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平成20(ワ)22832等損害賠償請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 平成21年7月9日
事件種別 民事
当事者 被告(反訴原告)株式会社イデアテック
原告(反訴被告)ドーエイ外装有限会社
法令 特許権
特許法101条1号3回
民法709条1回
特許法101条2号1回
特許法102条2項1回
キーワード 特許権36回
侵害35回
損害賠償13回
分割11回
間接侵害4回
実施1回
主文 1 原告(反訴被告)の請求をいずれも棄却する。
2 被告(反訴原告)の反訴請求をいずれも却下する。
3 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,これを10分し,その9を原告(反訴被告)の負担とし,その余を被告(反訴原告)の負担とする。
事件の概要 本訴事件は,床用目地装置等について別紙特許目録記載1ないし5の特許権 を有する原告が,被告が後記工事において床用目地装置等の装置を設置した行 為は上記各特許権を侵害するものであるなどと主張して,被告に対し,特許権 侵害による損害賠償として,500万円及びこれに対する不法行為の後である 平成20年8月29日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の 割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。これに対し,被告は,被告 が上記各装置を設置した行為は上記特許権を侵害するものではないと主張し て,これを争っている。 反訴事件は,被告が,原告に対し,被告が後記工事において床用目地装置等 の装置を設置した行為について,原告が被告に対して上記特許権の侵害を理由 とする損害賠償請求権を有しないことの確認を求めた事案である。

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判決文

平成21年7月9日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成20年(ワ)第22832号 損害賠償請求事件
平成21年(ワ)第10882号 特許権侵害による損害賠償請求権不存在確認反訴請求事件
口頭弁論終結日 平成21年6月16日
判 決
三重県桑名市<以下略>
原告(反訴被告) ド ー エイ外装有限 会社
同訴訟代理人弁護士 大 津 卓 滋
同 原 田 活 也
同 黒 崎 祥
東京都北区<以下略>
被告(反訴原告) 株 式 会社イデアテ ック
同訴訟代理人弁護士 釜 田 佳 孝
同 千 田 適
同 徳 村 初 美
同 奥 村 太 朗
同 櫛 田 和 代
同 藤 澤 泰 子
同 山 本 哲 男
同 補佐 人 弁理士 玉 田 修 三
主 文
1 原告(反訴被告)の請求をいずれも棄却する。
2 被告(反訴原告)の反訴請求をいずれも却下する。
3 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,これを10分し,その9を原告(反訴
被告)の負担とし,その余を被告(反訴原告)の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
(本訴)
被告(反訴原告。以下「被告」という 。)は,原告(反訴被告。以下「原告」
という 。)に対し,500万円及びこれに対する平成20年8月29日から支払
済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(反訴)
1 原告が,被告に対し,別紙イ号物件目録記載の装置の製造,販売について,
別紙特許目録記載1の特許権に基づく損害賠償請求権を有しないことを確認す
る。
2 原告が,被告に対し,別紙ロ号物件目録記載の装置の製造,販売について,
別紙特許目録記載2又は3の特許権に基づく損害賠償請求権を有しないことを
確認する。
3 原告が,被告に対し,別紙ハ号物件目録記載の装置の製造,販売について,
別紙特許目録記載4又は5の特許権に基づく損害賠償請求権を有しないことを
確認する。
第2 事案の概要
本訴事件は,床用目地装置等について別紙特許目録記載1ないし5の特許権
を有する原告が,被告が後記工事において床用目地装置等の装置を設置した行
為は上記各特許権を侵害するものであるなどと主張して,被告に対し,特許権
侵害による損害賠償として,500万円及びこれに対する不法行為の後である
平成20年8月29日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の
割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。これに対し,被告は,被告
が上記各装置を設置した行為は上記特許権を侵害するものではないと主張し
て,これを争っている。
反訴事件は,被告が,原告に対し,被告が後記工事において床用目地装置等
の装置を設置した行為について,原告が被告に対して上記特許権の侵害を理由
とする損害賠償請求権を有しないことの確認を求めた事案である。
1 争いのない事実
( 1) 原告の有する特許権
