ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和6(ワ)70136 損害賠償請求事件
| 裁判所 | 一部認容 東京地方裁判所東京地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和7年2月6日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
不正競争 |
| キーワード | 損害賠償7回 実施2回 侵害1回 |
| 主文 | 1 被告は、原告に対し、110 万円及びこれに対する令和 6 年 3 月 31 日から支払済みまで年 3%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを 20 分し、その 9 を原告の負担とし、その余10 4 この判決は、第 1 項に限り、仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 |
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令和 7 年 2 月 6 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和 6 年(ワ)第 70136 号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和 6 年 12 月 12 日
判 決
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
1 被告は、原告に対し、110 万円及びこれに対する令和 6 年 3 月
31 日から支払済みまで年 3%の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、これを 20 分し、その 9 を原告の負担とし、その余
を被告の負担とする。
4 この判決は、第 1 項に限り、仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
被告は、原告に対し、200 万円及びこれに対する令和 6 年 3 月 31 日から支払済みまで年 3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、被告に対し、以下の請求をする事案である。なお、本件は、原告を債権者、被告及び後記 PRS 社らほか 1 名を債務者として原告が申し立てた支払督促事件(東京簡易裁判所令和 6 年(ロ)第 2839 号)の令和 6年 3 月 27 日付け支払督促(同月 30 日送達)に対し、被告が、同年 4 月 8 日に督促異議の申立てをしたものである。
(1) 被告が、遅くとも令和 4 年 11 月頃~令和 5 年 2 月 15 日の間、PRS ホールディングス株式会社(以下「PRS 社」という。)の従業員であり本件に係る行為の責任者として、同社の作業担当者により、原告が保有・運用する SNS アカウントを PRS社のアカウントであるとする内容虚偽のダイレクトメッセージ(DM)を送信した行為(以下「本件 DM 送信 1」という。)は、品質等誤認表示(不正競争防止法(以下「不競法」という。 条 1 項 20 号)及び信用毀損(同項 21 号)の不正競争に当た)2るとして、不競法 4 条に基づき(主位的請求)、また、原告の営業上の信用を毀損する不法行為であるとして、民法 709 条に基づき(予備的請求) 億 6150 万 2000 円、1
5 (逸失利益 1 億 4382 万円、信用毀損による無形損害 300 万円及び弁護士費用 1468万 2000 円の合計額)の損害の一部である 100 万円の損害賠償及びこれに対する令和 6 年 3 月 31 日から支払済みまで民法所定の年 3%の割合による遅延損害金の支払(全部につき、PRS 社ほか 1 名との連帯責任)。
(2) 被告が、令和 5 年 2 月 15 日~同年 6 月頃の間、PR テック株式会社(以下「PR テック」といい、PRS 社と併せて「PRS 社ら」という。)と締結した業務委託契約の受託者として、同社の作業担当者により、原告が保有・運用するアカウントを PR テックのアカウントであるとする内容虚偽の DM を送信した行為(以下「本件 DM 送信 2」といい、本件 DM 送信 1 と併せて、「本件各 DM 送信」という。)は、品質等誤認表示及び信用毀損の不正競争に当たるとして、不競法 4 条に基づき、1億 6186 万 5000 円(逸失利益 1 億 4415 万円、信用毀損による無形損害 300 万円及び弁護士費用 1471 万 5000 円の合計額)の損害の一部である 100 万円の損害賠償及びこれに対する令和 6 年 3 月 31 日から支払済みまで民法所定の年 3%の割合による遅延損害金の支払請求(全部につき、PR テックほか 1 名との連帯責任)。
