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令和6(ワ)70400特許権侵害に基づく損害賠償請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 令和8年7月3日
事件種別 民事
当事者 原告ビーサイズ株式会社
被告株式会社MIXI
対象物 情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム
法令 特許権
特許法126条1項4回
特許法126条5項2回
特許法123条1項2号2回
特許法102条2項2回
キーワード 実施11回
特許権9回
無効9回
進歩性8回
侵害4回
審決3回
訂正審判1回
無効審判1回
新規性1回
損害賠償1回
刊行物1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 事案の概要 本件は、発明の名称を「情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法、情 報処理プログラム」とする特許第7525968号の特許(以下「本件特許」 という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である 原告が、別紙被告製品目録記載の製品が本件特許の特許請求の範囲の請求項 2の、別紙被告サーバ目録記載のサーバが本件特許の特許請求の範囲の請求 項12の、別紙被告ユーザ端末プログラム目録記載のプログラムが本件特許 の特許請求の範囲の請求項18の各技術的範囲に属し、被告が、「みてねみ まもりGPS」という名称の見守りサービス(以下「被告サービス」とい う。)において、上記製品の製造、販売及び販売の申出、上記サーバの製造 及び使用、並びに上記プログラムの作成、譲渡及び譲渡の申出を行ったこと が本件特許権を侵害すると主張して、被告に対し、民法709条に基づき、 損害金1億円(特許法102条2項又は3項に基づき算定される令和6年7 月23日から同年8月30日までに生じた損害)及びこれに対する訴状送達 の日の翌日である令和6年10月26日から支払済みまで民法所定の年3パ

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判決文

令和8年7月3日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和6年(ワ)第70400号 特許権侵害に基づく損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 令和8年4月16日

判 決

原 告 ビ ー サ イ ズ 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 大 野 聖 二

小 林 英 了

同訴訟代理人弁理士 松 野 知 紘

同訴訟復代理人弁護士 山 本 飛 翔

被 告 株 式 会 社 M I X I

同訴訟代理人弁護士 𠮷 田 和 彦

高 石 秀 樹

外 村 玲 子

同訴訟復代理人弁護士 西 田 弘 之

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は、原告に対し、1億円及びこれに対する令和6年10月26日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等

1 事案の概要本件は、発明の名称を「情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム」とする特許第7525968号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)の特許権者である原告が、別紙被告製品目録記載の製品が本件特許の特許請求の範囲の請求項2の、別紙被告サーバ目録記載のサーバが本件特許の特許請求の範囲の請求項12の、別紙被告ユーザ端末プログラム目録記載のプログラムが本件特許の特許請求の範囲の請求項18の各技術的範囲に属し、被告が、「みてねみまもりGPS」という名称の見守りサービス(以下「被告サービス」という。)において、上記製品の製造、販売及び販売の申出、上記サーバの製造及び使用、並びに上記プログラムの作成、譲渡及び譲渡の申出を行ったことが本件特許権を侵害すると主張して、被告に対し、民法709条に基づき、損害金1億円(特許法102条2項又は3項に基づき算定される令和6年7月23日から同年8月30日までに生じた損害)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和6年10月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)

(1) 当事者ア 原告は、家電製品の企画、設計、製造、販売等を業とする法人である。イ 被告は、ライフスタイルサービス、デジタルエンターテインメントサービスの提供等を業とする法人である。

(2) 本件特許ア 原告は、以下の本件特許権を有している(本件特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」といい、本件明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。(甲1、2)特許番号 第7525968号発明の名称 情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム登録日 令和6年7月23日出願日 令和6年4月25日原出願日 令和4年2月25日イ 原告は、令和7年4月24日、本件特許について訂正審判を請求した。特許庁は、令和7年6月17日、原告による訂正請求を認容する審決をし、令和7年6月30日、同審決は確定した。(甲11、12)

(3) 本件特許の特許請求の範囲本件特許の請求項1、2、10、11、12、17、18の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである(なお、請求項2、12、18は、上記訂正後のものであり、各下線部が訂正された部分である。以下、請求項1、10、11、17に係る発明をその番号に応じて「本件発明1」などと、訂正後の請求項2、12、18に係る発明をその番号に応じて「本件訂正発明2」などといい、これらの発明を併せて「本件各発明」という。)。ア 請求項1被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおける被見守り者用端末であって、複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンを設定する設定指示と、前記見守り者用端末からの音声データと、を受信する受信部と、前記音声データを受信すると、前記設定指示に基づいて設定される報知パターンで、前記音声データを受信したことの報知を行う報知部と、前記音声データを再生するスピーカと、を備え、前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである被見守り者用端末。イ 請求項2(訂正後)マイクと、前記マイクに入力された音声を送信する送信部と、を備え、前記音声データごとに、前記設定指示が受信され、前記音声データを再生したことを示す情報が前記見守り者用端末に送信される、請求項1に記載の被見守り者用端末(ただし、前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く。)。ウ 請求項10被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおけるサーバであって、

第1音声データを前記見守り者用端末から受信する受信部と、

複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンであって、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記第1音声データの受信をどのような報知パターンで前記被見守り者用端末において報知するかを設定する設定指示と、前記

第1音声データと、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、を備え、

前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことであるサーバ。エ 請求項11前記受信部は、前記見守り者用端末から前記設定指示を受信する、請求項10に記載のサーバ。オ 請求項12(訂正後)前記受信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を前記見守り者用端末から受信し、かつ、第2音声データを前記被見守り者用端末から受信し、前記送信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を前記被見守り者用端末に送信し、かつ、前記第2音声データを前記見守り者用端末に送信し、前記被見守り者用端末によって前記第1音声データが再生されたことを示す情報を前記被見守り者用端末から受信して前記見守り者用端末に送信する、請求項11に記載のサーバ(ただし、前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く)。カ 請求項17被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおける見守り者用端末を、前記見守り者用端末のユーザから音声入力を受け付ける第1受付部と、マ マ前記見守り者用端末のユーザによる複数の複数の選択肢から報知パターンの選択を受け付ける第2受付部と、前記音声入力に対応した第1音声データと、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、として機能させ、前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである、プログラム。キ 請求項18(訂正後)前記見守り者用端末を、前記被見守り者用端末からの第2音声データを受信し、かつ、前記被見守り者用端末によって前記第1音声データが再生されたことを示す情報を受信する受信部として機能させ、前記送信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を送信する、請求項17に記載のプログラム(ただし、前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く)。