原告は,別紙特許目録記載1ないし5の特許権(以下,各特許権をそれぞ
れ「本件特許権1」などといい,その特許請求の範囲請求項1の発明を「本
件発明1 」,同発明に係る特許を「本件特許1 」,同特許に係る明細書(別
紙特許公報参照)を「本件明細書1」などという 。)を有している。
( 2) 構成要件の分説
本件発明1ないし5を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,
分説した構成要件をそれぞれ「 構成要件1−A 」 本件発明1の構成要件A )

などという 。)
ア 本件発明1
A 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の床面に形成された
該目地部に開口する左右の凹部と,
B 両端部が前記左右の凹部のほぼ中央部に位置する,該左右の凹部内を
スライド移動する可動目地プレートと,
C この可動目地プレートの中央部を前記目地部の中央部に常時位置させ
る,前記左右の建物の目地部側の躯体に両端部が取付けられた中央維持
機構と,
D 前記左右の凹部を覆うように前記左右の建物の床面を形成する躯体に
取付けられた先端部が前記可動目地プレートに支持される左右のカバー
プレートと,
E この左右のカバープレート間の隙間を覆う該左右のカバープレートの
上面とほぼ同じ上面となるように前記可動目地プレートに上下移動可能
に支持された中央カバープレートと,
F 地震等によって前記目地部が狭くなると前記中央カバープレートを前
記左右のカバープレートの押し圧によって自動的に上昇させる中央カバ
ープレート押し上げ機構
G とからなることを特徴とする床用目地装置。
イ 本件発明2
A 目地部を介して建てられた左右の建物の天井目地部を該天井目地部が
狭くなる揺れ動き時には上方へ押し上げるように支持することができ
る,少なくとも2個以上の支持金具に取付けられた天井目地部を覆う天
井用目地カバーを備える天井用目地装置において,
B 前記天井用目地カバーを前後方向に摺動可能な少なくとも2個以上に
分割された分割天井用目地カバーで構成するとともに,
C 前記少なくとも2個以上の支持金具を前記分割天井用目地カバーをそ
れぞれ前後方向に摺動可能に支持できるようにしたこと
D を特徴とする天井用目地装置。
ウ 本件発明3
A 目地部を介して建てられた左右の建物の天井躯体にそれぞれ吊り下げ
具を用いて取付けられた,左右の天井仕上材の目地部側端部に設けられ
た下部が目地部側に突出するような傾斜面の左右のガイド部材と,
B この左右のガイド部材間の目地部を覆う目地天井仕上材と,
C 前記左右の建物の目地部側の天井躯体に固定された左右の支持バー,
D この左右の支持バーに所定間隔離間され左右方向にスライド移動可能
に支持され,中央部に前記目地天井仕上材を吊り下げる吊り下げアーム
を有する少なくとも2個以上の吊り下げバー,
E およびこの少なくとも2個以上の吊り下げバーにそれぞれ形成された
前記左右の建物間の目地部が地震等によって狭くなるように揺れ動いた
場合には,前記目地天井仕上材の両端部が前記左右のガイド部材によっ
て押し圧されることなく,前記左右の支持バーによって上方へスライド
移動される,ほぼ逆台形状の下部を除く輪郭形状の目地天井仕上材押し
上げ部
F とからなる目地天井仕上材支持機構とを備えることを特徴とする天井
用目地装置。
エ 本件発明4
A 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の対向する部位の躯
体に,ヒンジ部材を介して両端部が取付けられた伸縮可能な4等分部位
に枢支部を有するリンク機構を用いた所定間隔で少なくとも2個以上の
中央維持機構と,
B 前記ヒンジ部材の可動部材に後端部が固定された前記目地部のほぼ4
分の1の部分を覆う先端部が順次後方へ突出するガイド片を有する一対
の固定目地カバーと,
C この一対の固定目地カバー間の隙間を覆う両端部に該一対の固定目地
カバーのガイド片によって前方へ押し出されるガイド部が形成された中
央目地カバーと,
D この中央目地カバーを前方へ突出可能に前記中央維持機構の中央枢支
部にそれぞれ枢支するとともに,常時該中央維持機構側に付勢する中央
目地カバー支持機構と,
E 前記中央維持機構の中央枢支部と両端部との間の中間部枢支部に取付
け具を介してそれぞれ取付けられた前記一対の固定目地カバーと前記中
央目地カバーとの間の開放が可能に覆う一対の中間支持目地カバー
F とからなることを特徴とする伸縮パネル装置。
オ 本件発明5
A 目地部を介して建てられた左右の建物の,該目地部部位の左右の躯体
に両端部がヒンジ部材を介して回動可能に取付けられた,少なくとも2
個以上のほぼ中央部に中央枢支部を有する伸縮可能な中央維持リンク機
構と,
B この少なくとも2個以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に支持さ
れている支持アームに固定された前記目地部の両端部寄りの部位を除く
部位を覆う中央目地カバーと,
C 前記ヒンジ部材に後端部が固定され,先端部が前記中央目地カバーの
内側端部と重なり合う先端に該中央目地カバーとの嵌合を容易にする傾
斜のガイド片を有する一対の端部目地カバーと,
D この一対の端部目地カバーの内側に該一対の端部目地カバーの左右方
