令和7(行ケ)10041承継参加申立て事件
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| 裁判所 |
知的財産高等裁判所
|
| 裁判年月日 |
令和8年6月30日 |
| 事件種別 |
民事 |
| 対象物 |
ビデオカメラ |
| 法令 |
特許権
特許法29条2項1回
|
| キーワード |
審決15回 実施12回 無効8回 進歩性7回 特許権5回 優先権4回 無効審判2回 刊行物1回
|
| 主文 |
1 参加人の請求を棄却する。
2 訴訟費用は参加人の負担とする。 |
| 事件の概要 |
本件は、特許権者である参加人が、被告に対し、特許を無効とした審決の取
消しを求める事案である。争点は、進歩性に関する認定判断の誤りである。 |
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判決文
令和8年6月30日判決言渡
令和7年(行ケ)第10041号 承継参加申立て事件
口頭弁論終結日 令和8年4月21日
判 決
5 当事者の表示 別紙1当事者目録記載のとおり
主 文
1 参加人の請求を棄却する。
2 訴訟費用は参加人の負担とする。
事実及び理由
10 第1 請求
特許庁が無効2022-800039号事件について令和6年10月16日
にした審決のうち、特許第5231529号の請求項1から7まで及び10か
ら22までに係る部分を取り消す。
第2 事案の概要
15 本件は、特許権者である参加人が、被告に対し、特許を無効とした審決の取
消しを求める事案である。争点は、進歩性に関する認定判断の誤りである。
1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に顕
著な事実)
⑴ レッド.コム,インコーポレイテッドは、平成20年4月11日、発明の
20 名称を「ビデオカメラ」とする発明について、特許出願(特願2010-5
03253号。優先権主張日:平成19年4月11日(以下「本件優先日」
という。)、優先権主張国:米国、優先権主張日:平成19年12月28日、
優先権主張国:米国)をし、平成25年3月29日、特許権の設定登録(特
許第5231529号。請求項の数22。以下、この特許を「本件特許」と
25 いう。)を受けた。
⑵ 被告は、令和4年4月28日、本件特許につき、当時特許権者であったレッ
ド.コム,エルエルシーを被請求人として、無効審判を請求した(無効20
22-800039号)。
レッド.コム,エルエルシーは、令和6年7月9日、上記無効審判請求事
件において、本件特許の特許請求の範囲のうち、請求項6から9まで及び1
5 3から22までについて訂正(訂正後の請求項の数20。請求項8及び9は
削除。以下「本件訂正」という。)する旨の訂正を請求した。
特許庁は、令和6年10月16日、本件訂正を認めた上で、
「特許第523
1529号の請求項1~7、10~22に係る発明についての特許を無効と
する。特許第5231529号の請求項8、9に係る発明についての本件審
10 判の請求を却下する。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄
本は、同月25日、レッド.コム,エルエルシーを承継した脱退原告に送達
された(出訴期間90日附加)。
⑶ 脱退原告は、令和7年2月19日、本件審決のうち本件特許の請求項1か
ら7まで及び10から22までに係る部分の取消しを求める本件訴訟を提起
15 した。
⑷ 脱退原告は、参加人に対し、本件特許権を譲渡することとし、令和7年3
月26日受付をもって、特許権の移転登録を了した。参加人は、同年4月2
8日、本件訴訟に承継参加し、脱退原告は、令和8年4月21日、本件訴訟
から脱退した。
20 2 特許請求の範囲及び明細書の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1から7まで及び10から22までの
記載は、別紙2「本件訂正後の特許請求の範囲」に記載のとおりである(以下、
本件訂正後の請求項1から7まで及び10から22までに係る発明を請求項の
番号に応じて「本件訂正発明1」等といい、これらを併せて「本件各訂正発明」
25 という。甲63。なお、分説は本件審決のとおりとした。)。また、本件特許に
係る明細書及び図面(以下、これらを併せて「本件明細書」という。)の記載は、
甲46(本件特許に係る特許公報)に記載のとおりである(以下、その段落番
号等を【】で示す。)。
3 本件審決の理由の要旨
上記審判手続において主張された無効理由のうち、無効理由1-2(甲1を
5 主引用例とする進歩性欠如)についての判断の要旨は、次のとおりである。
⑴ 甲1の1に記載された発明
本件優先日前に頒布された刊行物である甲1の1(米国公開特許公報(US
2006/0061822 A1)。以下、翻訳文である甲1の2と併せて「甲1」という。
また、その段落番号等を[]で示す。)には、次の発明(以下「甲1発明」と
10 いう。)が記載されていると認められる。
「1a 映画用カメラであって、動画レコーダーであり、
1b MPEG2 ムービーからディスプレイで再構築する際には、毎秒60フ
レームの表示速度であって、一時的な必要性のために画像バッファに
保存する際に、720×480解像度であり、
15 1c 第1のデバイス21(生画像キャプチャメカニズム)から生のピク
セル情報を含む画像データ23が送信され、一時バッファデバイス2
2によって受信され、一時バッファデバイス22は、画像データを圧
縮し、圧縮された画像データをメモリ221に格納し、第2のデバイ
ス25(生画像をメモリカードに記録される JPEG ファイルに圧縮す
20 るための JPEG 圧縮機)が画像データ23を処理する準備ができると、
解凍されたデータ24が第2のデバイス25に送信され、
1d 画像データ23を圧縮するための3つのステップは、少なくとも一
つのオフセット平面を計算すること、隣接オフセット値を計算するこ
と、可変長コーディング(VLC)を採用して隣接オフセット値を圧縮する
25 ことであって、
1e 画像をキャプチャするための CCD センサ50は、ピクセルのマト
