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平成12(行ケ)440行政訴訟 特許権

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裁判所 東京高等裁判所
裁判年月日 平成13年5月30日
事件種別 民事
法令 特許権
民事訴訟法61条1回
特許法120条の41回
キーワード 審決6回
訂正審判1回
特許権1回
主文
事件の概要

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判決文

平成12年(行ケ)第440号 特許取消決定取消請求事件(平成13年5月21
日口頭弁論終結)
          判         決
       原      告   株式会社ソフィア
       訴訟代理人弁理士   後 藤 政 喜
       同          松 田 嘉 夫
       同          藤 井 正 弘
       被      告   特許庁長官 及 川 耕 造
       指定代理人    吉 村  尚
       同          山 田 忠 夫
       同          山 口 由 木
       同          宮 川 久 成
          主         文
      特許庁が異議2000-71558号事件について平成12年9月2
9日にした決定を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   主文と同旨
 2 被告
   原告の請求を棄却する。
   訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は、名称を「カード式遊技機」とする特許第2964177号発明
(平成3年5月21日特許出願、平成11年8月13日設定登録、以下、この特許
を「本件特許」といい、本件特許に係る発明を「本件発明」という。)の特許権者
である。
    本件特許につき平成12年4月18日に特許異議の申立てがされ、異議2
000-71558号事件として特許庁に係属したところ、原告は、同年8月31
日に明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載を訂正する旨の訂正請求
をした。
    特許庁は、同特許異議の申立てにつき審理した上、同年9月29日、「訂
正を認める。特許第2964177号の特許を取り消す。」との決定(以下「本件
決定」という。)をし、その謄本は、同年10月23日、原告に送達された。
  (2) 原告は、平成12年11月20日、本件決定の取消しを求める本件訴えを
提起した後、平成13年2月16日、明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説
明の記載を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2
001-39027号事件として審理した上、同年3月28日、上記訂正を認める
旨の審決(以下「訂正審決」という。)をし、その謄本は、同年4月10日、原告
に送達された。
 2 訂正請求に係る明細書の特許請求の範囲(以下「訂正請求に係る特許請求の
範囲」という。)の記載
  【請求項1】 所要数の遊技球を排出可能な球排出装置を有し、該球排出装置
と一対一に対応して配設され且つカードの有価データを読み取り可能なカードリー
ダに挿入されたカードの保有する有価データの範囲内において、当該有価データを
所定の貸し球数に変換し上記球排出装置より貸し球を前面の供給皿に直接排出可能
に構成されてなるカード式遊技機において、
   遊技盤と一対一に構成される遊技盤制御回路と、
   上記球排出装置に関わる制御を行う排出制御回路と、
   少なくとも上記カードリーダの制御を行う玉貸し制御回路と、
   を別個に備え、
   上記遊技盤制御回路は、少なくとも遊技盤に関わる制御を行うと共に、排出
すべき賞品球数データを記憶する手段を有し、該記憶された賞品球数データを上記
排出制御回路に対し送信する制御を行い、
   上記排出制御回路は、少なくとも上記賞品球数データに対応して所定数の賞
品球を上記球排出装置より排出させる制御を行うと共に、停電により排出を中断さ
せ、停電回復したときに中断された排出を続行させて残りの賞品球を排出させ、か
つ、上記有価データを所要数の貸し球に変換する変換要求に起因する上記玉貸し制
御回路からの球貸要求信号に基づいて、上記球排出装置より所要数の貸し球を排出
させる制御を行うように構成したことを特徴とするカード式遊技機。
 3 訂正審決によって訂正された明細書の特許請求の範囲(以下「訂正後の特許
請求の範囲」という。)の記載
  【請求項1】 所要数の遊技球を排出可能な球排出装置を有し、該球排出装置
と一対一に対応して配設され且つカードの有価データを読み取り可能なカードリー
ダに挿入されたカードの保有する有価データの範囲内において、当該有価データを
所定の貸し球数に変換し上記球排出装置より貸し球を前面の供給皿に直接排出可能
に構成されてなるカード式遊技機において、
   遊技盤と一対一に構成される遊技盤制御回路と、
   上記球排出装置に関わる制御を行う排出制御回路と、
   少なくとも上記カードリーダの制御を行う玉貸し制御回路と、
   を別個に備え、
   上記遊技盤制御回路は、少なくとも遊技盤に関わる制御を行うと共に、排出
すべき賞品球数データを記憶する手段を有し、該記憶された賞品球数データを上記
排出制御回路に対し送信する制御を行い、
   上記排出制御回路は、
   少なくとも上記賞品球数データに対応して所定数の賞品球を、流下する玉を
一個ずつ検出しながら上記球排出装置より排出させる制御を行うと共に、
   停電により、進行中の排出の排出態様と排出数とを保持して排出を中断さ
せ、停電回復したときにいずれの排出態様により排出が中断されていたかの判定結
果に応じて保持されていた球数により中断された排出を続行させて残りの球数を排
出させ、
   かつ、上記有価データを所要数の貸し球に変換する変換要求に起因する上記
玉貸し制御回路からの球貸要求信号に基づいて、上記球排出装置より所要数の貸し
球を排出させる制御を行うように構成したことを特徴とするカード式遊技機。
   (注、下線部が、訂正請求に係る特許請求の範囲と対比したときの訂正箇所
である。)
 4 本件決定の理由
   本件決定は、①訂正請求に係る訂正は、特許法120条の4第2項、同条3
項で準用する同法126条2項、3項の規定に適合するので、当該訂正を認めると
し、②本件発明の要旨を訂正請求に係る特許請求の範囲の記載のとおり認定した
上、本件発明は、本件特許出願の日前の出願であって本件特許出願後に出願公開さ
れた特願平2-261711号出願の願書に最初に添付した明細書に記載された発
明と実質的に同一であるから、特許法29条の2第1項の規定により特許を受ける
ことができないものであり、本件特許は、同法113条2号の規定により取り消す
べきものであるとした。
第3 当事者の主張
 1 原告
   本件決定が、本件発明の要旨を訂正請求に係る特許請求の範囲の記載のとお
り認定した点は、訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が訂正後の特許請求
の範囲のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになるので否認する。
   本件決定が本件発明の要旨の認定を誤った瑕疵は、その結論に影響を及ぼす
ものであるから、本件決定は、違法として取り消されるべきである。
 2 被告
   訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が訂正後の特許請求の範囲のと
おり訂正されたことは認める。
第4 当裁判所の判断
   訂正審決の確定により、特許請求の範囲の記載が訂正後の特許請求の範囲の
とおり訂正されたことは当事者間に争いがないところ、訂正後の特許請求の範囲
は、これを訂正請求に係る特許請求の範囲と対比すると、新たな構成要件が付加さ
れ、特許請求の範囲が減縮されたものであることが認められる。
   そうすると、本件決定が、本件発明の要旨を訂正請求に係る特許請求の範囲
の記載のとおり認定した点は、結果的に誤りであったことに帰し、この要旨認定を
前提として、本件発明が、特願平2-261711号出願の願書に最初に添付した
明細書に記載された発明と実質的に同一であると判断したことも誤りであったもの
といわざるを得ない。そして、この誤りが、本件決定の結論に影響を及ぼすことは
明らかであるから、本件決定は、瑕疵があるものとして、取消しを免れない。
   よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事
件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第13民事部
    裁判長裁判官  篠   原   勝   美
            裁判官   石   原   直   樹
            裁判官   宮   坂   昌   利

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