向の移動によって左右方向にスライド移動可能に設けられた一対の補助
目地カバーと,
E この一対の補助目地カバーの内側端部が前記中央目地カバーの端部よ
り外方に突出することなく左右方向にスライド移動可能に支持する前記
支持アームに取付けられた少なくとも2個以上の補助目地カバー支持体
F とからなることを特徴とする目地カバー装置。
( 3) 被告の施工した工事
被告は,千葉県八千代市<以下略>所在の東京女子医科大学八千代医療セ
ンターの新築工事において,エキスパンション・ジョイント工事(以下「本
件工事」という 。)を施工した(なお,被告が施工した工事の内容について
は,後記のとおり争いがある 。 。

2 争点
( 1) 被告は,本件工事において,本件特許権1ないし5を侵害したか(争点
1)。
( 2) 被告が本件特許権を侵害した場合,原告の損害は幾らか(争点2 )。
( 3) 反訴について,被告に訴えの利益はあるか(争点3 )。
3 争点に関する当事者の主張
( 1) 争点1(本件工事における本件特許権侵害の有無)について
(原告の主張)
ア 1号装置ないし5号装置について
被告は ,本件工事において ,別紙物件目録1ないし5記載の装置( 以下 ,
各装置をそれぞれ「1号装置」などという 。)を設置した。
1号装置は本件発明1と,2号装置は本件発明2と,3号装置は本件発
明3と,4号装置は本件発明4と,5号装置は本件発明5と,それぞれ同
一の構成を有し,その技術的範囲に属するものである。
したがって,被告が1号装置ないし5号装置を設置した行為は,本件特
許権1ないし5を侵害する。
イ イ号装置ないしハ号装置について
被告が設置した装置が1号装置ないし5号装置ではなく,別紙イ号物件
目録ないしハ号物件目録記載の装置( 以下 ,各装置をそれぞれ「 イ号装置 」
などという 。)であったとしても,次のとおり,イ号装置は本件特許権1
を,ロ号装置は本件特許権2及び3を ,ハ号装置は本件特許権4及び5を ,
それぞれ侵害するものである。
(ア) イ号装置について
次のとおり,イ号装置の構成は本件発明1の構成要件と同一であるか
ら,イ号装置は本件発明1の技術的範囲に属する。
a イ号装置の構成が構成要件1−Aないし1−D及び1−Gを充足す
ることについては,後記のとおり被告も認めている。
b イ号装置には,被告によって,別紙イ号物件目録のイ号図記載の可
動目地プレート4の上にカーペット 以下 本件カーペット 」
( 「 という 。)
が取り付けられているところ ,同カーペットは ,構成要件1−Eの 中

央カバープレート」にほかならない。
c 本件カーペットは,地震等によって目地部が狭くなったときは,上
記イ号図記載の左右のカバープレート9の押し圧によって自動的に上
昇させられるものであるから,イ号装置が構成要件1−Fの「中央カ
バープレート押し上げ機構」を有することも明らかである。
d 仮に,本件カーペットを取り付けたのが被告以外の者であったとし
ても ,上記のとおり ,イ号装置に本件カーペットが設置された物件は ,
本件特許権1を直接侵害するものであり,① イ号装置が同物件の生
産に用いる物であること,② イ号装置は,本件発明1が解決しよう
とする課題,すなわち,段差のない状態で目地部を覆うとともに,地
震等によって左右の建物が異なる前後左右方向に揺れ動いても,その
揺れ動きを吸収して,損傷することのない床用目地装置を提供するこ
との解決に不可欠なものであること,③ 被告は,イ号装置が本件発
明1の実施に用いられることを知りながら,業として,本件工事にお
いてイ号装置を設置したものであることから,被告がイ号装置を設置
する行為は,特許法101条2号の間接侵害行為に当たる。
また,上記可動目地プレート4の中央部に本件カーペットを取り付
けるための穴が存在することからすると,イ号装置は,本件カーペッ
トを設置することをあらかじめ前提として製造,設置されたものとい
うべきであり,被告がイ号装置を設置する行為は,特許法101条1
号の間接侵害行為にも当たる。
(イ) ロ号装置及びハ号装置について
本件工事において被告がロ号装置及びハ号装置を設置したことについ
ては ,その証明がなく ,現時点では不明というにすぎない 。したがって ,
ロ号装置及びハ号装置が本件特許権2ないし5を侵害したとする原告の
請求が成り立たないとは言えない。
(被告の主張)
ア 1号装置ないし5号装置について
本件工事において被告が設置した装置は,1号装置ないし5号装置では
なく,イ号装置ないしハ号装置である。
イ イ号装置ないしハ号装置について
次のとおり,イ号装置ないしハ号装置は,本件発明1ないし5と構成を
異にするものであり,その技術的範囲に属さない。
(イ号装置について)
次のとおり,イ号装置の構成は,構成要件1−E及び1−Fを充足しな
い。
(ア) イ号装置の構成
イ号装置の構成は,以下のとおり分説することができる(以下,分説
した構成をそれぞれ「構成1−a」などという。なお,構成部分の名称
の後に記載している符号は,別紙イ号物件目録のイ号図記載の箇所を指
す。 。

a 目地部1を介して建てられた左右の建物の目地部側の床面2.2
に形成された該目地部1に開口する左右の凹部3.3と,
b ボールキャスター6 .6が設けられた両端部が前記左右の凹部3 .