リックスで構成され、異なる色情報を取得するために、CCD のピクセ
ル502のグループは、それぞれ、有効ピクセルのR(ed)、G(reen)、
B(lue)、G(reen)情報をキャプチャするために使用され、CCD センサ
50によって取得された画像データ23の生のピクセル情報は、R平
5 面、G平面、B平面、及びG平面の色情報を含み、R(ed)を中心にし
た場合、G(reen)はR(ed)の上下左右に配置され、
1f 二つのピクセル平面間の差分情報を表すオフセット平面のオフ
セット行列(Diff-RG)は、R平面60とG平面62との間の差分情報
を含み、R平面60及びG平面62の整数の二つの行列の間で減算を
10 実行することによって取得され、色成分間に高い相関関係があるので、
カラー平面を直接圧縮するのではなく、オフセット平面を圧縮するこ
とで、より高い圧縮率が得られ、圧縮されたG平面並びに Diff-RG 及
び Diff-GB(B平面とG平面のオフセット平面)を記録するには、圧
縮されたG平面、B平面及びR平面を直接記録する場合より小さなメ
15 モリサイズしか必要とならず、
1g オフセット平面を最初に計算するか、隣接オフセット値を最初に計
算するか、オフセット平面または隣接オフセット値のいずれかのみを
計算するかを選択でき、
1h 画像は、レンズ112を通して CCD イメージセンサ114によって
20 キャプチャされ、
1i キャプチャされた生の画像データは、ガンマ補正、色補正、および
補間などの機能を含む画像処理ユニット116に送られ、画像処理ユ
ニット116の後の画像ピクセルは、圧縮エンジン118(コーデッ
ク118)によって処理され、その後、データ削減のために別の画像
25 圧縮エンジン120に送られる前に一時的に格納され、その結果、よ
り小さなサイズのファイルが記録メディアに格納され、または、ネッ
トワーク経由で送信され、
1j 上記の3つのステップを実行する圧縮エンジン118(コーデック
118)は、画像処理ユニット116と別の画像圧縮エンジン120
の間に結合され、画像データの一時バッファを提供する
5 1k 映画用カメラ。」
⑵ 本件各訂正発明は、甲1発明、甲2の1に記載された技術及び甲3の1に
記載された技術並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすること
ができたものであるから、本件各訂正発明についての特許は、特許法29条
2項の規定に違反してされたものである。
10 第3 原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(甲1発明の認定の誤り)
⑴ 画像データの処理において、モザイク状画像データ及びフルカラー画像
データ等に対して、どの段階で圧縮するかという観点から、大別して2つの
タイプの画像データの圧縮方法が考えられる。具体的には、モザイク状画像
15 データに対してデモザイキング処理を行いフルカラー画像データにした後に
圧縮するタイプと、モザイク状画像データに対してデモザイキング処理をす
る前に圧縮するタイプの2つに大別することができる。
甲1発明は、デモザイキング処理後の画像データの圧縮方法に分類される
ものであるが、本件各訂正発明は、デモザイキング処理前の画像データの圧
20 縮方法に分類されるものであり、両発明の技術的思想は根本的に異なってい
る。
⑵ 上記のとおり、甲1発明は、デモザイキング処理後のフルカラー画像デー
タのR、G、B等の成分間の冗長データを削減する画像圧縮に関する発明で
ある。にもかかわらず、本件審決は、甲1発明をデモザイキング処理前のモ
25 ザイク状画像データに対する画像圧縮に関する発明と認定している点で誤り
がある。
したがって、甲1発明の構成1fは次のとおり認定されるべきである(下
線部が記載を追加した部分である。)。
「1f 二つのピクセル平面間の差分情報を表すオフセット平面のオフセッ
ト行列(Diff-RG)は、R平面を補間してデモザイキング処理をするこ
5 とで生成するR平面60と2つのG平面を補間してデモザイキング処
理をすることで生成するG平面62との間の差分情報を含み、R平面
60及びG平面62の整数の二つの行列の間で減算を実行することに
よって取得され、色成分間に高い相関関係があるので、カラー平面を
直接圧縮するのではなく、オフセット平面を圧縮することで、より高
10 い圧縮率が得られ、圧縮された2つのG平面を補間してデモザイキン
グ処理をすることで生成するG平面並びに Diff-RG 及び Diff-GB(B
平面を補間してデモザイキング処理をすることで生成するB平面と2
つのG平面を補間してデモザイキング処理をすることで生成するG平
面のオフセット平面)を記録するには、圧縮された2つのG平面を補
15 間してデモザイキング処理をすることで生成するG平面、B平面を補
間してデモザイキング処理をすることで生成するB平面及びR平面を
補間してデモザイキング処理をすることで生成するR平面を直接記録
する場合より小さなメモリサイズしか必要とならず、」
⑶ 甲1発明がデモザイキング処理後のフルカラー画像データのR、G、B等
20 の成分間の冗長データを削減する画像圧縮に関する発明であることの理由は
以下のとおりである。
ア デモザイキング処理前のモザイク状画像データでは、1画素に1色しか
入っておらず、またGの情報量はR又はBの情報量の2倍となっているた
め、モザイク状画像データでは、G平面に対するR平面又はB平面の差分
25 を、これらの平面同士でそのまま引き算して算出することはできない。ま
た、G平面、R平面及びB平面とで色の存在する行と列の位置がずれてお
り、そのままでは同じ行と列の値に対して差分をとることができないため、
モザイク状画像データにおいて差分をとる場合には、行と列を明示した演
算式を示すのが通常であるが、甲1のオフセット平面の計算方法には、各
色の行と列の情報等が記載されていない。
5 そして、甲1のオフセット平面の計算式([0044])は、単純な引き
算でオフセット平面が算出されているから、その式自体が、デモザイキン