(4) 構成要件の分説(甲11、12)本件各発明は、次の構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき、頭書の記号に従って「構成要件1A」などという。)。ア 本件発明11A 被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおける被見守り者用端末であって、1B 複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンを設定する設定指示と、前記見守り者用端末からの音声データと、を受信する受信部と、1C 前記音声データを受信すると、前記設定指示に基づいて設定される報知パターンで、前記音声データを受信したことの報知を行う報知部と、1D 前記音声データを再生するスピーカと、を備え、1E 前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである被見守り者用端末。イ 本件訂正発明22A マイクと、2B 前記マイクに入力された音声を送信する送信部と、を備え、2C 前記音声データごとに、前記設定指示が受信され、2D 前記音声データを再生したことを示す情報が前記見守り者用端末に送信される、請求項1に記載の被見守り者用端末2E (ただし、前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く。)。ウ 本件発明1010A 被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおけるサーバであって、10B 第1音声データを前記見守り者用端末から受信する受信部と、10C 複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンであって、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記第1音声データの受信をどのような報知パターンで前記被見守り者用端末において報知するかを設定する設定指示と、前記第1音声データと、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、を備え、10D 前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことであるサーバ。エ 本件発明1111A 前記受信部は、前記見守り者用端末から前記設定指示を受信する、11B 請求項10に記載のサーバ。オ 本件訂正発明1212A 前記受信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を前記見守り者用端末から受信し、かつ、第2音声データを前記被見守り者用端末から受信し、12B 前記送信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を前記被見守り者用端末に送信し、かつ、前記第2音声データを前記見守り者用端末に送信し、12C 前記被見守り者用端末によって前記第1音声データが再生されたことを示す情報を前記被見守り者用端末から受信して前記見守り者用端末に送信する、請求項11に記載のサーバ12D (ただし、前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く)。カ 本件発明1717A 被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおける見守り者用端末を、17B 前記見守り者用端末のユーザから音声入力を受け付ける第1受付部と、17C 前記見守り者用端末のユーザによる複数の複数の選択肢から報知パターンの選択を受け付ける第2受付部と、17D 前記音声入力に対応した第1音声データと、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、として機能させ、17E 前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである、プログラム。キ 本件訂正発明1818A 前記見守り者用端末を、前記被見守り者用端末からの第2音声データを受信し、かつ、前記被見守り者用端末によって前記第1音声データが再生されたことを示す情報を受信する受信部として機能させ、18B 前記送信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を送信する、請求項17に記載のプログラム18C (ただし、前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く)。

(5) 被告の行為(甲3ないし5、弁論の全趣旨)被告は、通信端末を用いた見守りサービスである「みてねみまもりGPS」(被告サービス)を提供するに当たり、被告サービスに使用されるサーバ(以下「被告サーバ」という。)の製造及び使用、被告サービスのためのユーザ端末プログラム(以下「被告プログラム」という。)の作成、譲渡及び譲渡の申出、並びに被告サービスに使用される「みてねみまもりGPSトーク」という名称で販売するGPS端末(以下「被告製品」といい、被告サーバ、被告プログラム及び被告製品を併せて「被告製品等」という。)の製造、販売及び販売の申出を行った。

(6) 被告製品等の構成(甲6、弁論の全趣旨)ア 被告製品の構成被告製品は次の構成(以下「構成1a」などという。)を有しており、本件発明1に係る構成要件1Aないし1D及び本件訂正発明2に係る構成要件2Aないし2Dを充足する。1a 見守り対象者によって携帯されるGPS端末の現在位置を保護者のユーザ端末に送信する見守りシステムにおけるGPS端末であって、1b 複数の選択肢から保護者によって選択された通知パターンを指定する通知パターン指定情報と、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージと、を受信する受信手段と、1c ボイスメッセージを受信すると、通知パターン指定情報で指定される通知パターンで、ボイスメッセージを受信したことを通知する通知手段と、1d 受信したボイスメッセージを再生するスピーカと、を備え、1e 複数の選択肢は、通知音オフ、チャイム通知音、音声をそのまま通知、を含むGPS端末であり、2a マイクと、2b マイクに入力されたボイスメッセージを送信する送信手段と、を備え、2c ボイスメッセージごとに、通知パターン指定情報が受信され、2d 受信したボイスメッセージを再生すると、保護者のユーザ端末に既読マークを表示させるための情報が送信される、構成1a~1eを有するGPS端末。イ 被告サーバの構成被告サーバは次の構成(以下「構成10a」などという。)を有しており、本件発明10に係る構成要件10Aないし10C、本件発明11に係る構成要件11A及び本件訂正発明12に係る構成要件12Aないし12Cを充足する。10a 見守り対象者によって携帯されるGPS端末の現在位置を保護者のユーザ端末に送信する見守りシステムにおけるサーバであって、10b ボイスメッセージを保護者のユーザ端末から受信する受信手段と、10c 複数の選択肢から保護者によって選択された通知パターン指定情報であって、ボイスメッセージがGPS端末によって受信された場合に、ボイスメッセージの受信をどのような通知パターンでGPS端末において通知するかを指定する通知パターン指定情報と、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージと、をGPS端末に送信する送信手段と、を備え、10d 複数の選択肢は、通知音オフ、チャイム通知音、音声をそのまま通知、を含むサーバであり、11a 上記受信手段は、保護者のユーザ端末から通知パターン指定情報を受信する、11b 構成10a~10dを有するサーバであり、12a 上記受信手段は、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージごとに通知パターン指定情報を保護者のユーザ端末から受信し、かつ、ボイスメッセージをGPS端末から受信し、12b 上記送信手段は、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージごとに通知パターン指定情報をGPS端末に送信し、かつ、GPS端末からのボイスメッセージを保護者のユーザ端末に送信し、12c ボイスメッセージがGPS端末で再生されると、既読マークを表示させるための情報を保護者のユーザ端末に送信する、構成11a及び11bを有するサーバ。ウ 被告プログラムの構成被告プログラムは次の構成(以下「構成17a」などという。)を有しており、本件発明17に係る構成要件17Aないし17C及び本件訂正発明18に係る構成要件18A及びBを充足する。17a 見守り対象者によって携帯されるGPS端末の現在情報を保護者のユーザ端末に送信するモニタリングシステムにおける保護者のユーザ端末を、17b 保護者から音声入力を受け付ける第1受付手段と、17c 保護者による複数の選択肢から通知パターンの選択を受け付ける

第2受付手段と、

17d 音声入力に対応したボイスメッセージと、当該ボイスメッセージがGPS端末によって受信された場合に、選択された通知パターンでGPS端末において通知することを指定する通知パターン指定情報と、をサーバに送信する送信手段と、として機能させ、17e 複数の選択肢は、通知音オフ、チャイム通知音、音声をそのまま通知、を含む、ユーザ端末プログラムであり、18a 保護者のユーザ端末を、GPS端末からのボイスメッセージを受信し、かつ、GPS端末によってボイスメッセージがGPS端末で再生されると、既読マークを表示させるための情報を受信する受信手段として機能させ、18b 上記送信手段は、ボイスメッセージごとに通知パターン指定情報を送信する、構成17a~17eを有するユーザ端末プログラム。