3のほぼ中央部に位置する,該左右の凹部3.3内をスライド移動
する可動目地プレート4と,
c この可動目地プレート4の中央部を前記目地部1の中央部に常時
位置させる,前記左右の建物の目地部1側の躯体5.5に両端部が
取り付けられたパンタグラフ7でなる中央維持機構8と,
d 前記左右の凹部3.3を覆うように前記左右の建物の床面2.2
を形成する躯体5.5に取付けられた先端部が前記可動目地プレー
ト4に支持される左右のカバープレート9.9と,
e 可動目地プレート4と左右のカバープレート9.9の前後方向側
の端部において目地部1をカバーするための端部可動役物10と
f からなる床用エキスパンションジョイント。
(イ) イ号装置と本件発明1との対比
a 構成要件1−Aと構成1−aとの対比
構成1−aは,構成要件1−Aと同様の構成をとっているので,同
構成要件を充足する。
b 構成要件1−Bと構成1−bとの対比
構成1−bは,構成要件1−Bと同様の可動目地プレートであるか
ら,同構成要件を充足する。
c 構成要件1−Cと構成1−cとの対比
構成1−cは,構成要件1−Cと同様の中央維持機構装置であるか
ら,同構成要件を充足する。
d 構成要件1−Dと構成1−dとの対比
構成1−dは,構成要件1−Dと同様の左右のカバープレートであ
るから,同構成要件を充足する。
e 構成要件1−Eとの対比
別紙イ号物件目録のイ号図記載のとおり,イ号装置には,構成要件
1−Eの「可動目地プレートに上下移動可能に支持された中央カバー
プレート」が存在しないので,同構成要件を充足しないことは明らか
である。
なお,被告は,清水・西松・三井住友建設共同企業体(本件工事の
元請業者。以下「JV」という 。)の下請業者である秋山金属工業株
式会社から本件工事を下請けして,イ号装置を設置したものであると
ころ,本件カーペット(なお,同カーペットの両端には,押金物がつ
いている 。)は,被告がイ号装置を設置した後,JVによって,別紙
イ号物件目録のイ号図記載の可動目地プレート4の上面に粘着剤で貼
着されて,同プレートに敷設されたものである。
そのため,本件カーペットは,振動時において両建物の目地部が狭
くなったときは,微震によるわずかな振動であれば,別紙イ号物件目
録のイ号図記載の左右のカバープレート9の先端部にある見切り材と
本件カーペットの両端部にある押し金物との間の隙間部分で免震を得
ることができるが,それ以上の振動の場合には,上記カバープレート
及び上記見切り材が可動目地プレート4の上面上を滑り,カバープレ
ート及び見切り材の押し圧力によって本件カーペットの粘着部分が剥
がされて,可動目地プレート4の中央に向かって折り曲げられるよう
に圧縮され,両建物の目地部が再び元の状態に戻っても,押し金物部
分を除く本件カーペットは布地であるから,元のフラット状に復元す
ることなく,剥がされほぼ折り曲げられたときの状態で残ることにな
る。
このように,本件カーペットは,構成要件1−Eの「中央カバープ
レート」に見られるような ,「可動目地プレート」と独立したもので
はなく ,「可動目地プレート」に上下移動可能に支持されたものでも
ないから,構成要件1−Eの「中央カバープレート」に該当しない。
また,機械技術分野において ,「プレート」という用語は ,「フラ
ットな平板面を有する木製や金属製等の硬質材によって形成された平
板」を示すものとして使用されていることからすると,構成要件1−
Eの「中央カバープレート」とは ,「左右のカバープレートとほぼ同
一面となる板状に形成され,かつ,アルミ,アルミ合金,ステンレス
等の金属材で形成されている」ことを必須の構成要素とするものであ
ると解するのが相当であるが,布地である本件カーペットは,そのよ
うなものではない。
以上のとおり,本件カーペットは構成要件1−Eの「中央カバープ
レート」に該当しないから,イ号装置に本件カーペットが付加された
ものと本件発明1を対比したとしても ,構成要件1−Eを充足しない 。
f 構成要件1−Fとの対比
上記のとおり,イ号装置には,構成要件1−Eの「中央カバープレ
ート」が存在しないので,上記「中央カバープレート」が存在するこ
とを前提とする構成要件1−Fの 中央カバープレート押し上げ機構 」

も存在せず,同構成要件を充足しない。
g 構成要件1−Gと構成1−fとの対比
本件発明1もイ号装置も,ともにエキスパンションジョイントであ
るので,構成1−fは,構成要件1−Gを充足する。
(ロ号装置について)
次のとおり,ロ号装置の構成は,構成要件2−Aないし2−C,3−A
及び3−Cないし3−Eを充足しない。
(ア) ロ号装置の構成
ロ号装置の構成は,以下のとおり分説することができる(以下,分説
した構成をそれぞれ「構成2−a」などという。なお,構成部分の名称
の後に記載している符号は,別紙ロ号物件目録のロ号図記載の箇所を指
す。 。

a 天井目地部1を覆う天井用目地カバー2は ,左側建物躯体3から ,
支持材4やターンバックル5を介して,ワイヤー6により吊り下げ
られて支持されている(さらに詳しくは,ワイヤー6は天井用目地
カバー2の中央やや左側建物躯体3寄りに設けられたレール8に接
続されている 。また ,左右の固定天井材10 .10が左右の躯体3 .