グ処理後の画像データに対するものであることを示している。また、甲1
のデジタルカメラの実施例([0042]、図6A)において、R平面60
及びG平面62は、同じ行と列の値で差分をとっており、この行と列の位
10 置の一致は、対象の画像データがデモザイキング処理後のものであること
を示している。
イ 甲 1 の[0039]には、画像データ23が圧縮されることが、
[004
4]には、その画像データがG平面、B平面及びR平面の3成分からなり
(4成分であるとは理解できない。)、これに対応するオフセット平面(G
15 平面、Diff-RG 及び Diff-GB)に変換することにより、圧縮保存時に必要と
されるメモリサイズが小さくなることが記載されている。そうすると、
[0
039]で圧縮される画像データ23は、デモザイキング処理後の画像
データである。
ウ 甲1には、
「補間(interpolation)」等の機能を備えた画像処理ユニット
20 116の後の圧縮エンジン118にオフセットユニット151が配置さ
れ て い る こ と が 記 載 さ れ て い る ([ 0 0 6 0 ]、 図 1 0 B )。「 補 間
(interpolation)」とは、通常デモザイキング処理を意味するから、甲1
におけるオフセット平面の計算は、デモザイキング処理後の画像に対する
ものである。
25 エ 甲1では、R、G、Bと、デモザイキング処理後のフルカラー画像デー
タであるY、U、V及びY、Cb、Crとが並列列挙されているから([0
009]、
[0010]、
[0071])、甲1におけるR、G、Bは、Y、U、
VやY、Cb、Crと同様にデモザイキング処理後の画像データである。
オ 甲1には、デジタルカメラの実施例([0060])とLCDディスプレ
イの実施例([0058]、[0059])が記載されている。LCDディス
5 プレイのコーデック1201([0058]、[0059])の対象は、デモ
ザイキング処理後の画像データである。そして、LCDディスプレイの
コーデック1201と、デジタルカメラのコーデック118([0060])
とは、圧縮の「3つのステップ」
([0040])が共通し、さらに両者が並
列列挙されている記載がある([0061])。そうすると、両者は同様の機
10 能等を有するものと理解でき、デジタルカメラの実施例においても、デモ
ザイキング処理後の画像データを対象としてオフセット平面をとること
等が含まれている。
カ 甲1のデジタルカメラの実施例[0036]では、
「生画像データを含む
画像データ23」がJPEGファイルに圧縮されている。JPEG圧縮が
15 適用できる画像データは、通常デモザイキング後のフルカラーの画像デー
タであるから、
「生画像データを含む画像データ23」はデモザイキング後
のフルカラーの画像データである。
2 取消事由2(本件各訂正発明と甲1発明との一致点及び相違点の認定の誤り)
本件審決は、本件各訂正発明と甲1発明との相違点について、少なくとも2
20 つの相違点を看過しており、相違点の認定に誤りがある。
⑴ 本件訂正発明1の構成要件1F及び1Gでは、「モザイク状画像データを
有しかつ第1、第2および第3の色を示」す生画像データにおいて、
「圧縮を
改善するために画像素子の相互関係を利用すべく、前記圧縮前に、前記第3
の色における選択された画像データの値から導かれた計算画像値に基づいて、
25 前記第1および第2の色における少なくとも1つを示す画像データを修正す
る」のに対し、甲1発明は、デモザイキング処理後のフルカラー画像データ
(モザイク状画像データではない)のR、G、B等の成分間において差分を
とっている点(以下「相違点X」という。)。
⑵ 本件訂正発明1の構成要件1Eでは、「予め強調処理しかつ圧縮した前記
生画像データを復元した際に、視覚的にほぼ劣化のない状態を保つように、
5 前記生画像データを予め強調処理しかつ圧縮し、および、1秒ごとに少なく
とも約23フレームのフレームレートで、前記予め強調処理しかつ圧縮した
前記生画像データを前記メモリ素子に保存するように構成されている画像処
理システムと、を有し」とするのに対し、甲1発明は、単に「gamma correction」
(ガンマ補正)と記載されているにとどまり、本件訂正発明1の「予め強調
10 処理」のためのガンマ補正は開示されていない点(以下「相違点Y」という。)。
⑶ 本件訂正発明5の構成要件5F及び5Gは本件訂正発明1の構成要件1F
及び1Gに、本件訂正発明5の構成要件5E’は本件訂正発明1の構成要件
1Eに対応している。また、本件訂正発明2から4まで、6、7、10から
22までは、いずれも請求項1を引用しており、本件訂正発明1の構成要件
15 1Aから1Fまでを有する。そうすると、上記⑴及び⑵と同様にして、本件
訂正発明2から7まで、10から22までにおいても、甲1発明との相違点
X及び相違点Yを看過した誤りがある。
3 取消事由3(進歩性の判断の誤り)
本件各訂正発明と甲1発明との相違点である相違点X及び相違点Yは、甲1
20 発明、甲2の1に記載された技術及び甲3の1に記載された技術並びに周知技
術に基づいたとしても、容易に想到することができたとはいえないから、本件
審決が、相違点X及び相違点Yを看過して、本件各訂正発明が容易に発明する
ことができたものであると判断したことは誤りである。
第4 被告の反論
25 1 取消事由1(甲1発明の認定の誤り)について
⑴ 原告の主張は、甲1には画像圧縮前にデモザイキング処理を行うという記
載がないにもかかわらず、
「技術常識」という名目でこれを付加して認定させ、
相違点を無理に形成しようとするもので妥当ではなく、本件審決の甲1発明
の構成1fの認定に誤りはない。
⑵ 原告が主張する、甲1発明がデモザイキング処理後のフルカラー画像デー
5 タの画像圧縮に関する発明であることの理由は、以下のとおり誤りである。
ア 甲1には、オフセット平面の計算方法の一連の処理([0040]~[0
044]、図4~6)において、デモザイキング処理の記載は一切ない。
甲1の図5にR平面、B平面及び2つのG平面が記載されている点は、
オフセット平面の計算処理([0040]~[0044])が、生のピクセ
