名度向上と観光産業発展のための活動を行うことや、キャラクターちぃたんとキャラクターしんじょう君がタイアップ活動を行うことなどについて合意をした上、被控訴人がキャラクターちぃたんを使用して独自に商業活動を行うことを黙示的に許諾(本件許諾)したものと見るのが相当で
5 あり、したがって、本件許諾を控訴人の単独行為によるものということはで
きない。控訴人の上記主張は前提を欠き採用できない。
⑵ 改正前民法594条、597条及び改正前民法550条の類推適用につい
て控訴人は、本件許諾については、改正前民法594条、597条及び改正前民法550条が類推適用される旨の主張をする。しかしながら、改正前民法594条、597条は、使用貸借が通常当事者間の特別な人的関係を背景として行われることを踏まえた規定であることや、改正前民法550条は、贈与が無償かつ片務の契約であることを考慮し、書面によらない贈与については、履行の終わった部分を除き、解除をすることができることとして、その法的拘束力を軽減する規定であることに照らすと、著作権法63条1項に基づく著作物の利用の許諾について、これらの規定を類推適用する法的根拠を欠くというべきである。控訴人の主張は前提を欠き採用できない。
⑶ 期間の定めのない継続的契約の終了について
控訴人は、本件許諾は期間の定めのない継続的契約であるから、当事者がいつでも解約することができる、また、仮に、予告期間を置くことを要するとしても、本件被告通知から相当期間が経過することにより、解約の効力が生ずる旨の主張をするところ、本件において、控訴人が、被控訴人に対し、キャラクターちぃたんの利用を黙示的に許諾するに当たり、控訴人と被控訴人との間で、その許諾に係る期間について明示又は黙示に合意したと認めることができないことは、補正ないし補充後の原判決の説示するとおりである。しかしながら、本件許諾を継続的契約と解するとしても、補正ないし補充後の原判決の判示するとおり、本件許諾は、被控訴人がキャラクターちぃたんを使用して独自に商業活動を行うことを含むものであり、仮に控訴人の一方的な解約の申入れにより本件許諾が終了すると、本件許諾を得て、キャラ
5 クターちぃたんを使用し相当長期間にわたり独自に商業活動を行い収益を上
げることを前提に、ちぃたんオリジナル、ちぃたん着ぐるみ等の制作費、製作費等を負担し、その広告宣伝や営業活動のために多額の費用(甲143の1、2)を支出した被控訴人に多大な不利益が及ぶことに照らすと、控訴人が本件許諾を解約することができるのは、当事者間の信頼関係が破壊されるなど、将来にわたる契約の存続を困難にするような事由が生じた場合に限られると解するのが相当である。そして、控訴人と被控訴人との信頼関係を破壊する事情が存在するとまでいえないことは、補正ないし補充後の原判決の判示するとおりであり、また、被控訴人の行為が著作権法63条3項に違反するものでないことは、後述するとおりであって、本件において、将来にわたる契約の存続を困難にするような事由が生じたとまで認めるのは困難である。控訴人の主張は採用できない。
⑷ 著作権法63条3項違反について
控訴人は、著作物の利用の許諾を得た者は、著作権者の承諾を得ない限り、その利用権を譲渡できないのであるから(著作権法63条3項)、著作物の利用の許諾を得た者が、他人に対し、著作物の利用を再許諾することについても、著作権者の明示の承諾を得ることを要する旨の主張をする。しかしながら、補正ないし補充後の原判決の判示するとおり、本件許諾は、被控訴人がキャラクターちぃたんを使用して独自に商業活動を行うことを含むものであることや、Cが、キャラクターちぃたんの商品化について、被控訴人と株式会社タカラトミーアーツの担当者との間を取り次ぐなどしていること(甲29の1、2、甲30)に照らすと、本件許諾は、被控訴人から再許諾を得た者が、キャラクターちぃたんを使用して商品を製造、販売等することを含むものであると解するのが相当である。もっとも、著作権法63条3項の趣旨にかんがみると、本件許諾は、被控
5 訴人から再許諾を得た者が、キャラクターちぃたんを使用して自由に商品を
製造、販売等することや、被控訴人が、他人に対し、包括的な再々許諾の権限を付与することまで含むものであると解するのは困難であるが、① 被控訴人は、他人に対し、キャラクターちぃたんを使用して商品を製造し販売することを許諾するに際し、事前に、商品の具体的な内容について協議し、許諾範囲、許諾期間のほか、事前に商品の見本を被控訴人に提示し、被控訴人の監修及び承認を得ることなどについて定める「商品化権許諾契約」を締結していること(甲29の1、2、甲65の1)、② キャラクターちぃたんを使用して商品を製造、販売等することを再々許諾しているキャランドゥ(同社の代表者は、被控訴人の監査役であり被控訴人代表者の母である。)は、被控訴人との間で、キャランドゥは、第三者との利用契約に関し、事前に被控訴人に報告し、その利用条件、契約内容等に関し、被控訴人の承認を得なければならない旨を定める、キャラクターちぃたんの利用に関する代理店契約を締結していること(甲158)に照らすと、被控訴人の行為が著作権法63条3項に違反するとまでいうことはできない。
第4 結論
以上によれば、被控訴人の控訴人に対する本訴請求は、損害賠償金1887万7802円及びこれに対する令和3年8月20日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却し、控訴人の被控訴人に対する反訴請求は理由がないからいずれも棄却すべきところ、これと異なる原判決は一部失当であって、控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却し、被控訴人の附帯控訴の一部は理由があるから、原判決主文第1、2項を上記のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官森 冨 義 明裁判官菊 池 絵 理裁判官頼 晋 一
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