(7) 先行技術等本件特許の原出願日の前に提供が開始されたサービス及び同サービスに係る製品並びに本件特許の原出願日の前に頒布された刊行物等として、以下のものが存在する。以下のアないしオのうち、ア及びウは、端末の位置情報を共有するスマートフォン向けのアプリケーションに係るもの、イ、エ及びオは、被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムに係るサービスである。ア 特表2017—521804号(乙1。以下「乙1文献」といい、乙1文献に記載された発明を「乙1発明」という。)イ ソニー株式会社による「amue link」という名称のサービス(乙11。以下、「amue link」のサービスとして公然実施された発明を「乙11発明」という。)ウ 「Telegram」という名称のアプリケーション(乙4。以下、「Telegram」のサービスとして公然実施された発明を「乙4発明」という。)エ ドリームエリア株式会社による「みもり」という名称のサービスのうち、同サービスに係るGPS端末「みもりMR-02A」に係るサービス(乙2。以下、「みもりMR-02A」のサービスとして公然実施された発明を「乙2発明」という。)オ 株式会社ottaによる「otta.g」という名称のサービス(乙10。以下、「otta.g」のサービスとして公然実施された発明を「乙10発明」という。)3 争点

(1) 被告製品等が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア 「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」(構成要件1E、10D、17E)の充足性(争点1-1)イ 「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」(構成要件2E、12D、18C)の充足性(争点1-2)ウ 「前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、」(構成要件17D)の充足性(争点1-3)

(2) 本件特許の無効の抗弁の成否(争点2ないし4)ア 乙1発明を主引例とする進歩性欠如(争点2-1)イ 乙11発明を主引例とする進歩性欠如(争点2-2)ウ 乙4発明を主引例とする進歩性欠如(争点2-3)エ 乙2発明を主引例とする進歩性欠如(争点2-4)オ 乙10発明を主引例とする新規性欠如ないし進歩性欠如(争点2-5)カ 訂正要件違反(争点3)キ 明確性要件違反(争点4)

(3) 損害の発生及びその額(争点5)4 争点に関する当事者の主張

(1) 争点1-1(「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」(構成要件1E、10D、17E)の充足性)(原告の主張)構成要件1E、10D、17Eは、いずれも、「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」であるところ、被告サービスでは、保護者が専用のアプリケーションからボイスメッセージを送信する際、「みまもり端末が通知を受け取った時の通知音を選択」という欄から

①「通知音オフ」、②「チャイム通知音」及び③「音声をそのまま通知」という3つの選択肢から、いずれか1つを選択できる。また、①「通知音オフ」を選択した場合、子供が所持する被告製品がアプリケーションからメッセージを受信すると、被告製品のLEDが点灯して、メッセージの受信を通知する。そうすると、被告サービスは、①「通知音オフ」を選択した場合であっても、LEDの点灯によりメッセージの受信を報知しているから、被告サービスの上記①は、「着信音を鳴らない」に該当する。以上によれば、被告製品、被告サーバ、被告プログラムは、いずれも「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」を充足する。(被告の主張)ア 構成要件1E、10D、17Eの解釈構成要件1E、10D、17Eの「前記複数の選択肢」とは、「前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターン」の「選択肢」であるから、データを受信したことを報知することができる複数の「報知パターン」(データを受信したことを報知することができるパターン)が選択肢として用意されており、かかる複数の選択肢のうちの1つが「着信音を鳴らさない(データを受信したことを報知することができる)」という選択肢であることを意味し、複数の選択肢のうちの1つが「着信音を鳴らさない」ことであったとしても、当該選択肢がデータを受信したことを報知することができないのであれば、構成要件1E、10D、17Eの「選択肢」には当たらない。イ 被告製品等へのあてはめ被告サービスでは、被告製品がメッセージを受信した場合は、常に被告製品のLEDが点灯する仕様であって、保護者は、ボイスメッセージを送信する際に、被告製品のLEDの点灯・非点灯を選択できないから、LEDの発光は、「選択肢」に当たらないことになる。そうすると、被告サービスおける選択肢は、①「通知音オフ」、②「チャイム通知音」、③「音声をそのまま通知」の3つであるものの、①「通知音オフ」を選択した場合には、被告製品では、無音のためデータを受信したことを報知することができない。したがって、被告サービスにおける①「通知音オフ」という選択肢は、報知パターンの選択肢に該当しないから、被告製品等は、構成要件1E、10D、17Eの「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」を充足しない。

(2) 争点1-2(「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」(構成要件2E、12D、18C)の充足性)(原告の主張)社会通念上、「通話」が、電話番号により通話相手を指定して相互にリアルタイムに会話をすることを意味するのは明らかであり、音声メッセージのやりとりしかできない製品は携帯電話ではない。被告は、被告のウェブページにおいて「キッズ用ケータイやスマホが持ち込めない場所でも使える、小さくて丈夫なGPS端末」などと被告製品を紹介しており、被告自身が、被告製品が携帯電話ではないことを認めている。以上によれば、被告製品は携帯電話ではないから、構成要件2E、12D、18Cを充足する。(被告の主張)被告製品は携帯することが可能である上、通信ネットワークとして携帯電話会社の回線を使用している。また、広辞苑によれば、「電話」とは「電話機によって通話すること。」であり、「電話機」とは「音声を電波・電流または光に変えて送り、これを音声に再生することによって通話する装置」であるところ、被告製品は、音声を電波・電流又は光に変えて送り、これを音声に再生することによって通話する装置で通話することができるため、携帯電話に当たる。よって、被告製品は携帯電話に該当するから、構成要件2E、12D、18Cを充足しない。

(3) 争点1-3(「前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、」(構成要件17D)の充足性)(原告の主張)構成要件17Dの「前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、」とは、設定指示を、①見守り者用端末からサーバを介して被見守り者用端末に送信する態様と、②見守り者用端末からサーバを介さずに送信する態様と、の両方を包含していると解される。そして、被告サービスを利用する保護者のユーザ端末はサーバを介して被告製品に設定指示を送信しており、上記の態様①に該当するから、構成要件17Dを充足する。(被告の主張)構成要件17Dは、「前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する」との文言であるところ、被告プログラムは、選択された報知パターンで被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示を、保護者のスマートフォンからサーバに送信する送信部として機能させるプログラムであって、被告製品に送信する送信部として機能させるプログラムではないから、構成要件17Dを充足しない。

(4) 争点2(乙1発明、乙11発明、乙4発明、乙2発明、乙10発明をそれぞれ主引例とする無効の抗弁の成否について)(被告の主張)別紙「本件発明に関する無効論」の「被告の主張」欄に記載のとおり、本件各発明は、特許法123条1項2号により無効にされるべきものであるから、特許法104条の3第1項の規定により、本件特許権を行使することは許されない。(原告の主張)別紙「本件発明に関する無効論」の「原告の主張」欄に記載のとおり、本件各発明については、いずれも無効事由はない。