10 ル情報であるR平面、G平面、B平面、及びG平面に対して行われている
ことを示している。
甲1において、「R平面60及びG平面62の整数の二つの行列の間で
減算を実行する」
([0042])場合、当業者は、Rの上下左右のいずれか
のGの値を差引きすればよいと理解できる。その点について特段の指定が
15 ないからといって、甲1発明に深刻な問題が生じるわけではないから、デ
モザイキング後の画像データに対するものであると読み替える理由には
ならない。
イ 甲1の[0044]には、オフセット平面に対応する元の画像データ2
3に変換することが記載されている。一部のデータを欠損させれば、元の
20 画像データ23に変換することができないことは明らかであるから、G平
面のうち一部(2つのG平面のうちの1つ)しか保存しないことは考えら
れない。よって、
[0044]における「記録されるG平面」とは、当然、
全てのG平面(2つのG平面)を指すと理解される。
ウ 甲1の[0060]には、
「補間」と記載されているだけで、当該処理が
25 デモザイキング処理であることは全く記載されていない。「interpolation
(補間)」には様々な処理が含まれ、例えば、欠陥画素がある場合に周辺画
素の画素値を補間して欠陥画素の補償を行うことも「interpolation(補
間)」の一種である。甲1の[0060]には、単に「interpolation」と
記載されているだけであり、甲76の記載(「color interpolation」)及び
甲78の記載(「color filter array interpolation」)を根拠に、甲1の
5 「interpolation」をデモザイキング処理であると理解することはできな
い。
エ 甲1に開示された技術の特徴は、
「色成分間の相関性を利用してオフセッ
ト平面を計算し、圧縮率を向上させる」という点にある。この技術的特徴
は、処理対象がベイヤ配列のモザイク状データであっても、フルカラー画
10 像データであっても適用できる。
[0071]で、YUV色空間やYCbC
r色空間について言及されているのは、発明の拡張性を留保するために言
及されたものにすぎない。これらの記載は、甲1の処理が様々な画像、様々
な色空間に適用可能であることを示すものにすぎず、甲1の技術の対象が
全てデモザイキング処理されたフルカラー画像データであることを意味
15 するものではない。
オ 甲1の処理が様々な画像、様々な色空間に適用可能であることからすれ
ば、処理対象画像のフォーマットが同一である必要はない。甲1のコー
デック1201とコーデック118が同様の機能(一時的な画像バッファ
圧縮)を有するからといって、入力画像が共通であることを意味しない。
20 カ 甲1が出願された2004年当時、既にJPEG2000の圧縮方式が
存在しており、デモザイキング処理前の画像データをJPEG2000の
圧縮アルゴリズムを利用して圧縮することは可能であった。したがって、
[0036]に記載された「JPEG compressor」という記
載から、その入力データが必ずデモザイキング処理後のフルカラー画像
25 データであると断定することはできない。
2 取消事由2(本件各訂正発明と甲1発明との一致点及び相違点の認定の誤り)
について
⑴ 相違点Xについて
前記1で主張したとおり、甲1発明がデモザイキング処理後の画像データ
の画像圧縮に関する発明であるとの原告の主張は認められず、本件訂正発明
5 1と甲1発明との間に相違点Xは認められない。
⑵ 相違点Yについて
本件訂正発明1の「強調処理」は、単に「強調処理」と記載されているだ
けで、その他の限定は何ら付されていない。そして、甲1発明の「ガンマ補
正」が、暗い部分はより明るくなるように、明るい部分は明るさを抑えるよ
10 うに行う処理であることは本件優先日当時の技術常識である。
画像データにガンマ補正を行えば、当該データの暗い部分がより明るくな
るように補正される(「強調」がなされる。)ことは自明であり、ガンマ補正
の目的や用途にかかわらず、それ自体「強調処理」に該当する(少なくとも、
ガンマ補正が「強調処理」の下位概念に含まれる。)ことは明らかであるから、
15 甲1発明の「ガンマ補正」は本件訂正発明1の「強調処理」と一致し、相違
点Yは認められない。
⑶ 以上のとおり、本件訂正発明1と甲1発明との間に相違点X及び相違点Y
は認められず、本件審決の認定に誤りはない。そして、本件訂正発明5、本
件訂正発明2から4まで、6、7、10から22までについても同様である。
20 3 取消事由3(進歩性の判断の誤り)について
前記のとおり、相違点X及び相違点Yが認められないことから、その進歩性
判断の誤りを主張する取消事由3も理由がない。
第5 当裁判所の判断
1 本件各訂正発明の概要
25 本件訂正後における本件特許の特許請求の範囲及び本件明細書の記載(前記
第2の2)によると、本件各訂正発明の概要は以下のとおりであると認められ
る。
⑴ 本件各訂正発明は、デジタルカメラ(たとえば、静止画あるいは動画をキャ
プチャするためのもの)に関し、より具体的には、画像データを圧縮するデ
ジタルカメラに関する発明である(【0001】)。
5 ⑵ デジタルビデオカメラの有用性にもかかわらず、映画及び一部のテレビ放
送の製作者は、フィルムカメラを信頼し続けている。現在の市販されている
デジタルビデオカメラは、高解像度の画像センサを有しており、したがって、
高解像度のビデオを出力するが、このようなカメラに搭載され使用されてい
る画像の処理及び圧縮の技術は、劣化が大きすぎるとともに、余りにも多く
10 の生(未加工)画像データを削除しているので、上記の市場のハイエンド部
門においては受け入れられないものである。(【0002】、【0003】)
⑶ 本発明のビデオカメラは、携帯可能な筐体と、この筐体によって保持され
ているとともに、光の焦点を合わせるように構成されているレンズアセンブ
リとを備えることが可能である(【0004】)。
15 感光デバイスは、焦点光を、1秒ごとに少なくとも約23フレームのフ
レームレートで、少なくとも2kの解像度を有する生画像データに変換する
