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平成25(ワ)15365発信者情報開示請求事件

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裁判所 東京地方裁判所
裁判年月日 平成25年10月22日
事件種別 民事
当事者 被告GMOインターネット株式会社
原告創価学会甲斐伸明
法令 著作権
キーワード 侵害11回
損害賠償3回
主文 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。訴訟費用は被告の負担とする。
事件の概要 本件は,原告が,氏名不詳者により被告の提供するインターネット接続サー ビスを経由してインターネット上のウェブサイトに掲載された動画(以下「本 件動画」という。)が原告の著作権を侵害していると主張して,被告に対し, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する 法律4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案である。

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判決文

平成25年10月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成25年(ワ)第15365号 発信者情報開示請求事件

口頭弁論終結日 平成25年9月10日

判 決

東京都新宿区<以下略>

原 告 創 価 学 会

同訴訟代理人弁護士 中 條 秀 和

甲 斐 伸 明

東京都渋谷区<以下略>

被 告 GMOインターネット株式会社

同訴訟代理人弁護士 川 崎 友 紀

主 文

被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の

情報を開示せよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

主文同旨

第2 事案の概要

本件は,原告が,氏名不詳者により被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイトに掲載された動画(以下「本件動画」という。)が原告の著作権を侵害していると主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案である。1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

(1) 当事者ア 原告は,宗教法人法に基づいて設立された宗教法人である。イ 被告は,電気通信事業を営む株式会社である。

(2) 本件動画の投稿株式会社ニワンゴは,インターネット上に,不特定の者に送信することを目的とした動画投稿サイト「ニコニコ動画」(以下「本件サイト」という。)を開設し,運営している。本件サイトに,平成24年11月29日,被告の提供するインターネット接続サービスを利用し,被告のサーバを経由して別紙投稿動画目録記載の動画(本件動画。甲10の2に収録された番号「19467958」の動画)が投稿され,不特定多数の者が閲覧することができる状態に置かれた。本件動画は,遅くとも本件訴えの提起時である平成25年6月12日までに削除された。(甲1~4)

(3) 被告による本件動画の発信者に係る情報の保有被告は,被告が別紙投稿動画目録の「投稿日時」欄記載の日時に「投稿時IPアドレス」欄記載のIPアドレスを割り振った者の氏名又は名称,住所及び電子メールアドレスに係る情報を保有している。争点及びこれに関する当事者の主張

(1) 本件動画の本件サイトへの投稿により,原告の著作権が侵害されたことが明らかであるといえるか(原告の主張)別紙著作物目録記載の動画(以下「原告動画」という。甲5の1)は,株式会社シナノ企画(以下「シナノ企画」という。)の従業員であるAがディレクターとして創意工夫を凝らして製作したものであり,その思想・感情が創作的に表現されており,映画の効果に類似する視聴覚的効果を生じる方法で表現され,かつビデオテープ(磁気テープ)に固定された映画の著作物に該当する。原告動画の著作権は職務著作としてシナノ企画に帰属していたところ,シナノ企画は,平成12年3月31日,原告に対し,原告動画のすべての著作権を譲渡した。そして,本件動画は,別紙対応一覧表に記載のとおり,原告動画の映像を複製して利用している。とりわけ,本件動画のうち,別紙対応一覧表の「1」欄及び「4」欄に対応する「本件動画の時間」欄に記載の時間の動画部分(以下,別紙対応一覧表に記載の本件動画の部分のうち,「1」欄に対応する時間の動画の部分を「本件動画の部分1」のようにいう。)は,原告動画における作製者の創意工夫が見て取れる部分を複製したものである。したがって,本件動画は,原告動画に依拠し,作製者が原告動画に施した表現上の本質的な特徴を看取し得る複製物といえる。そして,本件動画の投稿に原告動画の使用を正当化する事由がないのは明らかであり,本件動画の本件サイトへの投稿が,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害していることは明らかである。(被告の主張)不知ないし争う。

(2) 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか(原告の主張)原告は,本件動画を本件サイトに投稿した者に対し,著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求等を行うため,被告に対して発信者情報の開示を求めるものであり,発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。(被告の主張)不知ないし争う。

第3 当裁判所の判断

1 争点(1)(明らかな著作権侵害の有無)について

(1) 原告は,シナノ企画から原告動画の著作権の譲渡を受けているところ,

本件動画は,別紙対応一覧表に記載のとおり,原告動画の映像を複製して利用しており,とりわけ,本件動画のうち,本件動画の部分1及び4については,作製者の創意工夫が見て取れる部分を複製したものであるから,本件動画の本件サイトへの投稿は,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害していることは明らかである旨主張する。