(5) 争点3(訂正要件違反)(被告の主張)構成要件2E、12D、18Cの「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く。」という訂正は、「携帯電話」が何を意味するかという問題を措くとしても、「携帯電話」以外のあらゆる実施態様を含むものと解されるところ、本件明細書中にその全てが開示されているとは認められないから、請求項2、12及び18に係る訂正は、特許法126条5項に違反する。また、通信相手である「被見守り者用端末」が携帯電話ではないという点は、「見守り者用端末を」「機能させるプログラム」ないし「サーバ」の構造、機能等を何ら特定するものではないから、「見守り者用端末を」「機能させるプログラム」ないし「サーバ」を限定していない。したがって、請求項12及び18に係る訂正は、特許法126条1項ただし書のいずれかの事項を目的とするものとはいえないから、訂正要件違反がある。そして、請求項2に係る訂正は、請求項18と同様の請求を請求項2に対して行うものであるから、請求項18と同様に判断されるべきである。したがって、請求項2に係る訂正についても、特許法126条1項ただし書のいずれかの事項を目的とするものとはいえず、訂正要件違反がある。(原告の主張)本件特許の設定登録時の特許請求の範囲の請求項9は、「前記被見守り者は子供である、請求項1乃至8のいずれかに記載の被見守り者用端末(ただし、被見守り者用端末が携帯電話であるものと、前記受信部が、前記音声データを再生すべき位置または時刻を示す情報を受信するものと、前記受信部が、テキストデータを受信して表示するものと、を除く。)」とされているから、特許法126条5項の要件に適合することは明らかである。本件特許に係る訂正審決でもそのように判断されている。また、請求項18に係る訂正は、「前記見守り者用端末を、前記被見守り者用端末からの第2音声データを受信し、かつ、前記被見守り者用端末によって前記第1音声データが再生されたことを示す情報を受信する受信部として機能させ、」との文言も追加されており、全体として特許請求の範囲の減縮(特許法126条1項ただし書1号)を目的とするものである。上記と同様に、請求項12及び請求項2に係る訂正も、「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く。」以外の文言が追加されており、全体として特許請求の範囲の減縮(特許法126条1項ただし書1号)を目的とするものであるから、訂正要件違反はない。

(6) 争点4(明確性要件違反)(被告の主張)訂正後の請求項18に記載された「プログラム」は、「被見守り者用端末」を機能させるためのプログラムではなく、「見守り者用端末を」機能させるプログラムであるから、「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」との事項は、「見守り者用端末を」機能させるプログラムにおいて、通信相手である「被見守り者用端末」が携帯電話ではないことを特定しているにすぎない。そうすると、「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」との事項、すなわち、通信相手である「被見守り者用端末」が携帯電話ではないとする事項によって、「見守り者用端末を」「機能させ・・・プログラム」の構造、機能等がどのように特定されるのか不明確である。また、上記の同様の理由により、訂正後の請求項12も明確性を欠いている。また、訂正後の請求項2については、原告の主張に照らしても、「携帯電話」の意味が不明確であり、第三者に不測の不利益を与えるから明確性要件を欠く。(原告の主張)「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」との事項は、その文言のとおり、「被見守り者用端末」が「携帯電話」でないことを特定するものであり、第三者に不測の不利益を及ぼすことはあり得ないから、明確性を欠くものではない。

(7) 争点5(損害の発生及びその額)(原告の主張)被告製品は本件訂正発明2の技術的範囲に、本件サーバは本件訂正発明12の技術的範囲に、本件プログラムは本件訂正発明18の技術的範囲にそれぞれ属するから、被告による被告製品を製造し、販売し、販売の申出をする行為、被告サーバを製造し、使用する行為、被告プログラムを作成し、譲渡等し、譲渡等の申出をする行為は、いずれも本件特許権を侵害するものである。そして、被告による上記侵害行為は全て、被告サービスの提供に伴うものであるところ、本件特許の登録日である令和6年7月23日から同年8月30日までの間における、特許法102条2項又は3項に基づき算出される損害額は、少なくとも1億円は下らない。(被告の主張)否認し争う。

第3 当裁判所の判断

1 認定事実

(1) 本件明細書の記載

証拠(甲2)によれば、本件明細書には、次のとおりの記載があることが認められる(下記記載中に引用する図8及び図11は別紙図面目録のとおりである。)。ア 技術分野【0001】本発明は、音声データのやり取りが可能な情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムに関する。イ 背景技術【0002】子供がある程度の大きさ、例えば、小学生になり、1人で行動することが多くなると、子供を持つ保護者は、子供が事故等に遭うことなく学校やママ塾に無事に到着しているか帰宅するかがなど、子供の行動が心配となる。【0003】そこで、上記のような問題に対応するための仕組みとして、たとえば、スマートフォン等の携帯型情報端末に搭載されたGPS機能を利用して子供の位置情報を確認可能とするサービスが提供されている。ウ 発明が解決しようとする課題【0005】しかしながら、従来の情報処理システムには、未だ利便性の向上余地がある。【0006】本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、利便性の高い情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。エ 課題を解決するための手段及び効果【0007】上記の課題を解決すべく、本発明に係る情報処理端末は、データと、データを受信したことを報知する際の報知パタンを設定する設定指示とを異なる端末から受信する受信部と、受信部がデータを受信したことを報知する報知部と、設定指示に基づいて報知部の報知パタンを設定する設定部と、を備える。【0008】本発明によれば、利便性の高い情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することができる。オ 発明を実施するための形態【0010】以下、図面を参照して実施形態に係る情報処理システム1について説明する。実施形態に係る情報処理システム1は、いわゆるモニタリングシステムであり、被見守り者(例えば、子供)によって携帯された第2ユーザ端末4から、例えば1.5分毎のような所定の間隔でサーバ2へアップロードされた情報から第2ユーザ端末4の位置が決定され、決定された位置が、サーバ2から見守り者(例えば、親や祖父母などの家族)の携帯する、又は用いる第1ユーザ端末3へ通知される。また、本実施形態に係る情報処理システム1では、第1ユーザ端末3及び第2ユーザ端末4にマイクロフォン及びスピーカを備えており、互いに音声によるメッセージ(以下、音声メッセージともいう)を送受信することができるように構成されている。なお、以下の説明では、見守り者のことを第1ユーザともいう。また、被見守り者のことを第2ユーザともいう。【0021】(第1ユーザ端末3)

第1ユーザ端末3は、第1ユーザが所持する端末であり、例えば、アプ

リケーションソフトウェアをインストールしたスマートフォンなどである。

第1ユーザは、第1ユーザ端末3を利用して登録した第2ユーザ端末4と

音声データを送受信することで、第2ユーザ(例えば、自分の子供)と音声メッセージを送受信することができる。【0035】(第2ユーザ端末4)