ように、構成することが可能である。この感光デバイスは、焦点光を、少な
くとも第1、第2及び第3の色を示す画像データの生信号に変換するように
構成されている。(【0004】、【0010】、【0012】)
20 このカメラは、メモリ素子及び画像処理システムを含むことが可能である。
メモリ素子は、ビデオ画像データを保存するように構成されることが可能で
ある。画像処理システムは、少なくとも6対1の圧縮比で、かつ、視覚的に
ほぼ劣化のない状態を保ちながら、1秒ごとに少なくとも約23フレームの
レートで、生画像データを圧縮してメモリ素子に保存するように構成されて
25 いる。(【0004】、【0007】)
さらに、ビデオカメラは、メモリ素子と、第1、第2及び第3の色の画像
データを圧縮するように構成されているとともに、圧縮された画像データを
メモリ素子に保存するように構成されている圧縮デバイスとを備えることが
可能である。例えば、画像データを、プリエンファシス(予め強調処理)す
る、あるいは他の方法で処理することが可能である。画像データを、より(数
5 学的に)非線形となるように処理することも可能である。圧縮アルゴリズム
のなかには、圧縮の前に、画像素子に対するこのような線形近似を実行する
ことが有益となるものもある。(【0010】、【0075】)
緑色、赤色及び青色の画像データを、三つあるいは四つに分離されたデー
タ編集に分離するように、画像処理モジュールを構成することが可能である。
10 画像処理モジュールは、第3の色の画像データに基づいて、第1及び第2の
色における少なくとも一つの画像データを修正するように構成されることが
可能である。赤色あるいは青色の画素から差し引かれる大きさを、これらの
赤色あるいは青色の画素に隣接する緑色画素から出力される値の大きさとす
ることが可能である。さらに、赤色あるいは青色の素子から差し引かれる緑
15 色の大きさを、周囲の緑色素子の平均値から得ることも可能である。(【00
10】、【0038】、【0052】)
⑷ このような方法を用いて画像データを処理することによって、画像センサ
からの画像データを、6対1あるいはそれより大きい圧縮比によって圧縮し、
かつ、視覚的に劣化のない状態に保つことが可能である。さらに、画像デー
20 タが(たとえば、緑色画像データを差し引くことによって)変換されていて
も、全ての生の画像データは、エンドユーザにとって利用可能なままとなっ
ている。(【0084】。同段落の「劣化の状態に保つ」は、「劣化のない状態
に保つ」の誤記と認められる。)
2 甲1に記載された発明の概要
25 甲1には、以下の概要の発明が記載されていると認められる。
⑴ 本発明は、データを一時的に記憶するための方法及び装置に関するもので
あり、より具体的には、画像データを記憶するための一時的なバッファを提
供するための方法及び装置に関する発明である([0002])。
⑵ 本発明は、第1のデバイスから第2のデバイスに画像データを一時的に
バッファリングするための方法及びデバイスに関するものであり、特に、圧
5 縮エンジン又は表示エンジンに送信される前に、一時バッファの画像データ
を圧縮することに関し、表示前に画像を一時的に保存するために必要な記憶
装置の容量を大幅に低減するものである([0008])。
本発明は、生の画像データを圧縮エンジンに送信する前に、赤、緑、青、
又はY、U、V又はY、Cb、Cr成分の間の冗長データを低減する([00
10 10])。
⑶ 生画像データを含む画像データ23は、さらなる処理のために、第1のデ
バイス21から第2のデバイス25に送信される。このような環境は、プリ
ンタ、スキャナ、デジタルカメラ、映画用カメラなど、多くの画像アプリケー
ションで見られる。例としてデジタルカメラアプリケーションを取り上げる
15 と、第1のデバイス21は生画像キャプチャメカニズムを表し、第2のデバ
イス25は、生画像をメモリカードに記録されるJPEGファイルに圧縮す
るためのJPEG圧縮機を表す。([0036])
画像データ23は、第1のデバイス21から送信され、次に一時バッファ
デバイス22によって受信される。一時バッファデバイス22は、画像デー
20 タを圧縮し、圧縮された画像データをメモリ221に格納する。第2のデバ
イス25が画像データ23を処理する準備ができると、解凍されたデータ2
4が第2のデバイス25に送信される。([0037])
⑷ 生のピクセル情報を含む画像データ23を圧縮する実施例の一つは、画像
データ23を圧縮するための3つのステップからなる。最初のステップは、
25 少なくとも一つのオフセット平面を計算すること(ステップ402)、2番目
のステップは隣接オフセット値を計算すること(ステップ404)、3番目の
ステップは可変長コーディング(VLC)を採用して隣接オフセット値を圧
縮することである(ステップ406)。([0040])
第1のデバイス21によって取得された画像データ23の生のピクセル情
報は、R平面、G平面、B平面及びG平面の色情報を含む([0041])。
5 オフセット平面という用語は、二つのピクセル平面間の差分情報を表す。
例えば、R平面60及びG平面62はそれぞれ、赤及び緑の値を表す整数の
行列をそれぞれ構成する。Diff-RG64という名前のオフセット行列は、R平
面60及びG平面62の整数の二つの行列の間で減算を実行することによっ
て取得される。([0042])
10 Diff-RG64は、R平面60とG平面62との間の差分情報を含み、した
がって、オフセット平面の一例である。ほとんどのマルチメディアアプリケー
ションでは、色成分間に高い相関関係がある。言い換えると、カラー平面を
直接圧縮するのではなく、オフセット平面を圧縮することで、より高い圧縮
率が得られる。([0043])
15 オフセット平面の操作は可逆的であり、次の可逆的な方程式で示される。
(R-plane)-(G-plane) = (Diff-RG plane)
(R plane)-(Diff-RG) = (G plane)
圧縮されたG平面並びに Diff-RG 及び Diff-GB(B平面とG平面のオフセッ
ト平面)を記録するには、圧縮されたG平面、B平面及びR平面を直接記録
