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1月12日
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6月3日(月)配信
先週(5月27日〜6月2日)は、iPS細胞関連の特許を巡り、元研究開発者が特許を所有する企業に対し、自身が代表を務めるスタートアップ企業による特許使用を認めるよう求めていた件で和解が成立し、国への「裁定」請求を取り下げたニュースなどが報じられた。
iPS細胞から網膜細胞をつくる技術の特許を巡り、元理化学研究所プロジェクトリーダーの高橋政代氏が代表を務める眼科領域のスタートアップ、ビジョンケアなどが、特許を持つ理研とヘリオスに対して特許の利用を認めるよう求めていた件で、両者が和解した。ビジョンケアなどの関係する各社が5月30日に発表した。高橋氏はビジョンケアも同特許を使用できるよう、2021年7月に経済産業大臣に「裁定」を請求していたが、同日、請求を取り下げた。
和解により、ビジョンケアは自由診療を対象に、iPS細胞を使った治療を30例まで行えるようになるという。同技術を用いた治療法を共同で開発しているヘリオスと住友ファーマは特許権を行使しない。実施例数が上限に達した場合、ビジョンケアは実施例の増加を申し入れることも可能だ。
高橋氏は、理研在籍時の2014年にiPS細胞を用いた網膜細胞移植に世界で初めて成功した。今回、和解の対象となった特許は、網膜色素上皮(RPE)細胞の製造方法に関するもので、高橋氏が理研在籍時に発明に携わった技術だ。
高橋氏は2021年、国に裁定を求めたことを明らかにした際、特許を保有する企業による治験が進んでいなかった状況下で、自身の会社が特許を使用できるようヘリオスに協議を求めたが応じてもらえなかったため、「公共の利益のために裁定を請求するに至った」とSNS上で説明した。請求は特許法に基づくもので、「公共の利益のための通常実施権」を求めた。
「裁定」は、公共の利益のために特に必要と認められる時は、特許権者などの同意がなくとも国が第三者に特許の利用を認めることができる制度。
【参照ソース・ニュース】
政府は5月28日、インターネット上の海賊版対策について総合的な取り組み内容を更新した。海賊版コンテンツへのアクセス抑止、海外当局や民間事業者との連携による対策・取り締まり、広告やコンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)といった海賊版サイト運営者に悪用されやすい「負のエコシステム」に対する対策の3本柱をもとに再構成した。
民間企業との連携を強化するため、官民会議の設置なども新たに盛り込んだ。
海賊版対策の担当省庁には、内閣府、警察庁、総務省、法務省、外務省、文部科学省、経済産業省が名を連ねている。
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