第2ユーザ端末4は、本情報処理システム1の第2ユーザが利用する端

末である。第2ユーザは、第2ユーザ端末4を利用して登録した第1ユーザ端末3と音声データを送受信することで、第1ユーザ(例えば、自分の家族)と音声によるやりとりをすることができる。図6は、第2ユーザ端末4の主なハード構成を示しており、第2ユーザ端末4は、通信IF400A、記憶装置400B、入力装置400C、表示装置400D(LED)、CPU400E、マイクロフォン400F、スピーカ400G、GPSセンサ400Hなどを備える。【0038】入力装置400Cは、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力デバイスであるが、入力可能であれば、他の装置や機器であってもよい。また、音声入力装置であってもよい。第2ユーザは、入力装置400Cを操作して、音声を入力して第1ユーザ端末3へ送信したり、第1ユーザ端末3から送信された音声データを再生することができる。【0039】表示装置400Dは、例えば、LEDである。表示装置400Dは、後述の報知部405により制御され、設定されたパタンや所定のパタンで点灯又は点滅することにより音声を受信したことを報知する。【0041】マイクロフォン400Fは、音を電気信号に変換する音響機器である。

第2ユーザ端末4のユーザは、マイクロフォン400Fを利用して音声を

入力することができる。入力された音声は、後述の送信部402によりサーバ2へ送信される。【0044】図7は、第2ユーザ端末4の機能ブロック図を示しており、第2ユーザ端末4は、受信部401、送信部402、記憶装置制御部403、入力受付部404、報知部405、設定部406、判定部407(第1~第3判定部)などの機能を有する。なお、図7に示す機能は、CPU400Eが、記憶装置400Bに記憶されている情報処理プログラムを実行することで実現される。【0045】受信部401は、例えば、サーバ2から送信されるデータ(例えば音声データ)と、データを受信したことを報知する際の報知パタンを設定する設定指示とを受信する。【0046】送信部402は、例えば、入力受付部304で受け付けた入力操作に応じてデータ、例えば音声データをサーバ2へ送信する。また、送信部402は、判定部に407による判定結果を(サーバ2を介して)第1ユーザ端末3へ送信する。また、送信部402は、判定部407による判定結果に応じて、報知部405の報知パタンを所定の報知パタンに設定することを推奨するための推奨指示を第1ユーザ端末3へ送信する。【0047】記憶装置制御部403は、記憶装置400Bを制御する。例えば、記憶装置制御部403は、記憶装置400Bを制御してデータの書き込みや読み出しを行う。記憶装置制御部403は、例えば、受信部401が受信したデータを記憶装置400Bへ記憶する。【0048】入力受付部404は、入力装置400Cからの入力操作を受け付ける。入力受付部404は、例えば、記憶装置400Bに記憶された音声データの再生操作を受け付ける。【0049】報知部405は、受信部401がデータを受信したことを報知する。報知部405は、例えば、設定部406が設定した報知パタンに基づいて、表示装置400D(LED)を点灯又は点滅させたり、スピーカから音を発生させることで受信部401がデータを受信したことを報知する。【0050】設定部406は、受信部401が受信した設定指示に基づいて上記報知部405の報知パタンを設定する。また、設定部406は、判定部407による判定結果に応じて、報知部405の報知パタンを所定の報知パタンに設定する。なお、報知パタンには、受信部401が受信したデータの再生による報知(第1の報知パタン)が含まれる。この報知パタンの場合、上記報知部405は、受信部401が受信したデータの再生により受信部401がデータを受信したことを報知する。【0053】図8に示すように、表示装置300Dには、第1ユーザ端末3と第2ユーザ端末4との間で送受信された音声データが音声ファイル単位で時系列順に表示される(以下、タイムライン表示ともいう)。図8に示す例では、画面G1の上部に第2ユーザの名前11(ハンドルネームでもよい)が表示される。画面G1の左側には、第2ユーザ端末4から送信された音声データ(第2ユーザの音声ファイル)を示す表示枠12Bが送信された時刻12D(タイムスタンプの情報を利用)及びアイコン12A(第2ユーザを示すアイコン)とともに表示される。また、再生ボタン12Cを選択(タップ操作)すると表示枠12Bに対応する音声データ(音声ファイル)が再生され音声を聴くことができる。また、画面G1の右側には、第1ユーザ端末3から第2ユーザ端末4へ送信された音声データ(第1ユーザの音声ファイル)を示す表示枠13Aが送信された時刻13C(タイムスタンプの情報を利用)とともに表示される。また、表示枠13Aの近傍には音声データの報知に関する状態13D(例えば、第2ユーザ端末4で音声データを再生したか否かなど)が併記される。また、再生ボタン13Bを選択すると表示枠13Aに対応する音声データ(音声ファイル)が再生され音声を聴くことができる。また、画面G1の左側には、第2ユーザ端末4の状態(例えば、時間や位置)に応じて第2ユーザ端末4又はサーバ2から自動で送信される状況を示すコメント14Bが送信された時刻14D(タイムスタンプの情報を利用)及びアイコン14A(第2ユーザ端末4を示すアイコン)とともに表示される。

第1ユーザは、音声データを第2ユーザ端末4へ送信したい場合、タッ

チパネル等の入力装置300Cを操作して画面G1下部に表示されたマイクロフォンを模したアイコン15を選択する。【0057】図11に示す画面G4は、図9を参照して説明したマイクアイコン16Aを選択(タップ操作)して音声を録音した後、又はマイクアイコン16Aの下部に表示されたメッセージ16Bを選択すると遷移する画面である。図11に示すように、第1ユーザは、タッチパネル等の入力装置300Cを操作して画面G4のアイコン18Aを選択することで録音した音声を試聴して確認することができる。また、第1ユーザは、タッチパネル等の入力装置300Cを操作して画面G4のアイコン18Bを選択することで、画面G2に遷移し、音声を再度録音しなおすことができる。また、第1ユーザは、音声を再度録音しなおす代わりに遷移した画面G2においてメッセージを選択してもよい。また、第1ユーザは、第2ユーザ端末4が第1ユーザ端末3からのメッセージを受信したことを報知する際の報知パタンを設定することができる。図11に示す例では、第1ユーザは、「着信音ON」19A、「着信音OFF」19B、「この音声を着信音として鳴らす」19Cから報知パタンを選択することができる。第1ユーザが19A~19Cのいずれかを選択すると選択した項目にチェックマークが表示される(図11に示す例では「着信音ON」19Aが選択されている)。なお、図11に示す例では報知パタンは3つから選択するが、報知パタンは、図11に示す例に限られない。例えば、「着信音ON」19Aを選択した場合、着信音を選択できる構成としてもよいし、バイブレーションを報知パタンとして選択できる構成としてもよい。