2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、枝番号のある書証は、特に明示しない限り、枝番号を含む。)
(1) 当事者等ア 原告は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)によるメディア運営、SNS アカウントの運用代行事業及び SNS の運用に関するコンサルティング等を行う株式会社である。(甲 1、2)イ PRS 社は、PR テックの事業が開始された令和 5 年 2 月 15 日までは、SNS アカウントの運用代行及び SNS の運用に関するコンサルティング等の事業を行っていた株式会社である。また、PR テックは、令和 5 年 2 月 15 日より、SNS アカウントの運用代行及び SNS の運用に関するコンサルティング等の事業を PRS 社より引き継いで行っていた株式会社であり、同社のグループ会社である。
5 被告は、PRS 社の従業員であったが、令和 5 年 12 月に同社を退職した者である。(上記につき、甲 3、4、10)
(2) 本件各 DM 送信ア 原告は、以下のアカウント名により、SNS においてそれぞれの情報を発信するメディア運営事業を行っている(以下、これらのアカウントを併せて「原告各アカウント」という。 。原告各アカウントによる事業において、原告は、顧客企業か)らの依頼に基づきその商品やサービスを PR し、これに対する報酬を得ている。・「コスパ旅」(Instagram、X、TikTok) 主に旅行に関する情報の発信・「お取り寄せカート」(Instagram、X) 全国のお取り寄せグルメの紹介・「懸賞日記」(Instagram) 主に懸賞に関する情報の発信また、原告は、原告各アカウントの運用実績をアピールポイントとして、SNS アカウントの運用代行及び SNS の運用に関するコンサルティング事業の営業活動を行っている。(上記につき、甲 1、2、7)イ 本件 DM 送信 1PRS 社の担当者は、令和 4 年 11 月頃~令和 5 年 2 月 15 日の間、飲食店等の事業者の Instagram アカウントに対する DM により、これらの事業者に対し、その商品等の PR 事業に係る営業活動を行った。その際、同担当者は、「弊社が保有アカウント」ないし「【弊社運営アカウント】」として、DM に原告各アカウントの URL を記載した。(甲 8)ウ 本件 DM 送信 2PR テックの担当者は、令和 5 年 2 月 15 日~同年 6 月頃の間、飲食店等の事業者の Instagram アカウントに対する DM により、これらの事業者に対し、その商品等の PR 事業に係る営業活動を行った。その際、同担当者は、 【弊社運用実績】 、な「 」いし「【弊社が保有しているアカウント】」として、DM に原告各アカウント(全部又は一部)の URL を記載した。(甲 9 の 1~9 の 30)
5 3 争点
(1) 本件各 DM 送信に対する被告の関与
(2) 原告の損害
4 争点に対する当事者の主張
(1) 争点 1(本件各 DM 送信に対する被告の関与)(原告の主張)PRS 社の従業員であった被告は、令和 4 年 11 月頃~令和 5 年 2 月 15 日の間に、責任者として同社担当者に指示をし、原告の潜在的な顧客に対し、原告各アカウントを PRS 社の保有・運用するアカウントと詐称して、営業活動の一環として DM を送信した(本件 DM 送信 1)。また、PR テックとの業務委託契約に基づく受託者である被告は、同日から同年 6 月頃までの間に、責任者として同社担当者に指示をし、原告の潜在的な顧客に対し、原告各アカウントを PR テックの保有・運用するアカウントと詐称して、営業活動の一環として DM を送信した(本件 DM 送信 2)。本件各 DM 送信は、いずれも、被告の運用実績という「役務の質」を示す事項につき事実に反する記載をしたものであり、「取引に用いる…通信に…その役務の質…について誤認させるような表示」をしたものである。