20 する場合より小さなメモリサイズしか必要とならない。同時に、オフセット
平面に対応する元の画像データ23に変換する場合でも、元の画像データ2
3を取得するために必要な操作は簡単である。([0044])
⑸ 他の例は、静止画カメラ、動画レコーダー、スキャナなどに適用できる。
画像は、レンズ112を通してイメージセンサ114によってキャプチャさ
25 れる。イメージセンサ114の例には、電荷結合素子(CCD)、CMOSイ
メージセンサなどが含まれる。次に、キャプチャされた生の画像データは、
ガンマ補正、色補正、及び補間などの機能を含む画像処理ユニット116に
送られる。画像処理ユニット116の後の画像ピクセルは、圧縮エンジン1
18によって処理され、その後、データ削減のために別の画像圧縮エンジン
120に送られる前に一時的に格納され、その結果、より小さなサイズのファ
5 イルがフラッシュメモリ124若しくは他の記録メディアに格納され、また
は、ネットワーク経由で送信される。上記の3つのステップを実行するコー
デック118は、画像処理ユニット116と画像圧縮エンジン120の間に
結合され、画像データの一時バッファを提供するが、コーデック118は、
はるかに少ないメモリサイズしか必要とせず、はるかに少ない電力しか消費
10 しない。([0060])
3 取消事由1(甲1発明の認定の誤り)について
⑴ 原告は、甲1のオフセット平面の計算方法には、各色の行と列の情報等が
記載されていないこと、単純な引き算でオフセット平面が算出されているこ
と([0044])、R平面60及びG平面62は、同じ行と列の値で差分を
15 とっていること([0042]、図6A)から、対象の画像データがデモザイ
キング処理後の画像データであると主張する。
しかし、前記2⑷で認定したオフセット平面の計算方法の一連の処理にお
いて、デモザイキング処理を行うことは含まれていない。むしろ、甲1の[0
041]及び図5に、R平面、B平面及び2つのG平面が記載されているこ
20 とからすると、オフセット平面の計算処理が、生のピクセル情報であるR平
面、G平面、B平面、及びG平面に対して行われていることを示していると
いえる。
そして、R平面60及びG平面62の整数の二つの行列の間で減算を実行
する場合、差分の対象となるR平面60及びG平面62の行と列の値が異な
25 るものであったとしても、ベイヤ配列ではR画素の上下左右にG画素が存在
し、かつ空間相関性があるため、隣接するG画素の値を差し引くことによっ
てオフセット平面の取得は十分に可能であるから、甲1のオフセット平面の
計算方法に各色の行と列の情報等が記載されておらず、単純な引き算でオフ
セット平面が算出されているとしても、対象の画像データがデモザイキング
後の画像データであるということはできない。また、
[0042]及び図6A
5 を見ても、同図には行と列の表示がないから、同図を根拠に対象の画素の行
と列が同一であると認めることはできない。
⑵ 原告は、甲1の[0044]の対象の画像データがG平面、B平面及びR
平面の3成分からなり、4成分であるとは理解できないと主張する。
しかし、前記2⑷で認定したとおり、画像データ23の生のピクセル情報
10 は、R平面、G平面、B平面、及びG平面の色情報を含むものであり([00
41])、その後のオフセット平面の計算([0044])までの間にデモザイ
キング処理を行うことは含まれていないから、[0044]におけるR平面、
G平面及びB平面は、
[0041]の4平面を色の種類ごとにまとめて記載し
たものにすぎず、3成分からなるものとは解されない。
15 ⑶ 原告は、甲1の[0060]の「補間(interpolation)」はデモザイキン
グ処理を意味すると主張する。
しかし、
「interpolation(補間)」には様々な処理が含まれると認められる
ところ(甲2、14、19等)、原告がその主張の根拠とする甲76の記載
(「 color interpolation 」) 及 び 甲 7 8 の 記 載 (「 color filter array
20 interpolation」)と対比すると、[0060]には単に「interpolation」と
記載されているにすぎないから、この記載だけから、これがデモザイキング
処理を意味すると認めることはできない。
⑷ 原告は、甲1では、R、G、Bと、デモザイキング処理後のフルカラー画
像データであるY、U、V及びY、Cb、Crとが並列列挙されていること
25 から、R、G、Bもデモザイキング処理後の画像データであると主張する。
しかし、前記2⑷において認定したとおり、甲1に開示された技術の特徴
は、色成分間の相関性を利用してオフセット平面を計算し、圧縮率を向上さ
せるという点にあり、デモザイキング処理と直接関係するものではないから、
各実施例の対象となる画像フォーマットが全て同一であるとする根拠はない。
そうすると、Y、U、V及びY、Cb、Crがデモザイキング処理後の画像
5 データであるとしても、R、G、Bまでもがデモザイキング処理後の画像デー
タであるということはできない。
⑸ 原告は、LCDディスプレイのコーデック1201とデジタルカメラの
コーデック118が、圧縮の「3つのステップ」を共通にし、並列列挙され
ていることから、デジタルカメラのコーデックの対象もデモザイキング処理
10 後の画像データであると主張する。
しかし、異なる実施例における処理の具体的な内容が、それらの用途に応
じて異なることは特段不思議なものとはいえない。LCDディスプレイとデ
ジタルカメラの実施例の用途は異なるから、LCDディスプレイのコーデッ
ク1201とデジタルカメラのコーデック118について、圧縮の「3つの
15 ステップ」を共通にし、並列列挙されているからといって、デジタルカメラ
のコーデックの対象が、LCDディスプレイのコーデックの対象と同一であ
るとはいえないのであり、したがって、デモザイキング処理後の画像データ
であるともいえない。
⑹ 原告は、JPEG圧縮が適用できる画像データは、通常デモザイキング後
20 のフルカラーの画像データであるから、「生画像データを含む画像データ2