第1ユーザが、タッチパネル等の入力装置300Cを操作して画面G4

の送信アイコン18Cを選択すると録音された音声データ又は選択されたメッセージ16Bに対応するデータが、報知パタンの設定指示とともにサーバ2へ送信される。

(2) 上記(1)によれば、本件各発明の技術的意義は次のとおりである。

子供の位置情報を把握する仕組みとしては、従来から携帯型情報端末に搭載されたGPS機能を利用して子供の位置情報を確認可能とするサービスが提供されているが、本件各発明は、被見守り者用端末がデータと、データを受信したことを報知する際の報知パターンを設定する設定指示とを見守り者用端末から受信する受信部と、受信部がデータを受信したことを報知する報知部と、設定指示に基づいて報知部の報知パターンを設定する設定部と、を備える構成を採用することで、被見守り者用端末が音声データを受信した際の報知パターンを、見守り者用端末のユーザにおいて選択することを可能にした上で、同選択肢のうちの1つが着信音を鳴らさないものとすること、及び、見守り者用端末と携帯電話ではない被見守り者用端末がマイクロフォン及びスピーカを備え、互いに音声メッセージを送受信することができる構成を採用することにより、GPS機能を利用して子供の位置情報を確認可能とするだけでなく、より利便性の高い情報処理端末、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供するものである。

2 争点1-1(

「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」(構成要件1E、10D、17E)の充足性)構成要件1E、10D、17Eは、いずれも、「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」というものであるところ、ここでの「前記複数の選択肢」の意味について検討すると、構成要件1Bが「複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンを設定する設定指示」とし、構成要件10Cが「複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターン」とし、構成要件17Cが「前記見守り者用端末のユーザによる複数の選択肢から報知パターンの選択を受け付ける」として、いずれもその文言上、報知パターンの選択を構成要件として包含していることに加え、本件明細書においても、「上記の課題を解決すべく、本発明に係る情報処理端末は、データと、データを受信したことを報知する際の報知パタンを設定する設定指示」(【0007】)と説明されていることからすると、構成要件1E、10D、17Eの「前記複数の選択肢」とは、前記見守り者用端末のユーザが選択する報知パターンの選択肢を指すものと認められる。そうすると、構成要件1E、10D、17Eの「前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである」とは、前記見守り者用端末のユーザが選択可能な被見守り者用端末の報知パターンが複数あり、かつ複数の報知パターンのうちの1つが、着信音を鳴らさないものであると解するのが相当である。これを被告サービスについてみると、証拠(甲6)によれば、被告サービスにおいては、被告製品が通知を受け取ると常にLEDが点灯すること及び見守り者用端末のユーザが利用するスマートフォン用の被告プログラムには、「みまもり端末が通知を受け取った時の通知音を選択」という項目に、「通知音オフ」、「チャイム通知音」及び「音声をそのまま通知」の3つの選択肢があることが認められるから、見守り者用端末のユーザが、上記3つの選択肢のうち「通知音オフ」を選択した場合、通知を受け取った被告製品は、音を鳴らさずに、LEDの点灯により、受信したことを通知するものであると認められる。以上によれば、被告サービスにおいては、報知パターンの選択肢として、「通知音オフ」、「チャイム通知音」及び「音声をそのまま通知」という複数の選択肢があり、かつ同選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないものであると認めることができるから、被告製品は構成要件1E、被告サーバは構成要件10D、被告プログラムは構成要件17Eを、それぞれ充足する。

3 争点1-2(

「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」(構成要件2E、12D、18C)の充足性)証拠(乙49)によれば、「電話」とは「電話機によって通話すること。」であり、「電話機」とは「音声を電波・電流または光に変えて送り、これを音声に再生することによって通話する装置」であるところ、「通話」とは、社会通念上、音声でのやり取りを同時的にすることで会話をするものと解される。これを被告サービスについてみると、証拠(甲3、6)によれば、被告サービスでは、見守り者用端末である親のスマートフォン等と被見守り者用端末である被告製品とで音声メッセージを相互に送受信することができるものの、同時的にやり取りをすることはできないと認められる。また、証拠(甲13)によれば、被告は、被告のホームページにおいて、「キッズ用ケータイやスマホが持ち込めない場所でも使える、小さくて丈夫なGPS端末」、「子ども用携帯より位置情報がわかりやすい」と記載しており、被告製品は、子供向けの携帯電話やスマートフォンとは異なることを前提に被告サービスを紹介しており、被告自身による説明は、上記に述べた携帯電話の定義とも整合するものである。以上によれば、被告製品は携帯電話であると認めることはできないから、構成要件2E、12D、18Cの「前記被見守り者用端末が携帯電話であるものを除く」をいずれも充足する。

4 争点1-3(

「前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、」(構成要件17D)の充足性)構成要件17Dは「前記音声入力に対応した第1音声データと、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、として機能させ、」との文言であるから、本件発明17のプログラムは、見守り者用端末が設定した報知パターンの設定指示を、被見守り者用端末に送信する送信部として機能するプログラムであると解されるところ、上記文言上、報知パターンの設定指示を被見守り者用端末に送信するに当たっての具体的な送信の態様が限定されているものとは解されない。また、本件明細書には、「本実施形態では、第2ユーザ端末4の受信部401は、サーバ2(情報処理装置)を介して異なる端末である第1ユーザ端末3からデータと、設定指示とを受信しているが、第1ユーザ端末3と第2ユーザ端末4とがサーバ2(情報処理装置)を介さずに(例えばピアトゥピアなどの方式により)データ(例えば、音声データ)と、設定指示とを送受信するようにしてもよい。」(【0095】)と記載されている。上記に述べたことからすると、構成要件17Dの見守り者用端末が設定した報知パターンの設定指示を被守り者用端末に送信する方法については、見守り者用端末からサーバを介して被見守り者用端末に送信する態様と見守り者用端末からサーバを介さずに直接に送信する態様のいずれであっても、報知パターンの設定指示が被見守り者用端末に送信されれば足りると解される。これを本件についてみると、被告プログラムは、選択された報知パターンで被告製品に報知することを設定する設定指示を、保護者のスマートフォンからサーバに送信し、サーバを経由して被告製品に送信していると認められるから、構成要件17Dの「前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、」を充足する。

5 争点1についての小括

上記2ないし4に述べたことからすると、被告製品は本件訂正発明2の技術的範囲に、被告サーバは本件訂正発明12の技術的範囲に、被告プログラムは本件訂正発明18の技術的範囲にそれぞれ属するものと認められる。

6 争点2-4(乙2発明を主引例とする進歩性欠如)