3から支持材4や吊りボルト9を介して吊設されている )。
天井用目地カバー2の左側建物躯体3側の端縁はヒンジ12を介
して左側の固定天井材10の端縁近傍に取り付けられていると共
に,この天井用目地カバー2は前記ヒンジ12を中心に上方への回
動が自在に構成されている。
天井用目地カバー2の右側建物躯体3側の端縁には,傾斜面7a
を有する縁材7が設けられている。
右側の固定天井材10の端縁には,前記縁材7の傾斜面7aに対
向する傾斜面11aを有する見切り材11が設けられており,天井
用目地カバー2は前記天井目地部1が狭くなる揺れ動き時には上方
へ押し上げられる(前記ロ号図1頁,2頁,及び3頁上図参照)。
b 天井用目地カバー2は一枚物のプレート体で構成されている。
c 天井用エキスパンションジョイントである。
(イ) ロ号装置と本件発明2との対比
a 構成要件2−Aと構成2−aとの対比
ロ号装置には,本件発明2のように,天井目地部1が狭くなる揺れ
動き時に上方へ押し上げるように支持することができる支持金具は存
在しない。
したがって,構成2−aは,構成要件2−Aを充足しない。
b 構成要件2−Bと構成2−bとの対比
構成要件2−Bは ,「少なくとも2個以上に分割された分割天井用
目地カバー」から構成されるが,ロ号装置の天井用目地カバー2は1
枚物のプレート体である。
したがって,構成2−bは,構成要件2−Bを充足しない。
c 構成要件2−Cとの対比
上記あ及びいのとおり,ロ号装置には「支持金具」が存在せず,ま
た「少なくとも2個以上に分割された分割天井用目地カバー」も存在
しない。
したがって,ロ号装置は,構成要件2−Cを充足しない。
d 構成要件2−Dと構成2−cとの対比
本件発明2もロ号装置も,ともにエキスパンションジョイントであ
るので,構成2−cは,構成要件2−Dを充足する。
(ウ) ロ号装置と本件発明3との対比
a 構成要件3−Aと構成2−aとの対比
ロ号装置では,右側の固定天井材10(天井仕上げ材に該当)にの
み,傾斜面11aを有する見切り材11(ガイド部材に該当−本件明
細書3の図面2の符号6)が存在し,本件発明3のように左右の天井
仕上げ材に設けられたガイド部材といったものは存在しない。
したがって,構成2−aは,構成要件3−Aを充足しない。
b 構成要件3−Bと構成2−bとの対比
構成要件3−Bの「目地天井仕上材」は,ロ号装置の天井用目地カ
バー2に相当する。
したがって,構成2−bは,構成要件3−Bを充足する。
c 構成要件3−Cないし3−Eとの対比
ロ号装置には,構成要件3−Cの「支持バー 」,構成要件3−Dの
「吊り下げバー」及び構成要件3−Eの「目地天井仕上材支持機構」
は存在しない。
したがって,ロ号装置は,構成要件3−Cないし3−Eを充足しな
い。
d 構成要件3−Fと構成2−cとの対比
本件発明3もロ号装置も,ともにエキスパンションジョイントであ
るので,構成2−cは,構成要件3−Fを充足する。
(ハ号装置について)
次のとおり,ハ号装置の構成は,構成要件4−A,4−B,4−E,5
−B,5−D,及び5−Eを充足しない。
(ア) ハ号装置の構成
ハ号装置の構成は,以下のとおり分説することができる(以下,分説
した構成をそれぞれ「構成3−a」などという。なお,構成部分の名称
の後に記載している符号は,別紙ハ号物件目録のハ号図記載の箇所を指
す。 。

a 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の対向する部位
の躯体に左右のヒンジ4.4を介してパンタグラフ(リンク機構に
相当)3の両端が回動自在に取り付けられて中央維持機構5に相当
する機構を構成している。パンタグラフ3の中央に1つ枢支部6が
設けられている 。パンタグラフ3は高さ方向に3体用いられている 。
b ヒンジ4.4の可動部分に目地部1のほぼ4分の1の部分を覆う
一対の端部固定目地カバー7.7の後端が固定されている。
c 両端縁に傾斜面(ガイド部に相当)8a .8aを有する見切り材8 .
8が設けられた中央目地カバー2が枢支部6により支持されてい
る。中央目地カバー2は,その傾斜面8a.8aを有する見切り材
8.8が,端部固定目地カバー7.7の先端部の傾斜面7a.7a
と対向し,左右の建物が目地部方向に狭まれば,前方(前記ハ号図
1頁では下方)に押し出される。
d 中央目地カバー2は,前方(前記ハ号図1頁では下方)突出可能
に枢支部6に支持され,枢支部6と中央コイルバネ9とにより,中
央目地カバー2は,中央維持機構10側に付勢している。
e 床用エキスパンションジョイントである。
(イ) ハ号装置と本件発明4との対比
a 構成要件4−Aと構成3−aとの対比
ハ号装置では,構成要件4−Aのように,リンク機構の4等分部位
に枢支部は存在しない。ハ号装置の枢支部はいわば2等分部位に1つ
枢支部6が設けられているものである。
したがって,構成3−aは,構成要件4−Aを充足しない。
b 構成要件4−Bと構成3−bとの対比
ハ号装置では ,端部固定目地カバー7 .7の先端部には傾斜面7a .