また、原告と PRS 社らは、他社の SNS アカウントの運用代行事業及びその運用に関するコンサルティング事業を行う点で競争関係にあるところ、本件各 DM 送信は、いずれも虚偽の事実を告知又は流布するものであり、これにより原告の SNS 運用に関する実力が疑われ、その営業上の信用が毀損されることになる。この点で、本件各 DM 送信は、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」に当たる。したがって、本件各 DM 送信は、品質等誤認表示(不競法 2 条 1 項 20 号)及び信用毀損(同項 21 号)の不正競争行為に当たる。さらに、本件各 DM 送信は、いずれも故意に行われたものである。したがって、原告は、被告に対し、不競法 4 条に基づく損害賠償請求権を有する
5 (主位的請求)。また、本件 DM 送信 1 については、原告は、被告に対し、信用毀損の不法行為に基づく損害賠償請求権を有する(予備的請求)。(被告の主張)被告は、PRS 社の従業員であったが、令和 5 年 12 月に同社を退職した。また、被告と PR テックとの間に業務委託契約関係はない。本件各 DM 送信は退職済みの営業担当者が行ったものであり、被告は、責任者としてこれらを管理していたつもりはない。
(2) 争点 2(原告の損害)(原告の主張)ア 本件 DM 送信 1 による原告の損害(ア) 逸失利益 1 億 4382 万円PRS 社は、本件 DM 送信 1 により、150 件以上の案件を獲得した。1 件当たりの利益は 95 万円(初期費用 5 万円、月額費用 30 万円、最低契約期間 3 か月)であるから、PRS 社は、本件 DM 送信 1 により、合計 1 億 4250 万円の利益を得た。したがって、同額をもって原告の損害額と推定される(不競法 5 条 2 項)。また、被告は、PRS 社から月額 33 万円程度の給与を得ていた。このため、被告は、令和 4 年 11 月頃~令和 5 年 2 月 15 日の間(4 か月)に、本件 DM 送信 1 により、合計 132 万円の利益を得た。同額も同様に原告の損害額と推定される。(イ) 信用毀損による無形損害 300 万円原告は、本件 DM 送信 1 により、原告各アカウントの運営主体が原告ではなくPRS 社らであるとの認知が広まり、原告の潜在的顧客に対する DM での営業活動における返信率が半分以下に低下したほか、原告と PRS 社の関係について問合せを受けるなど、その信用が毀損され、営業活動に支障を生じている。このような本件 DM送信 1 に係る信用毀損による無形損害は、300 万円とみるのが相当である。(ウ) 弁護士費用 1468 万 2000 円
5 (エ) 小計 1 億 6150 万 2000 円イ 本件 DM 送信 2 による損害(ア) 逸失利益 1 億 4415 万円PR テックは、本件 DM 送信 2 により、PRS 社と同程度の案件を獲得し、合計 1 億
4250 万円の利益を得た。したがって、同額をもって原告の損害額と推定される。また、被告は、業務委託報酬として月額 33 万円を PR テックから受領していた。このため、被告は、令和 5 年 2 月 15 日~同年 6 月末の間(5 か月)に、本件 DM 送信 2 により、合計 165 万円の利益を得た。したがって、同額も同様に原告の損害額と推定される。(イ) 信用毀損による無形損害 300 万円本件 DM 送信 1 の場合と同様に、原告は、本件 DM 送信 2 により、その信用が毀損された。これによる原告の損害は 300 万円とみるのが相当である。(ウ) 弁護士費用 1471 万 5000 円(エ) 小計 1 億 6186 万 5000 円(被告の主張)否認ないし争う。PR テックの実績は、ウェブサイトには 150 件以上と記載されているが、実際は
30 件ほどであった。また、PRS 社らが本件各 DM 送信を行ったことをきっかけに契約に至った案件はなく、原告の営業活動にも支障は生じていない。
第3 当裁判所の判断
1 争点 1(本件各 DM 送信に係る被告の関与)について
(1) 事実認定前提事実(前記第 2 の 2)、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。ア 被告及び PRS 社らについて被告は、PRS 社の従業員であったところ、その従業員として発したメールの署名
