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12月1日
4月17日(水)配信
【事件概要】
本件は、拒絶査定不服審判請求において、「本件審判の請求は、成り立たない」とした審決が維持された事例である。
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【争点】
本願発明の、処方箋の投与日数に患者保有分の項目を設ける点、及び、患者保有の医薬品を含めた医薬品の投与日数を算定する際の算定ルールを示した点が「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるといえるか否かである。
【結論】
本願発明のうち、「処方箋」の記載事項は、医師法施行規則21条で規定されているから、「分量、用法、用量」の記載は法令に基づく規定、すなわち人為的な取決めと解され、したがって、「分量、用法、用量」として記載される「投与日数」も人為的な取決めであり、本願発明において、処方箋に「投与日数」として「患者保有分」の項目を設けることもまた、処方箋に医師が記載する事項を定めた人為的な取決めにすぎず、自然法則を利用したものであるとはいえない。また、本願発明は、患者が保有している医薬品に相当する分を除いた投与期間を算定する方法として、パターン1及びパターン2に分け、さらにパターン1についてイ、ロa・b・c、パターン2についてイa・b・c、ロa・b・cにそれぞれ分けて、算定方法を具体化しているが、いずれの算定方法も、医師が患者に対して医薬品を処方し、投与する際の投与期間の算定の方法を定めた人為的取決めであって、自然法則を利用したものであるとはいえない。
以上によれば、本願発明は、全体として人為的な取決めであって、自然法則を利用したものとはいえないから、特許法2条1項にいう「発明」には該当しない。
【コメント】
原告は、本願発明は、電子処方箋の時代を想定して、本願発明の算定方法をPC用プログラムにして医師のパソコンに取り込んで医薬品及び受診予約日を入力すれば自動で処方箋が完成するから自然法則を利用したものであると主張したが、判決は、本願明細書等には「処方箋」が「電子処方箋」であることについての記載も示唆も一切ないし、「PC用プログラム」に関する記載も示唆も一切ないから、「電子処方箋」及び「PC用プログラム」に関する原告の主張は本願発明と関係がないというべきであるとして、原告の主張を採用しなかった。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 阿部 寛)
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