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令和8(ネ)10049損害賠償請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年9月9日
事件種別 民事
対象物 テレホンカード
法令 実用新案権
実用新案法11条1項2回
実用新案法14条1項1回
キーワード 実用新案権21回
損害賠償5回
分割5回
侵害3回
無効1回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 1⑴ 本件は、考案の名称を「テレホンカード」とする実用新案権(本件実用 新案権)の設定登録を受けた控訴人が、被告製品は本件考案の実用新案登録 請求の範囲に属し、被告による昭和59年9月5日から平成11年9月5日 までの間における被告製品の製造販売は本件実用新案権を侵害するものであ るなどと主張して、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償として20 億円及びこれに対する令和6年11月21日(訴状送達の日)から支払済み まで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である (一部請求)。 ⑵ 原審は、本件実用新案権について設定の登録がされたのは平成22年4 月2日であり、昭和59年9月5日から平成11年9月5日までの間におけ る被告製品の販売は、本件実用新案権の発生前の行為であるから、本件実用 新案権の侵害とはいえないとして、控訴人の請求を棄却し、控訴人は、これ を不服として、損害賠償金1000万円及びこれに対する令和6年11月2

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判決文

令和8年9月9日判決言渡

令和8年(ネ)第10049号 損害賠償請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第70485号)

口頭弁論終結日 令和8年7月29日

判 決

控 訴 人 X

同訴訟代理人弁護士 小 林 秀 之

同訴訟復代理人弁護士 齋 藤 正 和

被 控 訴 人 N T T 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 升 永 英 俊

同 江 口 雄 一 郎

同補佐人弁理士 佐 藤 睦

主 文

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を次のとおり変更する。2 被控訴人は、控訴人に対し、1000万円及びこれに対する令和6年11月21日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略語は原判決の例による。)

1⑴ 本件は、考案の名称を「テレホンカード」とする実用新案権(本件実用新案権)の設定登録を受けた控訴人が、被告製品は本件考案の実用新案登録請求の範囲に属し、被告による昭和59年9月5日から平成11年9月5日までの間における被告製品の製造販売は本件実用新案権を侵害するものであるなどと主張して、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償として20億円及びこれに対する令和6年11月21日(訴状送達の日)から支払済み

5 まで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である(一部請求)。

⑵ 原審は、本件実用新案権について設定の登録がされたのは平成22年4月2日であり、昭和59年9月5日から平成11年9月5日までの間における被告製品の販売は、本件実用新案権の発生前の行為であるから、本件実用新案権の侵害とはいえないとして、控訴人の請求を棄却し、控訴人は、これを不服として、損害賠償金1000万円及びこれに対する令和6年11月21日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、控訴を提起した。2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1から3まで(原判決2頁8行目から5頁12行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決2頁11行目から14行目末尾までを次のとおり改める。「⑴ 控訴人は、平成11年12月20日、他の2名と共同して、昭和59年9月5日に出願された実用新案登録出願(実願昭59-134611号。以下「原々出願」という。)の分割出願である実用新案登録出願(実願平6-5675号)の一部を分割して、新たな実用新案登録出願(実願平11-9646号。以下「本件出願」という。)をした。」

⑵ 原判決5頁12行目の「すなわち、登録時点から除斥期間が起算される。」を「控訴人において、本件実用新案権に基づく損害賠償請求権の行使が客観的に法律上可能となったのは、本件実用新案権の設定の登録がされた平成22年4月2日であり、令和29年法律第44号による改正前の民法(改正前民法)724条後段の規定する期間は経過していない。また、仮に本件実用新案権の存続期間満了日である平成11年9月5日から上記期間を起算するとしても、本件において、被控訴人が上記期間の経過により上記請求権の消

5 滅を主張することは、信義則に反し又は権利の濫用として許されない。」に改める。

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、2のとお

り控訴理由に対する判断を付加するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第

3 当裁判所の判断」の1及び2(原判決5頁14行目から6頁4行目まで)

に記載のとおりであるから、これを引用する。

2 控訴理由に対する判断

控訴人は、本件出願は分割出願であり、分割出願の場合、新たな実用新案登録出願は、もとの実用新案登録出願の時にしたものとみなされるのであるから(実用新案法11条1項の準用する特許法44条2項)、本件実用新案権の設定の登録があった以上、その権利ないし効力は、原々出願時である昭和59年9月5日に遡及して発生し、平成5年法律第26号による改正前の実用新案法15条1項の規定により平成11年9月5日まで存続するのであって、原審の判断には、本件実用新案権の権利性について法令の解釈適用を誤った違法があり、事実誤認及び審理不尽の違法がある旨の主張をする。しかしながら、実用新案権は、設定の登録により発生するところ(実用新案法14条1項)、本件実用新案権の設定の登録があったのは平成22年4月2日であるから、本件実用新案権発生前の昭和59年9月5日から平成11年9月5日までの間における被告製品の販売を本件実用新案権の侵害といえないことは、原判決の説示のとおりである。控訴人は、実用新案法11条1項の準用する特許法44条2項の規定によれば、本件実用新案権の設定の登録があった以上、その権利ないし効力は原々出願時である昭和59年9月5日に遡及して発生する旨の主張をするが、上記は、出願時が遡及することを規定するもので、実用新案権が遡及して発生することを規定するものではない。

5 控訴人は、本件実用新案権の設定の登録は存続期間満了を原因として抹消さ

れたのであり、登録自体が当然に無効であったわけではなく、本件出願は、特許庁において、適法な分割出願として登録査定がされている、存続期間満了後に設定の登録がされた実用新案権について登録後の将来効しかないと解すると、本件実用新案権の設定の登録が無意味化する、実用新案権自体の将来行使の可否と損害賠償請求権の発生又は確定の有無は区別すべきであるなどとも主張するが、いずれも、独自の解釈に基づく主張であり、採用することはできない。

3 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却する

こととして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官森 冨 義 明裁判官菊 池 絵 理裁判官天 野 研 司

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