7aが設けられているが,当該傾斜面7a.7aを形成している先端
部は順次後方へ突出するガイド片という構成ではない。すなわち,端
部固定目地カバー7.7の先端部の傾斜面7a.7aは構成要件4−
Bにおけるガイド片(本件明細書4の図2の符号9)とは,その構成
を異にする。
したがって,構成3−bは,構成要件4−Bを充足しない。
c 構成要件4−Cと構成3−cとの対比
ハ号装置における中央目地カバー2と構成要件4−Cにおける中央
目地カバーは同様の構成となっている。
したがって,構成3−cは,構成要件4−Cを充足する。
d 構成要件4−Dと構成3−dとの対比
ハ号装置における枢支部6,中央コイルバネ9,中央目地カバー2
により,構成要件4−Dにおける中央目地カバー支持機構と同様の構
成となっている。
したがって,構成3−dは,構成要件4−Dを充足する。
e 構成要件4−Eとの対比
ハ号装置には ,「中間支持目地カバー 」(本件明細書4の図1の符
号15)は存在しない。
したがって,ハ号装置は,構成要件4−Eを充足しない。
f 構成要件4−Fと構成3−eとの対比
本件発明4もハ号装置も,ともにエキスパンションジョイントであ
るので,構成3−eは,構成要件4−Fを充足する。
(ウ) ハ号装置と本件発明5との対比
a 構成要件5−Aと構成3−aとの対比
構成3−aは,構成要件5−Aと同様の構成となっている。
したがって,構成3−aは,構成要件5−Aを充足する。
b 構成要件5−Bとの対比
ハ号装置では,目地部1の中央を覆う中央目地カバー2がパンタグ
ラフ3の枢支部6により直接支持されており,本件発明5のような支
持アーム(本件明細書5・図2の符号12)は存在しない。
したがって,ハ号装置は,構成要件5−Bを充足しない。
c 構成要件5−Cと構成3−bとの対比
ハ号装置における端部固定目地カバー7.7と構成要件5−Cにお
ける端部目地カバーは同様の構成となっている。
したがって,構成3−bは,構成要件5−Cを充足する。
d 構成要件5−Dとの対比
本件発明5ではカバー類は3種類(中央目地カバー,端部目地カバ
ー,補助目地カバー)で構成されているが,ハ号装置でカバー類は中
央目地カバー2 .2と端部固定目地カバー7 .7の2種類だけであり ,
構成要件5−Dにおける補助目地カバーといえるものは採用していな
い。
したがって,ハ号装置は,構成要件5−Dを充足しない。
e 構成要件5−Eとの対比
ハ号装置では中央の枢支部6のみを採用しているのであり,補助目
地カバー支持体といえるものは採用していない。
したがって,ハ号装置は,構成要件5−Eを充足しない。
f 構成要件5−Fと構成3−eとの対比
本件発明5もハ号装置も,ともにエキスパンションジョイントであ
るので,構成3−eは,構成要件5−Fを充足する。
( 2) 争点2(原告の損害)について
(原告の主張)
被告は,業として,1号装置ないし5号装置又はイ号装置ないしハ号装
置を設置し,本件特許権1ないし5を侵害した。
上記侵害行為の結果である本件工事により被告が受けた利益は,500
万円を下らない。
したがって,上記侵害行為により原告が受けた損害の額も,500万円
を下らないものと推定される(特許法102条2項 )。
または,上記侵害行為がなければ,原告は,原告又は原告の完全子会社
を通じて本件工事を受注していたものであるから,原告は,同侵害行為に
よって,500万円を下らない金額の得べかりし利益を失った(民法70
9条 )。
(被告の主張)
原告の主張を争う。
( 3) 争点3(反訴における訴えの利益の有無)
(被告の主張)
原告は,被告に対し,被告が自治医科大学付属さいたま医療センターに
設置したエキスパンションジョイント装置についても,原告の保有する特
許権を侵害していることを前提に,その損害を訴求していた(東京地方裁
判所平成20年(ワ)第18237号損害賠償請求事件 )。
しかし,審理の結果,被告装置が原告の特許権を侵害しておらず,損害
賠償請求が成り立たないことが明らかになったため,原告は,弁論終結の
直前に上記訴えを取り下げた。これに対し,被告は,非侵害の結論に立っ
た勝訴判決を得るため,上記取下げに対して異議を申し立てたところ,原
告は請求を放棄したため,同訴訟は,侵害の成否を前提とする損害賠償請
求権の存否の確認がされないまま,終了してしまった。
そこで,被告は,本訴訟における原告の訴えの取下げや請求の放棄に備
えて,本訴で原告が請求している特許権侵害による損害賠償請求権の不存
在の確認を求める反訴を提起するものであり,確認の利益を有する。
(原告の主張)
本件反訴請求は,給付請求たる本訴請求と同一の訴訟物につき債務不存
在確認を求めるものであり,訴えの利益を欠く。
第3 争点に対する判断
1 争点1(本件工事における本件特許権侵害の有無)について
( 1) 1号装置ないし5号装置について
被告が本件工事において1号装置ないし5号装置を設置したことを認める
に足る証拠はない。これに対し,原告は,本件工事において被告が1号装置
ないし5号装置を設置したと主張し ,原告代表者の陳述書( 甲12 )中には ,
これに沿う部分があるが,同陳述書の内容を裏付けるに足りる客観的な証拠
は存在せず,これを採用することはできない。
よって,被告が1号装置ないし5号装置を設置した行為は本件特許権1な
いし5を侵害するものであるとの原告の主張は,その余の点について判断す
るまでもなく,理由がない。
( 2) イ号装置ないしハ号装置について
ア 証拠(乙2の1,2,乙3,乙4の1,2,乙5,乙6,乙7の1ない
し6,乙8,乙9,乙10の1ないし10,乙11の1ないし6)及び弁
論の全趣旨によれば,被告が本件工事においてイ号装置ないしハ号装置を