本件の事案に鑑み、争点2-4について判断をする。

(1) 乙2発明

ア 証拠(乙2)によれば、ドリームエリア株式会社が令和3年3月頃に販売を開始したGPS端末「みもりMR-02A」に係るサービスは、次のとおりであると認められる。(ア)「みもり」は、子供が所持するGPS端末の位置情報を親のスマートフォンの専用アプリケーションに送信するモニタリングシステムであって、保護者のスマートフォンに専用アプリケーションをインストールし、子供用の見守りGPS端末である「みもりMR-02A」と連動させると、上記専用アプリケーションに、子供の現在地が表示され、また、子供が学校・塾・自宅など、あらかじめ設定した場所に出入りした時に、保護者のスマートフォンへ通知をする。(イ) 専用アプリケーションをインストールした親のスマートフォンは、音声入力を受け付けるためのボタンを有しており、同ボタンに対する操作に応じて録音された保護者の音声又は専用アプリケーションで入力した文字を音声に変換し、音声メッセージとして「みもりMR-02A」に送信する。(ウ) 上記専用アプリケーションをインストールした保護者のスマートフォンにおいて、「みもりMR-02A」に対する音声メッセージの通知方法について、「着信音でお知らせ」か「着信音を鳴らさずにお知らせ」のいずれかを選択することができる。(エ) 上記通知方法につき、「着信音を鳴らさずにお知らせ」を選択した場合、「みもりMR-02A」が音声データを受信すると、LEDランプが点灯して、音声メッセージの通知を知らせる。(オ) 「みもりMR-02A」のメッセージボタンを押すと、受信した音声メッセージがスピーカーから再生される。(カ) 「みもりMR-02A」で受信した音声メッセージを再生すると、上記専用アプリケーションをインストールした保護者のスマートフォンに、「みもりMR-02A」が音声データを再生したことを示す情報が送信される。(キ) なお、原告は、上記(カ)については、本件証拠上不明であるなどと主張するが、証拠(乙2)によれば、ドリームエリア株式会社が、「みもり」のサービスにつき、GPS端末の新機種「みもりMR-02A」の予約販売を開始したのは、令和3年2月10日からであるところ、同機種の取扱説明書には、音声メッセージ画面において、メッセージの開封状況が、「開封済」、「送信エラー」、「未開封」のいずれかで表示されるとの記載があることからすると、上記(カ)の事実が認められる。イ 上記「みもりMR-02A」に係るサービス内容に鑑みると、乙2発明は、次の構成を有することが認められる。(乙2発明1)2-1a 被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおける被見守り者用端末であって、2-1b 複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンを設定する設定指示と、前記見守り者用端末からの音声データと、を受信する受信部と、2-1c 前記音声データを受信すると、前記設定指示に基づいて設定される報知パターンで、前記音声データを受信したことの報知を行う報知部と、2-1d 前記音声データを再生するスピーカと、を備え、2-1e 前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである被見守り者用端末。(乙2発明2)2-2c 前記音声データごとに、前記設定指示が受信され、2-2d 前記音声データを再生したことを示す情報が前記見守り者用端末に送信される、乙2発明1に記載の被見守り者用端末2-2e 前記被見守り者用端末は携帯電話ではない。(乙2発明10)2-10a 被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおけるサーバであって、2-10b 第1音声データを前記見守り者用端末から受信する受信部と、2-10c 複数の選択肢から前記見守り者用端末のユーザによって選択された報知パターンであって、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記第1音声データの受信をどのような報知パターンで前記被見守り者用端末において報知するかを設定する設定指示と、前記第1音声データと、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、を備え、2-10d 前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことであるサーバ。(乙2発明11)2-11a 前記受信部は、前記見守り者用端末から前記設定指示を受信する、2-11b 乙2発明10に記載のサーバ。(乙2発明12)2-12a 前記受信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を前記見守り者用端末から受信し、2-12b 前記送信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を前記被見守り者用端末に送信し、2-12c 前記被見守り者用端末によって前記第1音声データが再生されたことを示す情報を前記被見守り者用端末から受信して前記見守り者用端末に送信する、乙2発明11に記載のサーバ2-12d 前記被見守り者用端末は携帯電話ではない。(乙2発明17)2-17a 被見守り者によって携帯される被見守り者用端末の位置情報を見守り者用端末に送信するモニタリングシステムにおける見守り者用端末を、2-17b 前記見守り者用端末のユーザから音声入力を受け付ける第1受付部と、2-17c 前記見守り者用端末のユーザによる複数の複数の選択肢から報知パターンの選択を受け付ける第2受付部と、2-17d 前記音声入力に対応した第1音声データと、前記第1音声データが前記被見守り者用端末によって受信された場合に、前記選択された報知パターンで前記被見守り者用端末において報知することを設定する設定指示と、を前記被見守り者用端末に送信する送信部と、として機能させ、2-17e 前記複数の選択肢のうちの1つは、着信音を鳴らさないことである、プログラム。(乙2発明18)2-18a 前記見守り者用端末を、前記被見守り者用端末によって前記

第1音声データが再生されたことを示す情報を受信する受信部と

して機能させ、2-18b 前記送信部は、前記第1音声データごとに前記設定指示を送信する、乙2発明17に記載のプログラム2-18c 前記被見守り者用端末は携帯電話ではない。

(2) 本件各発明と乙2発明との対比

本件訂正発明2と乙2発明2、本件訂正発明12と乙2発明12、本件訂正発明18と乙2発明18は、それぞれ次のアないしウ記載の相違点において相違し、その余の点において一致するものと認められる。これに対し、原告は、本件訂正発明2につき、本件訂正発明2は、携帯電話ではない被見守り者用端末から見守り者端末に、音声データを再生したことを示す情報が送信されるのに対し、乙2発明は、音声データを再生したことを示す情報が送信されるか否か不明である点、本件訂正発明12につき、本件訂正発明12は、携帯電話ではない被見守り者用端末によって

第1音声データが再生されたことを示す情報を被見守り者用端末から受信

して見守り者用端末に送信するのに対し、乙2発明は、第1音声データが再生されたことを示す情報を受信するか否か不明である点、本件訂正発明18につき、本件訂正発明18は、携帯電話ではない被見守り者用端末によって第1音声データが再生されたことを示す情報を受信するのに対し、乙2発明は、第1音声データが再生されたことを示す情報を受信するか否か不明である点も相違点であると主張するが、前記(1)で認定したとおり、乙2発明は、被見守り者用端末が、受信した音声メッセージを再生すると、見守り者用端末に、被見守り者用端末が音声データを再生したことを示す情報が表示されるものであるから、原告が主張する上記各相違点は認められない。ア 本件訂正発明2との相違点[相違点1-1]本件訂正発明2は、マイクと、マイクに入力された音声を送信する送信部とを備える被見守り者用端末であるのに対し、乙2発明はそのような構成になっていない点。イ 本件訂正発明12との相違点[相違点2-1]本件訂正発明12は、第2音声データを被見守り者用端末から受信して見守り者用端末に送信するのに対し、乙2発明はそのような構成になっていない点。ウ 本件訂正発明18との相違点[相違点3-1]本件訂正発明18は、被見守り者用端末からの第2音声データを受信するのに対し、乙2発明はそのような構成になっていない点。