3」はデモザイキング後のフルカラーの画像データであると主張する。
しかし、甲1の[0036]の記載は、実施形態の概略を記載したもので
あり、処理の詳細を示したものではない。そうすると、この概略的な実施形
態から様々な実施形態を想定することが可能であり、モザイク状画像データ
25 をJPEG圧縮することが不可能ないし困難であるとの技術的常識も見当た
らないから、上記記載を根拠として、「生画像データを含む画像データ23」
がデモザイキング後のフルカラーの画像データであるということはできない。
⑺ その他、原告は様々な主張をするが、いずれも上記認定判断を左右するも
のではない。
以上のとおりであるから、本件審決が、甲1発明をデモザイキング処理前
5 のモザイク状画像データに対する画像圧縮に関する発明として、構成1fを
認定したことに誤りはなく、原告の主張する取消事由1は理由がない。
4 取消事由2(本件各訂正発明と甲1発明との一致点及び相違点の認定の誤り)
について
⑴ 相違点Xについて
10 原告は、甲1発明が、デモザイキング処理後のフルカラー画像データのR、
G、B等の成分間において差分をとっている点を相違点Xであると主張する。
しかし、前記3で判示したとおり、甲1発明がデモザイキング処理後のフ
ルカラー画像データのR、G、B等の成分間において差分をとっているもの
とは認められないから、原告の主張は前提を欠くものである。
15 ⑵ 相違点Yについて
原告は、甲1発明には、単に「gamma correction」
(ガンマ補正)と記載さ
れているにとどまり、本件訂正発明1の「予め強調処理」のためのガンマ補
正は開示されていない点を相違点Yであると主張する。
しかし、本件訂正発明1の「強調処理」は、単に「強調処理」と記載され
20 ているだけであり、限定は付されていない。そして、甲1発明の「ガンマ補
正」が、明るい部分の明るさを抑えながら、暗い部分を明るくするように行
う処理であることは本件優先日当時の技術常識である(甲12、13(いず
れも枝番を含む。))。画像データに「ガンマ補正」を行えば、当該データの暗
い部分がより明るくなるように補正される、すなわち「強調」されることは
25 明らかであり、
「ガンマ補正」の目的や用途にかかわらず、それ自体「強調処
理」に該当するから、甲1発明の「ガンマ補正」は本件訂正発明1の「強調
処理」に含まれるのであり、原告主張の相違点Yは相違点とは認められない。
⑶ そうすると、原告が主張する相違点X及び相違点Yは認められず、本件審
決の一致点及び相違点の認定に誤りはなく、原告の主張する取消事由2は理
由がない。
5 5 取消事由3(進歩性の判断の誤り)について
原告が主張する相違点X及び相違点Yが認められないことは上記4に判示し
たとおりであるから、この点に関する原告の進歩性の判断の誤りの主張は前提
を欠くものである。
したがって、原告の主張する取消事由3は理由がない。
10 6 結論
以上のとおり、原告の主張する取消事由はいずれも理由がない。
よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとお
り判決する。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官
増 田 稔
裁判官
伊 藤 清 隆
裁判官
5 天 野 研 司
(別紙1)
当事者目録
承 継 参 加 人 株 式 会 社 ニ コ ン
5 (以下「参加人」という。)
同訴訟代理人弁護士 長 沢 幸 男
同訴訟復代理人弁護士 川 瀬 茂 裕
同訴訟代理人弁理士 山 崎 彰
10 田 中 愛 理
被 告 パナソニックホールディングス
株式会社
15 同訴訟代理人弁護士 速 見 禎 祥
溝 内 伸 治 郎
同訴訟復代理人弁護士 十 河 陽 介
20 脱 退 原 告 レッド デジタル シネマ インコー
ポレイテッド
(別紙2)
本件訂正後の特許請求の範囲
【請求項1】(本件訂正発明1)
A 携帯可能な筐体と、
5 B この筐体によって保持されているとともに、光の焦点を合わせるように構成され
ているレンズアセンブリと、
C 焦点光を、1秒ごとに少なくとも約23フレームのフレームレートで、少なくと
も2kの解像度を有する生画像データに変換するように構成されている感光デバイ
スと、
10 D 前記筺体に保持されているメモリ素子と、
E 予め強調処理しかつ圧縮した前記生画像データを復元した際に、視覚的にほぼ劣
化のない状態を保つように、前記生画像データを予め強調処理しかつ圧縮し、およ
び、1秒ごとに少なくとも約23フレームのフレームレートで、前記予め強調処理
しかつ圧縮した前記生画像データを前記メモリ素子に保存するように構成されてい
15 る画像処理システムと、を有し、
F 前記生画像データは、モザイク状画像データを有しかつ第1、第2および第3の
色を示し、
G 前記画像処理システムは、圧縮を改善するために画像素子の相互関係を利用すべ
く、前記圧縮前に、前記第3の色における選択された画像データの値から導かれた
20 計算画像値に基づいて、前記第1および第2の色における少なくとも1つを示す画
像データを修正するように構成されている画像処理モジュールを有している
H ビデオカメラ。
【請求項2】(本件訂正発明2)
I 前記画像処理モジュールは、前記第3の色における選択された画像データの値の
平均値に基づいて、前記第1および第2の色における少なくとも1つを示す前記画
像データを修正するように構成されている請求項1に記載のビデオカメラ。
5 【請求項3】(本件訂正発明3)
J 前記画像処理モジュールが、第1の色のセンサセルに隣接する少なくとも2つの
センサセルから得られる、第3の色における画像データの値の平均値を算出すると
ともに、この平均値を、第1の色のセンサセルからの画像データの値から差し引く
ように構成されている、請求項2に記載のビデオカメラ。
【請求項4】(本件訂正発明4)
K 前記平均値が、第1の色のセンサセルに隣接する少なくとも4つのセンサセルか
ら得られる、第3の色の画像データの値の平均値からなる、請求項3に記載のビデ
オカメラ。
【請求項5】(本件訂正発明5)
B’筐体によって保持されているとともに、光の焦点を合わせるように構成されてい
