平成22(行ケ)10008審決取消請求事件
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裁判所 |
請求棄却 知的財産高等裁判所
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裁判年月日 |
平成22年4月27日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告特許庁長官 原告X
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対象物 |
いぐさカラーベットパット |
法令 |
特許権
特許法17条の21回 特許法49条1号1回
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キーワード |
審決14回 拒絶査定不服審判1回
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主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。 |
事件の概要 |
1 特許庁における手続の経緯
原告は,平成9年9月25日,発明の名称を「いぐさカラーベットパット」
とする発明について,特許出願(平成9年特許願第297640号)をした
が,平成19年8月28日に拒絶査定がされ(乙7),これに対し,平成19
年10月4日,不服の審判(不服2007−29425号事件)を請求した
(乙8)。
特許庁は,平成21年11月24日,「本件審判の請求は,成り立たな
い。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,平成21年12
月15日,原告に送達された。
2 本件出願時の明細書の特許請求の範囲
本件出願時の明細書(以下,図面と併せ,「本件当初明細書」という。乙
1)の特許請求の範囲(請求項の数1)の請求項1の記載は,次のとおりであ
る。
「【請求項1】 ベットパットとは何か,ベットマットの上に敷きベットマッ
トへの汗の侵入を防ぐ,一晩眠ると約コップ一杯分の汗をかくと言われてい |
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判決文
平成22年4月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成22年(行ケ)第10008号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成22年3月25日
判 決
原 告 X
被 告 特 許 庁 長 官
指 定 代 理 人 横 林 秀 治 郎
同 岩 田 洋 一
同 紀 本 孝
同 小 林 和 男
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が不服2007−29425号事件について平成21年11月24日
にした審決を取り消す。
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は,平成9年9月25日,発明の名称を「いぐさカラーベットパット」
とする発明について,特許出願(平成9年特許願第297640号)をした
が,平成19年8月28日に拒絶査定がされ(乙7),これに対し,平成19
年10月4日,不服の審判(不服2007−29425号事件)を請求した
(乙8)。
特許庁は,平成21年11月24日,「本件審判の請求は,成り立たな
い。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,平成21年12
月15日,原告に送達された。
2 本件出願時の明細書の特許請求の範囲
本件出願時の明細書(以下,図面と併せ,「本件当初明細書」という。乙
1)の特許請求の範囲(請求項の数1)の請求項1の記載は,次のとおりであ
る。
「【請求項1】 ベットパットとは何か,ベットマットの上に敷きベットマッ
トへの汗の侵入を防ぐ,一晩眠ると約コップ一杯分の汗をかくと言われてい
る,その吸収と発散,それと身体に対して体のした敷きになるものであるから
冬は暖かく夏は涼しくである。 現在ベットパットとしての商品は夏に綿,綿
混,冬秋にウール,ムートン等,オールシーズンにポリエステル,シルク,輸
入もので綿とウールのリバーシブルの物がある。 ここに疑問をもつた,夏,
綿はあるがさらに日本の夏は蒸し暑く日本の風土に合った素材は無いのであろ
うか,涼しく清涼感いつぱいの物,ベットパットはこの部分が欠落している。
その素材は身近に存在した,井草である。日本の夏,伝統のいぐさ日本人なら
みんな知っている,新しい研究では二酸化窒素を吸収し浄化するというのは周
知の事実となった,では,それで求めるのか,さらに基礎的なものは何か,動
物繊維と違い毛足のない天然の植物繊維である井草は身体に対たいして体感温
度が低く,熱を保持しにくい性質と特質を持つているように確信できる,その
ことは簡単な実験で証明できる,草の茎を口のなかに入れる暫く立つがなかな
か暖かくなつた様には見えないし外に出す少しは暖かくなつたように見えるが
すぐ冷める,湿度は空気に触れ無くなる。
井草は現在様々な織りがある,有名品で本袋織り,大目織り,掛川織り等,縦
糸が330本の高密度の物から糸をポリプロピレンで太くした縦糸60本の織
りまでメーカーによって種類も多い,井草は固さ柔らかさの面から考えると一
概には言えないが日本産,日本の種子で取れた井草が柔らかさがあると聞及
ぶ,ベットパットの目的を考えると柔らかい物を主流に,最近固いものを求め
る傾向にあり少しと考える。
であるから焦点を現在ベットパットの不足している清涼感と井草の性質に純粋
に絞りたい。
では何故今迄に,いぐさ カラーベットパットが存在しなかつたのか,BIG
商品かもしれない,一言で表現すれば文化の壁であろうと思える,今迄は基礎
にとらわれ説明をしてきた,又求められた,今からが今日の問題である,同じ
インテリア部門の通路一つ隔てた所に展示されているベツトは,欧米の技術か
ら発生したものと説明され,ベットパットはベットマットの上に必要と説明を