(3) 相違点の容易想到性について

ア 上記相違点はいずれも、乙2発明は、被見守り者用端末である子供が所持するGPS端末はマイクを有しておらず、被見守り者用端末から入力された音声データを、見守り者用端末である親のスマートフォンに送信する送信部を有しないというものであり、要するに被見守り者用端末からは音声データを送ることはできないというものである。証拠(乙10、11)によれば、本件特許の原出願日より前に公然実施されていたと認められる「amue link」のサービス(乙11発明)及び「otta.g」のサービス(乙10発明)は、いずれも子供が所持するGPS端末にマイクが内蔵されており、同マイクから入力された音声データを録音し、親のスマートフォンに当該音声データを送信することができたと認められるから、本件特許の原出願時、子供が所持するGPS端末に、マイクと、同マイクから入力された音声データを録音し、親のスマートフォンに送信する送信部を有する構成は周知技術であったと認められる。そして、乙10発明及び乙11発明はいずれも、乙2発明と同じ被見守り者用端末を用いた見守りのためのモニタリングシステムであるから、両者の技術分野は共通しており、かつ見守り者用端末と被見守り者用端末との間で音声データを送受信するものであって、共通の作用及び機能を有している。また、見守り者用端末から被見守り者用端末に対して(すなわち親から子供に対して)音声データを送ることができるのみならず、被見守り者用端末から見守り者用端末に対して(すなわち子供から親に対して)も音声データを送ることができるようにする、すなわち音声データの送受信を双方向にすることは、親から離れて一人で行動する子供をモニタリングするという見守りサービスの利便性をより向上するものである。上記に述べたことからすれば、乙2発明に接した当業者は、見守り者用端末と被見守り者用端末との間の音声データの送受信について、被見守り者用端末である子供が所持するGPS端末にマイクと送信部を設け、被見守り者用端末から見守り者用端末に対して音声データを送信するという技術を組み合わせる動機付けがあり、実際に、乙2発明と同じ見守りサービスである乙10発明及び乙11発明において、見守り者用端末と被見守り者用端末との間における双方向の音声データの送受信が実装されていたことからすれば、上記組合せをすることについて、阻害要因があるとも認められない。以上によれば、当業者において、乙2発明に乙10発明や乙11発明から認められる上記周知技術を適用して、上記各相違点に係る構成をすることは容易に想到し得たものといえる。イ これに対し、原告は、乙2発明は完成した製品であり、これを改変する動機付けはないし、相違点1-1に係る構成を採用した場合、消費電力が高くなるが、子供が所持するGPS端末は低消費電力であることが重要であるから、低消費電力であることが特長である乙2発明において、低消費電力化を阻害する構成を採用する動機付けはないなどと主張する。しかしながら、本件特許の原出願より前の時点で、同じ見守りサービスである乙10発明及び乙11発明において、見守り者用端末と被見守り者用端末との間における双方向の音声データの送受信が実装されていたことは上記のとおりであり、また証拠(乙45)によれば、本件特許の原出願より後ではあるものの、ドリームエリア株式会社も、令和6年3月に販売した「みもり」の新モデル「みもりGPS トーク」において、子供からも音声を送信できるトーク機能を実装していると認められることからすれば、原告が主張する消費電力の点は、阻害要因となるものではない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。ウ 以上によれば、本件各発明は、当業者が乙2発明に基づいて容易に発明することができたものであるから、進歩性を欠くものである。

7 小括

以上によれば、その余の無効事由について検討するまでもなく、本件訂正発明2、本件訂正発明12及び本件訂正発明18はいずれも進歩性を欠き、特許無効審判により無効にされるべきものであるから(特許法123条1項2号、29条2項)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使することができない(特許法104条の3第1項)。

第4 結論

よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官澁 谷 勝 海裁判官本 井 修 平裁判官塚 田 久 美 子(別紙)被告製品目録見守り対象者によって携帯されるGPS端末の現在位置を保護者のユーザ端末に送信するみまもりシステムにおけるGPS端末であって、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージと、複数の選択肢(通知音オフ、チャイム通知音、音声をそのまま通知)から保護者によって選択された通知パターンを指定する通知パターン指定情報と、をボイスメッセージごとに受信し、ボイスメッセージを受信すると、通知パターン指定情報で指定される通知パターンで、ボイスメッセージを受信したことを通知し、受信したボイスメッセージをスピーカから再生し、マイクを備え、マイクに入力されたボイスメッセージを送信する、GPS端末(「みてねみまもりGPSトーク」を含む)(別紙)被告サーバ目録見守り対象者によって携帯されるGPS端末の現在位置を保護者のユーザ端末に送信するみまもりシステムにおけるサーバであって、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージと、複数の選択肢(通知音オフ、チャイム通知音、音声をそのまま通知)から保護者によって選択された通知パターンを指定する通知パターン指定情報であって、ボイスメッセージがGPS端末によって受信された場合に、ボイスメッセージの受信をどのような通知パターンでGPS端末において通知するかを指定する通知パターン指定情報と、をボイスメッセージごとに保護者のユーザ端末から受信し、保護者のユーザ端末からのボイスメッセージと、通知パターン情報と、を保護者のユーザ端末からのボイスメッセージごとにGPS端末に送信し、ボイスメッセージをGPS端末から受信し、GPS端末からのボイスメッセージを保護者のユーザ端末に送信する、サーバ(別紙)被告ユーザ端末プログラム目録見守り対象者によって携帯されるGPS端末の現在情報を保護者のユーザ端末に送信するモニタリングシステムにおける保護者のユーザ端末を、保護者から音声入力を受け付け、保護者による複数の複数の選択肢(通知音オフ、チャイム通知音、音声をそのまま通知)から通知パターンの選択を受け付け、音声入力に対応したボイスメッセージと、当該ボイスメッセージがGPS端末によって受信された場合に、選択された通知パターンでGPS端末において通知することを指定する通知パターン指定情報と、ボイスメッセージごとにGPS端末に送信し、GPS端末からのボイスメッセージを受信し、GPS端末に送信したボイスメッセージ、及び、GPS端末から受信したボイスメッセージが、ボイスメッセージのファイル単位で送受信の順に表示され、かつ、ボイスメッセージを受け付けるための録音ボタンを含むタイムライン画面を表示させ、録音ボタンが押された状態となると、音声入力を受け付け、その後、通知パターンの選択肢と、ボイスメッセージを送信するための送信ボタンとを表示させ、通知パターンの選択肢に対するタップ操作に基づいて通知パターンの選択を受け付け、送信ボタンがタップされると、通知パターン指定情報とボイスメッセージを送信する、ユーザ端末用プログラム(「みてねみまもりGPS」を含む)

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