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11月17日
11月1日(火)配信
みなさま、ご無沙汰しております。法人ドメインのマネジメントとコンサルティングを提供しているCom Laude株式会社(コムラウデ)の村上でございます。コロナ禍により中断していましたが、法人ドメインのマネジメントに関するIP Forceへの寄稿記事を再開させて頂くことになりました。改めてのスタートとなりますが、少しでもみなさまのお役に立てるような情報を発信していこうと思います。
みなさまご存知の通りIP Forceは知財のポータルサイトであり、したがって知的財産に係る情報が発信されています。
「ん?ドメインって知財だっけ?」
と思ったあなた、悩まないで下さい。おそらくこの記事をここまで読んだ方は、みなさんそう思っているでしょう!
あくまで解釈の話になってしまいますが、ドメインネームは法人の重要な資産であり、知的財産であると私は考えており、私の経験と知見をもとに、知的財産という切り口から「法人ドメインとはなんぞや!」という事をこの寄稿記事でお伝え出来ればと思います。(ときにインターネットセキュリティーの話題等出るかも知れませんが、法人ドメインマネジメントの一環として読んで頂きければ幸いです)。
それでは久々の投稿ですが、まずは「法人ドメインポートフォリオ」についてお話をさせて下さい。
ドメインネームが広く世の中に出てきてから25年、ですが、ドメインネームに関する基本的な作業は、過去25年でほとんど変わっていません。
ドメインネーム分配の大元である「レジストリ(.COMであれば米国Verisign社)」のデータベースにドメインネームを登録し、サーバー上で技術的設定(ゾーンファイル設定)、費用支払、必要に応じたウェブサイトや電子メールの使用設定等をします。
もちろん、ドメイン登録や管理作業の技術や制度は進化し、登録申請方法の変化、ドメインロックや認証コードによるセキュリティ対策の強化、そして紛争解決処理方針(UDRP)の制度化等が実現しました。
しかし、多くのドメイン登録サービス業者である「レジストラ」は、20年前と変わらぬ方法で、ドメインネーム登録者にアナログでの管理を提供しています。私自身も20年程法人ドメインマネジメントに従事していますが、法人を専門とするICANN認定レジストラとして、ドメインネームを知的財産とITの中核にあるものとして扱ってきました。
現代において、企業のドメインネームを安心して維持管理するためには、実用的かつ技術的に優れたポートフォリオ管理が重要であり、ドメインマネジメントを通じて、法人としての戦略面と成長促進の最適化が実現されると私は考えています。
■効果的なドメインポートフォリオ管理の10原則
企業の規模に関わらず、ドメインマネジメントの改善点の特定と、最善のプランを練る事は重要です。ですが、法人ドメインマネジメントに関する本などは無く、「どのように実践すべきか分からない」という声を聞きます。まずは、法人ドメインマネジメントの基本となる10原則をご紹介します。
1.Understanding
ドメインポートフォリオの管理者は、ドメインネームと関連する事業、使用意図、トラフィックの把握、ポートフォリオの成長率や最適化を理解すべきです。
2.Security
ドメインネームに関連するリスクの発見、対応、軽減が重要です。
3.Rightsizing
ビジネスのゴールは、ドメインポートフォリオの構成に反映されるべきであり、戦略に基づいた定期的な見直しが重要です。
4.Benchmarking
事業やブランドで必要とするドメインネームの登録数や傾向を検証し、他社と比較するべきです。
5.Cost
管理業者の手数料、レジストリの費用、名義貸し等の費用、第三者からの購入、不測の事態のリカバリー等、ドメインネームの登録から削除までの「ライフタイムコスト」を理解すべきです。
6.ROI
全てのドメインネームは、トラフィック、各種機能のサポート、ブランドの信用を保つ等「管理」をする事で利益を生んでいます。
7.Champion
戦略構築、規定、ポリシーの監視を行う権限者によりドメイン管理の方向性が示されるべきです。
8.Training
ドメイン管理に関わる全ての人は、ドメイン管理のプロセス、重要なドメインのトレンドやイベントについて最新の情報を把握するべきです。
9.Compliance
ドメインネーム登録情報の正確性、コンプライアンスの順守、自社の知的財産ポリシーの順守に関する定期的なチェックが必要です。
10.Registrar
法人ドメインの管理は、法人向けサービスに特化したドメインエキスパートで構成され、イノベーティブで貴社のニーズを理解する、信頼できるパートナーに委ねるべきです。
いかかでしたか。この10原則をみなさんのドメインマネジメントに反映し、現在どのような状態であるかチェックするとよいでしょう。
さて、法人ドメインマネジメントの10原則は、自社で登録をしたドメインネームの管理を指南するものですが、他方、自社の商標を含むドメインネームが、第三者に侵害されていないか確認と対応をする事も重要です。この観点から、次回は「同じコインの裏表:効果的なドメインマネジメント」についてお話いたします。
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