(2) そこで,まず,原告動画の著作物性について検討するに,証拠(甲5の

1及び2,6)及び弁論の全趣旨によれば,①原告動画は,芸能人であり,原告の信者である久本雅美(以下「久本」という。)らの体験談を紹介する内容の久本らに対するインタビューを中心に構成されたものであり,原告動画のうち,別紙対応一覧表の「原告動画」欄の「時間」欄に記載の時間の部分(以下,別紙対応一覧表に記載の原告動画の部分のうち,「1」欄に対応する上記「時間」欄に記載の時間の部分を「原告動画の部分1」のようにいう。)は,「場面の説明」欄に記載のとおりの内容であること,②このうち,原告動画の部分1は,久本を被写体とするインタビューの動画の後に,引き続き同インタビューにおける久本の音声を流し続けたまま,原告の会合において久本外1名が漫才を演じている映像を挿入するものであり,原告動画の部分4は,上記挿入された映像の後に続く,同人を被写体とするインタビューの動画であること,③これら原告動画の部分1及び4のインタビューの動画は,久本が自らの体験を語る様子を,被写体の大きさ,撮影する角度等の構図を選択して撮影し,編集したものであり,さらに原告動画の部分1については,上記インタビューの動画に加え,久本が語っている内容に合わせた映像を選択して挿入し,編集したものであることが認められる。そうすると,原告動画のうち,少なくとも原告動画の部分1及び4は,久本の体験談を視聴者に対して効果的に伝える工夫をした部分であり,著作者の思想又は感情を創作的に表現したものとして映画の著作物に該当し,著作権法の保護の対象になると解するのが相当である。

(3) 次に,原告動画の著作権者についてみるに,証拠(甲5の1及び2,6,

7)及び弁論の全趣旨によれば,原告動画は,平成5年1月10日,シナノ企画の発意に基づき,シナノ企画の従業員であるAがシナノ企画の職務として作成したものであり,シナノ企画の著作の名義の下に公表されたことが認められる。したがって,原告動画の部分1及び4を含む原告動画の著作権は,Aの職務著作として,シナノ企画に帰属していたとみることができる。そして,シナノ企画は,平成12年3月31日,原告に対し,原告動画についてのすべての著作権を譲渡したと認められるから(甲8),原告は原告動画について著作権を有していると認めることができる。

(4) 進んで,本件動画による著作権侵害の有無についてみるに,証拠(甲1

0の2)及び弁論の全趣旨によれば,①本件動画は,原告動画の部分1~7に加えて原告に関連する動画等を複数合成し,これに音楽を付した2分程度の動画であること,②本件動画の部分1は原告動画の部分1と同一の映像及び音声に,本件動画の部分4は原告動画の部分4と同一の映像及び音声に,それぞれ音楽を付し,画面左下,右下又は中央部に他の映像を部分的に合成したものであるが,このような音楽の付加及び映像の合成によって,久本の談話やその表情など原告動画の部分1及び4の主要部分の視聴が妨げられることはないことが認められる。そうすると,本件動画の部分1に接した者は原告動画の部分1の,本件動画の部分4に接した者は原告動画の部分4の表現上の本質的な特徴を直接感得し得るものであるから,本件動画の部分1及び4は,上記のとおり対応する原告動画の部分を有形的に再生し,複製したものと評価することができる。

(5) 以上によれば,本件動画を作成して本件サイトに投稿する行為は,原告

動画のうち少なくとも原告動画の部分1及び4についての複製権及び公衆送信権を侵害するものということができる。そして,本件の関係各証拠上,著作権侵害を否定すべき事情は何らうかがわれないから,本件動画の本件サイトへの投稿により,原告の著作権が侵害されたことは明らかであると判断することが相当である。

2 争点(2)(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について

上記1で判断したところによれば,原告が原告動画の著作権を侵害した者に対して損害賠償請求権を行使するためには,被告が別紙動画投稿目録の「投稿日時」欄記載の日時に「投稿時IPアドレス」欄記載のIPアドレスを割り振った者,すなわち本件動画の発信者その他本件動画の送信に係る者の氏名又は名称,住所及び電子メールアドレスを取得することが必要であると認められるから,原告にはこれら発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるということができる。

第4 結論

よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官 長 谷 川 浩 二裁判官 高 橋 彩裁判官 植 田 裕 紀 久別紙発信者情報目録別紙投稿動画目録記載の動画(以下「本件動画」という。)に関する以下の情報発信者その他本件動画の送信に係る者の氏名又は名称発信者その他本件動画の送信に係る者の住所発信者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字,番号,記号その他の符号)別紙投稿動画目録閲覧用URL 投稿日時 投稿時 IP アドレス 再生時間http://www.nicovideo 2012/11/29 23:55:34 165.100.180.221 2 分 06 秒.jp/watch/sm19467958別紙著作物目録作 品 名 「すばらしきわが人生 part2」再 生 時 間 19分17秒制 作 者 株式会社シナノ企画制作年月日 平成5年1月10日別紙対応一覧表本件動画の時間 原告動画時間 場面の説明

1 5 秒~17 秒 (18 秒からの漫才 11 分 30 秒~11 分 創価学会の会合で漫才をしたこ

の映像は本件ビデオ映像とは別 44 秒 とを語る場面と実際の漫才の様のビデオ映像である。) 子の一場面。

2 25 秒~46 秒の左下のコマ 12 分 50 秒付近の 久本が泣きながら話している。

映像の連続再生

3 57 秒~1 分 18 秒の中央下の 7 分 53 秒付近の映 久本が受話器を持って相手の話

コマ 像の連続再生 に驚いている。

4 1 分 20 秒~1 メイン画面 11 分 48 秒~12 分 久本が創価学会の池田名誉会長

分 41 秒 3秒 から漫才を褒められて,頭がパーンとなったと話している。

5 左下,時折中 11 分 6 秒~11 分 1 座談会で歌を歌っている様子。

央のコマ 0秒

6 1 分 41 秒~2 メイン画面 12 分 3 秒付近の映 久本が,頭がパーンとなったと

分5秒 像の連続再生 話している。

7 左下のコマ 久本が泣きながら話している。

12 分 50 秒付近の

映像の連続再生

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