設置したことが認められる。
イ イ号装置について
(ア) 別紙イ号物件目録のイ号図によれば,イ号装置には,本件発明1の
構成要件1−Eの「可動目地プレートに上下移動可能に支持された中央
カバープレート」に相当する構成を備えていると認めることができない
から,イ号装置は,同構成要件を充足しない。
もっとも,証拠(甲11,乙8,乙9,乙10の1ないし10,乙1
1の1ないし6)によれば,イ号装置においては,可動目地プレート4
とカバープレート9の見切り材との間に段差が存在すること,本件工事
においては,イ号装置の可動目地プレートの上に本件カーペットを取り
付けることによって上記段差を解消していることが認められる。
原告は,本件カーペットが本件発明1の構成要件1−Eの「中央カバ
ープレート」に該当し,被告が別紙イ号物件目録のイ号図記載の可動目
地プレート4の上に本件カーペットを取り付けたから,被告による本件
特許権1の侵害が成立する旨主張する。
しかしながら,被告が本件カーペットを取り付けたことを認めるに足
りる証拠はない。かえって,上記各証拠によれば,本件カーペットは,
被告が本件工事においてイ号装置を設置した後に,JVによって取り付
けられたものであることが認められる。
(イ) 原告は,本件カーペットを設置したのが被告でないとしても,被告
がイ号装置を設置した行為は特許法101条1号又は2号の間接侵害行
為に当たると主張する。
しかしながら,証拠(乙8,乙11の1ないし6,乙14)及び弁論
の全趣旨によれば,本件カーペットの両端には,左右のカバープレート
9の見切り材と接する部分に押金物が取り付けられていることが認めら
れるものの,押金物の具体的な形状及び押金物が取り付けられた後の本
件カーペットの構成(本件カーペットとカバープレート9及び可動目地
プレートとの結合関係等 )がいかなるものであるかについては ,証拠上 ,
明らかでなく,本件カーペットが本件発明1の構成要件1−Eの「可動
目地プレートに上下移動可能に支持された中央カバープレート」に該当
すると認めることはできない。
そうである以上,被告がイ号装置を設置する行為が特許法101条1
号及び2号の間接侵害行為に当たるということもできない。
(ウ) 以上のとおりであるから,イ号装置が本件特許権1を侵害するとい
うことはできない。
ウ ロ号装置について
(ア) 本件発明2との関係
別紙ロ号物件目録のロ号図によれば,ロ号装置には,本件発明2の構
成要件2−Bの「分割天井用目地カバー」に相当する構成を備えている
と認めることができないから,ロ号装置は,同構成要件を充足しない。
したがって ,ロ号装置が本件特許権2を侵害するということはできない 。
(イ) 本件発明3との関係
別紙ロ号物件目録のロ号図によれば,ロ号装置には,本件発明3の構
成要件3−Aの「 左右のガイド部材 」 構成要件3− C の「 支持バー 」
, ,
構成要件3−Dの「吊り下げバー」及び構成要件3−Eの「目地天井仕
上材押し上げ部」に相当する構成を備えていると認めることができない
から,ロ号装置は,上記各構成要件を充足しない。したがって,ロ号装
置が本件特許権3を侵害するということはできない。
エ ハ号装置について
(ア) 本件発明4との関係
別紙ハ号物件目録のハ号図によれば,ハ号装置には,本件発明4の構
成要件4−Eの「中間支持目地カバー」に相当する構成を備えていると
認めることができないから,ハ号装置は同構成要件を充足しない。した
がって,ハ号装置が本件特許権4を侵害するということはできない。
(イ) 本件発明5との関係
別紙ハ号物件目録のハ号図によれば,ハ号装置には,本件発明5の構
成要件5−Dの「補助目地カバー」及び構成要件5−Eの「補助目地カ
バー支持体 」に相当する構成を備えていると認めることができないから ,
ハ号装置は,上記各構成要件を充足しない。したがって,ハ号装置が本
件特許権5を侵害するということはできない。
2 争点3(反訴における訴えの利益の有無)について
反訴請求に係る訴えは,被告がイ号装置ないしハ号装置を製造,販売したこ
とについて,原告の被告に対する本件特許権1ないし5に基づく損害賠償請求
権が存在しないことの確認を求めるものである。
しかしながら,前記第2の3( 1)ア(イ)のとおり,本訴において原告は,被
告の設置した装置が1号装置ないし5号装置ではなくイ号装置ないしハ号装置
であったとしても,イ号装置ないしハ号装置を設置する行為は本件特許権1な
いし5を侵害するものであると主張し,被告に対し,損害賠償金の支払を求め
ていることが認められる。
したがって,反訴請求に係る訴えについては,被告に確認の利益を認めるこ
とができず,不適法として却下を免れないというべきである(最高裁第一小法
廷平成16年3月25日判決・民集58巻3号753頁参照 )。被告の主張す
る前記第2の3(3)アの事情は,上記判断を左右するものではない。
3 結論
よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理
由がないからこれを棄却し,被告の反訴請求はいずれも訴えの利益を欠くから
これを却下することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿 部 正 幸
裁判官 山 門 優
裁判官 柵 木 澄 子
別 紙
特 許 目 録
1 特 許 番 号 第3445218号
発明の名称 床用目地装置
出 願 日 平成12年4月7日
登 録 日 平成15年6月27日
特許請求の範囲請求項1
「目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の床面に形成された該目地