5 欄には、肩書等として、「SNS 戦略本部営業統括責任者」「サービス内容①インスタ、運用②TikTok 運用③YouTube 運用④求人広告⑤HP 作成」と記載していた。また、被告は PR テックの名刺を有していた。これには、被告の同社における肩書として、「副社長」との記載がある。さらに、被告は、遅くとも令和 5 年 7 月 10 日~同年 9 月 29 日の間、「PRS 株式会社 SNS 戦略本部営業統括責任者」との肩書の下、原告代理人との間で、PRS 社のみならず PR テックのものも含めて、本件各 DM 送信に関する資料提供に関する対応を行っていた。(以上につき、甲 6、10)イ 本件各 DM 送信の内容本件各 DM 送信は、いずれも PRS 社らの担当者名義で行われたものである。その内容は、おおむね、飲食店等の事業者とみられるアカウントの保有者に対し、取材を実施した上で、PRS 社らのアカウントにおいて無料で当該事業者の商品等を紹介することを提案するものである点で共通し、また、いずれにおいても、PRS 社又はPR テックが作成ないし運営に関与しているアカウントの一部として原告各アカウントが紹介されている。(甲 8、9)
(2) 検討ア 前提事実及び上記各認定事実によれば、PRS 社は令和 4 年 11 月頃~令和 5 年
2 月 15 日の間に、PR テックは同日から同年 6 月頃までの間に、原告各アカウントを PRS 社又は PR テックが運用等するアカウントであると称して、営業活動の DMを送信したこと(本件各 DM 送信)、そこで摘示された「PRS 社らが原告各アカウントを運用等している」との事実は虚偽であることが認められる。このような事実の表示は、その表示に接した者をして、原告による原告各アカウントの運用及びその実績を PRS 社らの実績であるかのように誤認させるに足りるものである。したがって、このような PRS 社らの行為は、PRS 社らの提供する役務の質について誤認させるような表示といってよく、品質等誤認表示(不競法 20 条 1
5 項 20 号)の不正競争に当たる。また、原告と PRS 社らは顧客の SNS 運用事業等において競争関係にあるといえるところ、上記事実の告知又は流布により、原告各アカウントに係る運用実績等について顧客から疑義を抱かれるなどして、原告がその営業上の信用を害される恐れは少なからず存すると思われる。したがって、このような PRS 社らの行為は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知又は流布といってよく、信用毀損(同項 21 号)の不正競争に当たる。以上に反する被告の主張は採用できない。イ 被告は、令和 5 年 12 月に PRS 社を退職した旨主張するところ、これを前提としても、本件各 DM 送信は、原告の PRS 社在職期間内に行われたものである。また、被告が PRS 社において「SNS 戦略本部営業統括責任者」との肩書を付された地位にあったことなどに鑑みると、被告は、同社における SNS を用いた営業活動を統括していたことがうかがわれる。そうすると、まず、本件 DM 送信 1 については、被告の指揮の下に PRS 社の担当者が行ったものとみるのが相当である。さらに、PR テックは PRS 社のグループ会社であり、PRS 社から SNS 事業を引き継いで実施していたこと、本件 DM 送信 2 の内容は、若干の表現の違いこそあれ本件 DM 送信 1 と同旨のものと理解されること、被告は対外的に PR テックの「副社長」という肩書を用いていたこと、原告代理人による本件各 DM 送信に係る問合せに対応していたことに鑑みると、被告と PR テックとの間の契約関係がいかなるものであれ、被告は、PRS 社のグループ会社として PR テックが承継した SNS 事業につき、PR テックにおける統括責任者として関与していたものとうかがわれる。そうである以上、本件 DM 送信 2 についても、本件 DM 送信 1 と同様に、被告の指揮の下、PR テックの担当者が行ったものとみるのが相当である。これに対し、被告は、本件各 DM 送信は退職済みの営業担当者が行ったもので、被告が責任者として管理していたつもりはない旨主張する。しかし、この点に関する具体的な主張はなく、また、これを裏付けるに足りる具体的な証拠もないことか
5 ら、この点に関する被告の主張は採用できない。ウ 以上より、被告は、PRS 社らにおける業務として同社らの従業員に指示をして本件各 DM 送信を行った点で、品質等誤認表示及び信用毀損の不正競争を行ったものといえる。また、本件各 DM 送信は、PRS 社らにおける被告の業務として行われたものである以上、被告の故意に基づき行われたものと認められる。したがって、被告は、本件各 DM 送信につき、原告に対し、これによって原告に生じた損害の賠償責任を負う(不競法 4 条)。
