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平成10(行ツ)81行政訴訟 特許権

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裁判所 最高裁判所第一小法廷
裁判年月日 平成11年4月22日
事件種別 民事
法令 特許権
キーワード 審決24回
無効17回
特許権3回
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。
事件の概要

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判決文

主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人近藤惠嗣の上告理由について
一 本件は、特許権者である被上告人が当該特許についてされた無効審決の取消しを請求
するものであるところ、原審の適法に確定した事実関係及び本件訴訟の経緯の概要は、次の
とおりである。
1 被上告人は、名称を「六本ロールカレンダーの構造及び使用方法」とする特許第一七
三五一七九号 発明(以下 「本件発明」 という 。)の特許権者 である。本 件発明に係る 特許(以
下「 本件特許 」という 。 について 、特許出願の願書に添付された明細書( 以下「 本件明細書 」

という 。)の特許請求の範囲第一項及び第二項の記載は、別紙一のとおりである。
2 上告人は、平成五年九月一四日、特許庁に対し、本件特許を無効にすることについて
審判を請求し、平成五年審判第一八〇四一号事件として審理された結果、平成七年一二月二
二日、本件明細書の特許請求の範囲第一項及び第二項に記載された発明に係る特許を無効に
すべき旨の審決( 以下「 本件無効審決 」という 。 がされた 。被上告人は 、平成八年二月八日 、