部に開口する左右の凹部と、両端部が前記左右の凹部のほぼ中央部に位置す
る、該左右の凹部内をスライド移動する可動目地プレートと、この可動目地
プレートの中央部を前記目地部の中央部に常時位置させる、前記左右の建物
の目地部側の躯体に両端部が取付けられた中央維持機構と、前記左右の凹部
を覆うように前記左右の建物の床面を形成する躯体に取付けられた先端部が
前記可動目地プレートに支持される左右のカバープレートと、この左右のカ
バープレート間の隙間を覆う該左右のカバープレートの上面とほぼ同じ上面
となるように前記可動目地プレートに上下移動可能に支持された中央カバー
プレートと、地震等によって前記目地部が狭くなると前記中央カバープレー
トを前記左右のカバープレートの押し圧によって自動的に上昇させる中央カ
バープレート押し上げ機構とからなることを特徴とする床用目地装置 。」
2 特 許 番 号 第3382567号
発明の名称 天井用目地装置
出 願 日 平成11年9月20日
登 録 日 平成14年12月20日
特許請求の範囲請求項1
「目地部を介して建てられた左右の建物の天井目地部を該天井目地部が狭くな
る揺れ動き時には上方へ押し上げるように支持することができる、少なくと
も2個以上の支持金具に取付けられた天井目地部を覆う天井用目地カバーを
備える天井用目地装置において、前記天井用目地カバーを前後方向に摺動可
能な少なくとも2個以上に分割された分割天井用目地カバーで構成するとと
もに、前記少なくとも2個以上の支持金具を前記分割天井用目地カバーをそ
れぞれ前後方向に摺動可能に支持できるようにしたことを特徴とする天井用
目地装置 。」
3 特 許 番 号 第3611536号
発明の名称 天井用目地装置
出 願 日 平成13年5月18日
登 録 日 平成16年10月29日
特許請求の範囲請求項1
「目地部を介して建てられた左右の建物の天井躯体にそれぞれ吊り下げ具を用
いて取付けられた、左右の天井仕上材の目地部側端部に設けられた下部が目
地部側に突出するような傾斜面の左右のガイド部材と、この左右のガイド部
材間の目地部を覆う目地天井仕上材と、前記左右の建物の目地部側の天井躯
体に固定された左右の支持バー、この左右の支持バーに所定間隔離間され左
右方向にスライド移動可能に支持され、中央部に前記目地天井仕上材を吊り
下げる吊り下げアームを有する少なくとも2個以上の吊り下げバー、および
この少なくとも2個以上の吊り下げバーにそれぞれ形成された前記左右の建
物間の目地部が地震等によって狭くなるように揺れ動いた場合には、前記目
地天井仕上材の両端部が前記左右のガイド部材によって押し圧されることな
く、前記左右の支持バーによって上方へスライド移動される、ほぼ逆台形状
の下部を除く輪郭形状の目地天井仕上材押し上げ部とからなる目地天井仕上
材支持機構とを備えることを特徴とする天井用目地装置 。」
4 特 許 番 号 第3388717号
発明の名称 伸縮パネル装置
出 願 日 平成11年7月9日
登 録 日 平成15年1月17日
特許請求の範囲請求項1
「目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の対向する部位の躯体に、
ヒンジ部材を介して両端部が取付けられた伸縮可能な4等分部位に枢支部を
有するリンク機構を用いた所定間隔で少なくとも2個以上の中央維持機構
と、前記ヒンジ部材の可動部材に後端部が固定された前記目地部のほぼ4分
の1の部分を覆う先端部が順次後方へ突出するガイド片を有する一対の固定
目地カバーと、この一対の固定目地カバー間の隙間を覆う両側部に該一対の
固定目地カバーのガイド片によって前方へ押し出されるガイド部が形成され
た中央目地カバーと、この中央目地カバーを前方へ突出可能に前記中央維持
機構の中央枢支部にそれぞれ枢支するとともに、常時該中央維持機構側に付
勢する中央目地カバー支持機構と、前記中央維持機構の中央枢支部と両端部
との間の中間部枢支部に取付け具を介してそれぞれ取付けられた前記一対の
固定目地カバーと前記中央目地カバーとの間の開放が可能に覆う一対の中間
支持目地カバーとからなることを特徴とする伸縮パネル装置 。」
5 特 許 番 号 第3354119号
発明の名称 目地カバー装置
出 願 日 平成11年9月10日
登 録 日 平成14年9月27日
特許請求の範囲請求項1
「目地部を介して建てられた左右の建物の、該目地部部位の左右の躯体に両端
部がヒンジ部材を介して回動可能に取付けられた、少なくとも2個以上のほ
ぼ中央部に中央枢支部を有する伸縮可能な中央維持リンク機構と、この少な
くとも2個以上の中央維持リンク機構の中央枢支部に支持されている支持ア
ームに固定された前記目地部の両端部寄りの部位を除く部位を覆う中央目地
カバーと、前記ヒンジ部材に後端部が固定され、先端部が前記中央目地カバ
ーの内側端部と重なり合う先端に該中央目地カバーとの嵌合を容易にする傾
斜のガイド片を有する一対の端部目地カバーと、この一対の端部目地カバー
の内側に該一対の端部目地カバーの左右方向の移動によって左右方向にスラ
イド移動可能に設けられた一対の補助目地カバーと、この一対の補助目地カ
バーの内側端部が前記中央目地カバーの端部より外方に突出することなく左
右方向にスライド移動可能に支持する前記支持アームに取付けられた少なく
とも2個以上の補助目地カバー支持体とからなることを特徴とする目地カバ
ー装置 。」
以 上
(注意:別紙物件目録1ないし5及び別紙特許公報は省略)

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