2 争点 2(原告の損害)について
(1) 事実認定証拠(甲 2、7)によれば、被告は、格闘技イベント「BreakingDown」の SNS アカウントをはじめとする複数の SNS 運用代行業務を行っていること、原告各アカウントのフォロワー数が以下のとおりであったことがそれぞれ認められる。・「コスパ旅」Instagram アカウント 約 15.2 万人(令和 5 年 5 月頃時点)X アカウント 約 8.5 万人(時期不詳)TikTok アカウント 約 2 万人(令和 6 年 5 月時点)・「お取り寄せカート」Instagram アカウント 約 7.3 万人(令和 5 年 5 月頃時点)X アカウント 約 1100 人(時期不詳)・「懸賞日記」の Instagram アカウント 約 8000 人また、本件各 DM 送信(甲 8、9)は、原告にとっても顧客となり得る事業者を対象として、少なくとも 39 件(本件 DM 送信 1 につき 8 件、本件 DM 送信 2 につき
31 件)が行われ、これに起因してその対象となった事業者から原告が PRS 社らとの関係性について問合せを受けた例があること(甲 11、12)が認められる。
(2) 原告の損害発生の有無及びその額
5 ア 信用毀損による無形損害について前記のとおり、被告の品質等誤認表示及び信用毀損の不正競争により、原告の営業上の信用毀損という無形損害が発生したものと認められる。その額については、本件各 DM 送信の内容及び回数等に鑑み、本件 DM 送信 1 につき 20 万円、本件 DM送信 2 につき 80 万円とするのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。なお、原告は、本件 DM 送信 1 につき、予備的請求として不法行為に基づく損害賠償請求をも主張するところ、仮にこれが認められるとしても、その損害額は上記の認定額を超えるものではない。この点に関する原告の主張は採用できない。イ 逸失利益について原告は、信用毀損による無形損害に加え、不競法 5 条 2 項に基づき推定される損害額を主張する。しかし、同条は、不正競争により営業上の利益を侵害された者の損害の額を推定するものであって、損害発生の事実をも推定するものではないと解される。本件においては、品質等誤認表示及び信用毀損の不正競争が行われたところ、これらの不正競争により現に原告が PRS 社らにより顧客を奪取され、又は得られたはずの顧客との取引の機会を喪失したといった事情の存在につき、原告は何ら具体的に主張立証していない。また、一般的にみて、原告及び PRS 社らが行う他社の SNS運用事業等の事業につき、被告及び PRS 社らの上記不正競争が直ちに原告の上記取引喪失等につながるとみるべき蓋然性も必ずしも高くないと思われる。加えて、原告は、被告が PRS 社らから受領した給与等の額も推定損害額の算定に含めるところ、これは原告の営業上の利益の喪失と直接関係するものではない。以上より、本件においては、そもそも被告及び PRS 社らの不正競争による原告の損害発生を認められない。この点に関する原告の主張は採用できない。ウ 弁護士費用相当損害額について上記のとおり、本件各 DM 送信により原告に生じた無形損害は合計 100 万円と認
5 められるところ、本件各 DM 送信と相当因果関係の認められる弁護士費用相当損害額は、上記認容額や本訴の経緯等を踏まえ、合計 10 万円(本件 DM 送信 1 につき 2万円、本件 DM 送信 2 につき 8 万円)とするのが相当である。これに反する原告の主張は採用できない。
(3) 小括以上より、原告は、不競法 4 条に基づき、被告に対し、本件 DM 送信 1 につき合計 22 万円、本件 DM 送信 2 につき合計 88 万円、総計 110 万円の損害賠償請求権を有する。
第4 結論
よって、原告の請求には主文掲記の限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余を棄却することとして、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第 47 部裁判長裁判官杉 浦 正 樹裁判官石 井 奈 沙裁判官志 摩 祐 介別紙当事者目録原 告 ONE HOPE 株式会社同訴訟代理人弁護士 櫛橋 建太同訴訟復代理人弁護士 江本 磨依被 告 A
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