知財との接点・弁理士になった経緯

辻野彩子(つじのあやこ) 2010年弁理士登録(登録番号16609) 明坂特許事務所パートナー 日本弁理士会広報センター委員, 日本弁理士会商標委員会委員, 日本弁理士会関東支部広報委員会委員

成田辻野さん、よろしくお願いします。

辻野よろしくお願いします。

成田辻野さんとは弁理士会の広報センターのメンバーとしてご一緒させて頂いているのですが、最初にお会いしたとき、20歳代と若くて女性で文系出身で、珍しい方だなと思いました。 というのは、私の知り合いの弁理士には、やはり理系のエンジニア出身の方が多かったので。 この業界に入った経緯はどのようなものだったのですか？

辻野 知財の業界に入ったのは弁理士試験に合格してからです。 合格後の祝賀会で特許事務所の所長にお会いして、採用されて、それが最初でした。

成田 商標が専門ですよね。商標の弁理士を募集していたということでしょうか。

辻野 はい。

成田 そもそも弁理士になろうとしたキッカケは何だったのですか？ 弁理士になったのは大学を卒業してからそれほど経っていないですよね。そこも謎でして。

辻野 そこ、ほんとに大した動機ではなくて、、他の人に胸を張って話せるような話ではないのですが、、いいですか？

成田 もちろんです。仕事のキッカケって、就職した会社がたまたまその仕事をやっていたとか、 配属された部署がたまたまそうだったとか、そういうのが多いと思うのですよ。 そういう等身大のリアルな話がいいのです。

辻野 そうですか。ええと、大学のときは、普通に就職活動をしていました。企業に就職も決まりました。 ここまでは普通でした。 それから、就職先が決まった後に、たまたま税務署でアルバイトをしたのですよ。 そうしたら、税の仕事がけっこう面白くて。それで、公務員になって税の仕事がしたいなと思ったのです。

成田 税ですか。知財の匂いがまるでしない話ですね。

辻野 そうですね(笑)。大学を卒業して、内定していた会社に就職したのですが、やっぱり公務員になりたくて、３ヶ月で退職しました。

成田 ３ヶ月…早いですね。

辻野 その会社にはちょっと申し訳なかったです(苦笑)。 で、その年の公務員試験は間に合わなかったので、税務署の契約スタッフになって税務署で働きながら、 翌年の公務員試験を受けました。ところが、筆記試験は合格したのですが、面接試験で落ちてしまったのです。

成田 なんと…

辻野 で、これはもう、この失敗をプラスに変えないと心情的に済まされないと感じました。 なんというか、「落ちてよかったな」と思えるようにしたかったのです。 それで、公務員ではなくて、資格を取ろうと思いました。

成田 …たしかに、大した動機ではないですね(笑)。 「資格迷走するだけだから、やめとけ」と止めたくなるパターンかもしれません(笑)。

辻野 そうなんですよ(笑)。 で、資格予備校に行って色々と資格をしらべたら、「弁理士８ヶ月合格」というプランがあって。 「へぇ～８ヶ月ならいいかな」って。

成田 …動機はともかく、それで始めてしまう行動力はすごいですね(笑)。 今は商標を専門にされていますけど、弁理士試験を受けようと思った当初から、 商標でやっていこうと考えていたのですか？

辻野 そこまで深くは考えていませんでした。 理系の人が多い資格だということは知っていましたが、 商標や意匠もあるし、なんとかなるかなあくらいに考えていました。 予備校の事務の人には「難しいかもよ」と言われていましたが。

成田 受験生時代は仕事はしていたのですか？

辻野 はい。税務署で引き続き契約スタッフとして働きながら、受験勉強していました。