本件無効審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。被上告人は、平成八年一一月一三日、
本件明細書の特許請求の範囲の記載等を訂正することについて審判を請求し、平成八年審判
第一九二六六号事件として審理された結果、本件訴訟の原審口頭弁論終結の前である平成九
年一月八日、 右訂正をす べき旨の審決 (以下「本 件訂正審決」 という 。)がされ、確 定した。
本件訂正審決により、本件明細書の特許請求の範囲第一項及び第二項の記載は、別紙二のと
おりに訂正された。
二 【要旨 】特許を無効 にすべき旨 の審決(以下 「無効審決 」という 。)の取消しを求める
訴訟の係属中に、当該特許権について、特許出願の願書に添付された明細書の特許請求の範
囲が、明細書 を訂正すべ き旨の審決( 以下「訂正 審決」という 。)によ り減縮され、 訂正審決
が確定した場合には、当該無効審決を取り消さなければならないものと解するのが相当であ
る。その理由は、次のとおりである。
審決に対す る訴え(以 下「審決取消 訴訟」とい う 。)にお いて、審判 の手続で審理 判断され
なかった公知事実との対比における無効原因は審決を違法とし又はこれを適法とする理由と
して主張することができないことは、当審の判例とするところである(最高裁昭和四二年(行
ツ)第二八号 同五一年三 月一〇日大法 廷判決・民 集三〇巻二号 七九頁 )。明細書の特 許請求の
範囲が訂正審決により減縮された場合には、減縮後の特許請求の範囲に新たな要件が付加さ
れているから、通常の場合、訂正前の明細書に基づく発明について対比された公知事実のみ
ならず、その他の公知事実との対比を行わなければ、右発明が特許を受けることができるか
どうかの判断をすることができない。そして、このような審理判断を、特許庁における審判
の手続を経ることなく、審決取消訴訟の係属する裁判所において第一次的に行うことはでき
ないと解すべきであるから、訂正後の明細書に基づく発明が特許を受けることができるかど
うかは、当該特許についてされた無効審決を取り消した上、改めてまず特許庁における審判
の手続によってこれを審理判断すべきものである。
もっとも、訂正後の明細書に基づく発明が無効審決において対比されたのと同一の公知事
実により無効とされるべき場合があり得ないではないが、特許法は、一二三条一項八号にお
いて、一二六条四項に違反して訂正審決がされたことが特許の無効原因となる旨を規定する
から、右のような場合には、これを理由として改めて特許の無効の審判によりこれを無効と
することが予定されているというべきである。
三 そうすると、本件訂正審決による本件明細書の特許請求の範囲の前記訂正のうち、ロ
ール軸交叉装置及びロール間隙調整装置が所定のロールに分けて備えられる構成が付加され
た点並びに各ロール周速及び各ロール間のバンクの回転についての構成が付加された点は、
特許請求の範囲の減縮に当たるものであるから、本件無効審決はこれを取り消すべきもので
ある。
したがって、本件無効審決を取り消した原審の判断は、結論において是認することができ
る。論旨は採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大出峻郎 裁判官 小野幹雄 裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友 裁
判官 藤井正雄)
(別紙一)
第一項 ゴム及びプラスチック等の高分子用カレンダーにおいて、第一ロールR1と第二
ロールR2とを略水平に並列し、該第二ロールR2の下側または上側に第三ロールR3を第
二ロールR2と平行でかつ第一ロールR1と略直交状に配置し、該第三ロールR3の横側で
第一ロールR1と反対側に第四ロールR4を第三ロールR3と略水平でかつ第二ロールR2
と略直交状に並置し、この第四ロールR4の下側または上側で前記第二ロールR2と反対側
に第五ロールR5を第四ロールR4と平行でかつ第三ロールR3と略直交状に配置し、更に
第五ロールR5の下側または上側で前記第二ロールR2と反対側に第六ロールR6を第四ロ
ールR4及び第五ロールR5と平行でかつ第三ロールR3と略直交状に設置したことを特徴
とする六本ロールカレンダーの
構造。
第二項 ゴム及びプラスチック等の高分子用カレンダーにおいて、第一ロールR1と第二
ロールR2とを略水平に並列し、該第二ロールR2の下側または上側に第三ロールR3を第
二ロールR2と平行でかつ第一ロールR1と略直交状に配置し、該第三ロールR3の横側で
第一ロールR1と反対側に第四ロールR4を第三ロールR3と略水平でかつ第二ロールR2
と略直交状に並置し、この第四ロールR4の下側または上側で前記第二ロールR2と反対側
に第五ロールR5を第四ロールR4と平行でかつ第三ロールR3と略直交状に配置し、更に
第五ロールR5の下側または上側で前記第二ロールR2と反対側に第六ロールR6を第四ロ
ールR4及び第五ロールR5と平行でかつ第三ロールR3と略直交状に設置した六本ロール
カレンダーの構造において、第一ロールR1と第二ロールR2との間に高分子材料を投入し
て両ロール間で圧延し、これを第二ロールR2のロール表面に沿って後方に送り、次に第二
ロールR2と第三ロールR3との間で圧延して、順次第三ロールR3と第四ロールR4との
間で圧延し、更に第四ロールR4と第五ロールR5との間で圧延して、最後に第五ロールR
5と第六ロールR6との間で圧延することを特徴とする六本ロールカレンダーの使用方法。
(別紙二)
第一項 ゴム及びプラスチック等の高分子用カレンダーにおいて、第一ロールR1と第二
ロールR2とを略水平に並列し、該第二ロールR2の下側または上側に第三ロールR3を第
二ロールR2と平行でかつ第一ロールR1方向と略直交状に配置し、該第三ロールR3の横
側で第一ロールR1と反対側位置に第四ロールR4を第三ロールR3と略水平でかつ第二ロ
ールR2方向と略直交状に並置し、この第四ロールR4の下側または上側で前記第二ロール
R2と反対側位置にロール軸交叉装置を備えた第五ロールR5を第四ロールR4と略平行で
かつ第三ロールR3方向と略直交状に配置し、更に第五ロールR5の下側または上側で前記
第二ロールR2と反対側位置にロール間隙調整装置を有する第六ロールR6を第四ロールR
4及び第五ロールR5と平行でかつ第三ロールR3と略直交状に設置し、各ロール周速を第
一ロールR1から順次後方に行くに従って速くしたことを特徴とする六本ロールカレンダー
の構造。
第二項 ゴム及びプラスチック等の高分子用カレンダーにおいて、第一ロールR1と第二
ロールR2とを略水平に並列し、該第二ロールR2の下側または上側に第三ロールR3を第
二ロールR2と平行でかつ第一ロールR1方向と略直交状に配置し、該第三ロールR3の横
側で第一ロールR1と反対側位置に第四ロールR4を第三ロールR3と略水平でかつ第二ロ
ールR2方向と略直交状に並置し、この第四ロールR4の下側または上側で前記第二ロール
R2と反対側位置にロール軸交叉装置を備えた第五ロールR5を第四ロールR4と略平行で
かつ第三ロールR3方向と略直交状に配置し、更に第五ロールR5の下側または上側で前記
第二ロールR2と反対側位置にロール間隙調整装置を有する第六ロールR6を第四ロールR
4及び第五ロールR5と平行でかつ第三ロールR3と略直交状に設置し、各ロール周速を第
一ロールR1から順次後方に行くに従って速くした六本ロールカレンダーの構造において、
第一ロールR1と第二ロールR2との間に高分子材料を投入して両ロール間で圧延し、これ
を第二ロールR2のロール表面に沿って後方に送り、次に第二ロールR2と第三ロールR3
との間で圧延して、順次第三ロールR3と第四ロールR4との間で圧延し、更に第四ロール
R4と第五ロールR5との間で圧延して、最後に第五ロールR5と第六ロールR6との間で
圧延する各ロール間のバンクの回転が順次反対方向となることを特徴とする六本ロールカレ
ンダーの使用方法。

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