るレンズアセンブリと、
C’焦点光を、この焦点光を示す生画像データの信号に変換するように構成されてい
20 る感光デバイスと、
D 前記筺体に保持されているメモリ素子と、
E’予め強調処理しかつ圧縮した前記生画像データを復元した際に、視覚的にほぼ劣
化のない状態を保つように、1秒ごとに少なくとも約23フレームのフレームレー
トで前記予め強調処理された前記生画像データを圧縮して記録するための手段と、
25 を有し、
F 前記生画像データは、モザイク状画像データを有しかつ第1、第2および第3の
色を示し、
G 前記画像処理システムは、圧縮を改善するために画像素子の相互関係を利用すべ
く、前記圧縮前に、前記第3の色における選択された画像データの値から導かれた
5 計算画像値に基づいて、前記第1および第2の色における少なくとも1つを示す画
像データを修正するように構成されている画像処理モジュールを有している
H ビデオカメラ。
【請求項6】(本件訂正発明6)
10 L 前記画像処理システムは、下記式で規定される曲線を含む関数に従って、前記画
像データを予め強調処理する、請求項1から4のいずれか1項に記載のビデオカメ
ラ。
y=(x+c)^g・・・(1)
ただし、0.01<g<1であり、cはオフセットであって、0を除く。
【請求項7】(本件訂正発明7)
M 前記画像処理システムは、下記式(2)で規定される曲線を含む関数に従って、
前記画像データを予め強調処理する、請求項1から4のいずれか1項に記載のビデ
オカメラ。
20 y=(x)^0.5・・・(2)
ただし、式(2)は、下記式(1)においてgは0.5であり、cは0である。
y=(x+c)^g・・・(1)
ただし、0.01<g<1であり、cはオフセットである。
25 【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】(本件訂正発明10)
P 前記画像処理システムは、ガンマ曲線に従って、前記画像データを予め強調処理
5 する、請求項1から4のいずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項11】(本件訂正発明11)
Q 前記画像データを予め強調処理することは、より線形のエリアを黒色の近くに与
える、請求項1~4のいずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項12】(本件訂正発明12)
R 前記画像処理システムは、Rec709ガンマ曲線に従って、前記画像データを
予め強調処理する、請求項1~4、10および11のいずれか1項に記載のビデオ
カメラ。
【請求項13】(本件訂正発明13)
S 前記画像処理システムは、ルックアップテーブルを用いて、前記画像データを予
め強調処理する、請求項1~4、6、7、10~12のいずれか1項に記載のビデ
オカメラ。
【請求項14】(本件訂正発明14)
T1 前記画像データは、前記第1の色を示しかつ前記感光デバイス上の第1位置に
対応する画像データと、前記第3の色を示しかつ前記感光デバイス上の第2位置
に対応する画像データの第1の値と、前記第3の色を示しかつ前記感光デバイス
25 上の第3位置に対応する画像データの第2の値とを含み、
T2 前記画像処理モジュールは、第3の色を示す画像データの前記第1の値および
前記第2の値から前記計算画像値を導き、
T3 前記計算画像値は、前記第1位置と空間的に相互に関連していることを特徴と
する、請求項1、6、7、10~13のいずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項15】(本件訂正発明15)
U 前記第2位置および前記第3位置は、前記感光デバイス上の第1位置と、実質的
に対向している、請求項14に記載のビデオカメラ。
10 【請求項16】(本件訂正発明16)
V 前記画像処理モジュールは、前記第1の値および前記第2の値の平均値を計算
し、前記感光デバイス上の前記第1位置に対応する前記第1の色を示す画像データ
の値から前記計算された平均値を差し引く構成である、請求項14または15に記
載のビデオカメラ。
【請求項17】(本件訂正発明17)
W 前記画像処理システムは、前記画像データを修正する前に、前記画像データを予
め強調処理する構成である、請求項2~4、6、7、10~16のいずれか1項に
記載のビデオカメラ。
【請求項18】(本件訂正発明18)
X 前記画像処理システムは、前記画像データを修正した後に、前記画像データを予
め強調処理する構成である、請求項2~4、6、7、10~16のいずれか1項に
記載のビデオカメラ。
【請求項19】(本件訂正発明19)
Y 前記圧縮は、少なくとも6:1の圧縮率である、請求項1~4、6、7、10~
18のいずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項20】(本件訂正発明20)
5 Z1 前記感光デバイスは、画像センサチップを備え、
Z2 前記画像処理システムは、画像処理モジュールと、圧縮チップを備え、
Z3 前記圧縮チップは、前記ビデオカメラ内で前記画像データの圧縮を実行する構
成であって前記圧縮チップは、前記画像センサチップおよび前記画像処理モ
ジュールから分離している構成である、請求項1~4、6、7、10~19のい
10 ずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項21】(本件訂正発明21)
AA 前記画像処理システムは、JPEG2000標準の圧縮技術に従う、請求項1
~4、6、7、10~20のいずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項22】(本件訂正発明22)
AB 前記請求項1~4、6、7、10~21のいずれか1項に記載のビデオカメラ
を使用する方法であって、画像データを予め強調処理し、圧縮し、記録するよう
に、画像処理システムを作動することを含む方法。
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