受けて知る場合もある,何から何までA,B,C,の世界である。感性もイメ
ージも欧米に飛んでいるのが現状であり,そこに日本の伝統の井草を想像する
環境が作られていない,何十年と繰り返されてきた光景である,そして日本は
熱い地域をもつ,熱い夏をもつ。 井草とて,同じ様な伝統の,日本文化の
伝統をかたくなに守つている,これらが原因であると思われる, そして秋が
きて忘れてしまう。
どうすれば壁を乗り越えられるか,どちらかのイメージを変えるしかない,そ
こで自然に発想すれば自然色は残し井草にカラーを付ける,ベットのイメージ
に合わせる,生活空間を楽しく,明るいイエローを受け入れられる部屋の環境
であればそのカラーを,涼しさをイメージして眠るのなら明るい薄いブルー,
グレー等に変化させる,ここで初めていぐさ,両面井草(綿又はスモールフエ
ザー等入)妨ダニ,抗菌,防臭加工された,いぐさ カラーベットパツトの誕
生である。」
3 本件補正後の特許請求の範囲
平成19年1月11日付け手続補正書(乙3)による補正(以下「本件補
正」という。)がされた後の明細書における特許請求の範囲(請求項の数3)
の請求項1ないし3の記載は,次のとおりである。
「【請求項1】 いぐさで編んだ ござ2枚を両面にし ござのへりの全縁
周部にファースナーを取り付け中に綿をいれ開閉自在にし厚さ7ミリ前後のベ
ットのスプリングマットの上に乗せる,清涼感と汗取りをかねもつた,ベット
パットの提案
【請求項2】 いぐさで編んだ ござ2枚を両面にし ござのへりの全縁周部
に,ファスナーを取り付け開閉自在にしたもの。
【請求項3】 請求項1に記載した,いぐざのござカラーは,今畑から採りだ
した,葉付き青首大根のカラー(白),(黄緑),(みどり),とする。又片
面をたたみ色をのこす場合もある。」
4 審決の理由
審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。審決の判断の概要は,以下
のとおりである。
(1) 特許請求の範囲の補正について
本件補正により請求項1記載の発明特定事項とされた「ござのへりの全縁
周部にファースナーを取り付け中に綿をいれ開閉自在にし厚さ7ミリ前後
の」との構成は,本件当初明細書に記載した事項の範囲内のものであるとは
いえない。すなわち,本件当初明細書には,いぐさを編むことや,いぐさ製
のござについての断片的記載が存在し,さらに両面井草でその中に綿が入れ
られるとともに,その両サイドにファスナーや,パットメイク用の布が取り
付けられるベットパットが記載されていると解することはできるものの,
「いぐさで編んだ『ござ』」で「ベットパット」を構成すること,「ござの
へりの全縁周部にファースナーを取り付け・・・開閉自在に」すること,及
びその「中に綿をいれ・・・厚さ7ミリ前後」とすることは記載されておら
ず,それらは当初明細書等の記載から自明な事項でもない。
本件補正により請求項2記載の発明特定事項とされた「ござのへりの全縁
周部にファースナーを取り付け」との構成についても,本件当初明細書に記
載された範囲内のものではない。
本件補正により請求項3記載の発明特定事項とされた「今畑から採りだし
た,葉付き青首大根のカラー(白)」との構成についても,本件当初明細書
に記載された範囲内のものではない。
(2) 発明の詳細な説明の補正について
本件補正により発明の詳細な説明に記載された事項(別紙審決写し記載の
(a),(b))も,本件当初明細書に記載された範囲内のものではない。
(3) 以上のとおり,本件補正は,本件当初明細書の範囲内においてしたもの
ではなく,平成14年法律第24号改正附則3条1項によりなお従前の例に
よるとされる同法による改正前の特許法17条の2第3項に規定する要件を
満たさない。よって,拒絶査定に対する不服審判の請求は,成り立たない。
第3 当事者の主張
1 取消事由に係る原告の主張
審決には,誤りがある。その理由は,別紙「第一準備書面」写し記載のとお
りである。
2 被告の反論
本件審決に,誤りはなく,原告の主張は理由がない。
第4 当裁判所の判断
1 本件出願に係る発明は,本件補正により,特許請求の範囲の請求項1におい
ては「・・・ござのへりの全縁周部にファースナーを取り付け」・・・厚さ7
ミリ前後の・・・」と特定され,請求項2においては,「・・・ござのへりの
全縁周部に,ファスナーを取り付け・・・」と特定された。これに対して,本
件当初明細書の段落【0005】には,「・・・身体に対して両サイドにファ
スナーを取付,約30㎝のパツトメイク用の布でメイクする。」と記載されて
いるのみであり,「全縁周部」にファスナーを取り付けることや,厚さを「7
ミリ」とすることについては,本件当初明細書には何らの記載もされていない
(注 裁判所において下線を引いた。)。よって,その余の点について判断す
るまでもなく,本件補正は,本件当初明細書に記載した事項の範囲内において
したものであるとはいえず,平成14年法律第24号改正附則3条1項により
なお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第3項に規
定する要件に適合しないから,本件出願は,特許法49条1号により拒絶され
るべきものであり,拒絶査定不服審判の請求が成り立たないとした審決の結論
に誤りはない。他方,原告の取消事由に関する主張は,別紙「第一準備書面」
写し記載のとおりであるが,その趣旨は不明であり,審決を違法なものとして
取り消すに足りず,主張自体失当である。また,訴状添付の審決に手書きで付
記した主張も,同様に主張自体失当である。
その他,原告が本件においてする主張はすべて理由がない。
2 結論
以上によれば,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することと
し,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官
飯 村 敏 明
裁判官
齊 木 教 朗
裁判官大須賀滋は,転補につき,署名押印することができない。
裁判長裁判官
飯 村 敏 明
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