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3月9日
3月10日(月)配信
先週(3月3日〜3月9日)は、動画配信サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴの特許を巡り、同業の米FC2が海外サーバーを経由して提供した同様のサービスが日本での特許侵害にあたるかが争われた裁判の上告審判決があり、最高裁が特許侵害を認め、上告を棄却したことがニュースで報じられた。
動画配信サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが、再生中の動画にコメントを表示する機能の自社特許を侵害されたとして同業の米FC2などを相手に同機能の配信差し止めと損害賠償を求めて起こした2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は3月3日、FC2の特許侵害を認め、上告を棄却した。FC2に同サービスの差し止めと賠償を命じた二審・知財高裁判決が確定した。
上告審でも争点となったのは、FC2が国外のサーバを利用して日本国内のユーザー端末に提供しているコメント付き動画配信サービスのシステムが、日本で登録されたドワンゴの特許を侵害していると認めるか否か。2023年5月の二審判決では、「属地主義の原則」に従って侵害を認めなかった2022年の一審・東京地裁判決を変更し、特許侵害を認めていた。
上告審判決で第2小法廷は、「インターネットを通じて国境を越える情報のやりとりが極めて容易になった現代において、サーバーと端末を含むシステムに関して、サーバーが海外にあるからといって日本の特許の効力が及ばないとするならば、発明の保護、奨励を通じて産業の発達に寄与するという特許法の目的にそわない」とし、「システムを構築する行為と構築されたもの全体としてみて、当該行為が実質的に国内で行われたと評価できるなら、日本の特許権の効力が及ぶ」との判断を示した。さらに、FC2の行為がドワンゴに「経済的な影響」を及ぼし得ることからも、特許侵害だと認定した二審判決は正当だったとした。
判決を受け、ドワンゴは3日付でリリースを発表。「日本の特許権の効力に関して一つの指針が示されたことは、大変意義深いこと」だとの見解を示した。さらに、国内で特許法改正に向けた議論が進む中、「本判決の判断は重要な先例として位置付けられる」とした上で、「IT企業として、不明確であったネットワーク関連発明の国境をまたいだ実施に対する特許権の適用範囲について法解釈の明確化の一助を担えたことを喜ばしく感じてる」とした。
【参照ソース・ニュース】
自身が描いた漫画の画像データを台湾の接続サービス経由で日本語のインターネットサイトに無断投稿されて著作権を侵害されたとして、イラストレーターの女性が当該の台湾企業に発信者情報の開示を求めた裁判で、知財高裁が、「プロバイダ責任制限法により、日本の裁判所に国際裁判管轄がある」として、海外企業でも開示命令の対象になりうるとの判断を示したことがわかった。
2024年10月4日に下された決定で、知財高裁は、海外企業によるものであることなどを理由に申し立てを却下した一審・東京地裁判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。他紙の報道によると、地裁はことし1月の決定で台湾企業に開示を命じたという。
知財高裁は判断に当たり、情報が国際化している現状を踏まえ、「インターネット上の国境を越えた著作権侵害に対する司法的救済に支障が生じないよう適切な対応が求められている」とした上で、当該サービスが「日本におけるもの」か否かについて実情に即した柔軟な解釈が必要だと指摘。実情に基づいて具体的検討を進めていくと、被告企業が日本で事業展開しており、日本で行っている事業に関する訴えであると認められることから、日本の裁判所による開示命令の対象になり得るとの判断を示した。
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文化庁は3月7日、脚本家や翻訳家などに支払われる著作権使用料について、総額で約2億5400万円が支払われていなかったとして、日本脚本家連名に対し著作権管理事業法に基づく業務改善命令を出したと発表した。同庁は未払い使用料を早期に解消して関係者に情報提供すること、再発防止に向けた管理の在り方を見直すことなどを求めた。
日本脚本家連名は日本最大の脚本家団体として著作権管理も手がけており、管理著作物の使用許諾、使用料の徴収や分配を行っている。
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財務省は3月7日、知的財産権の侵害を理由に2024年に全国の税関で輸入が差し止められた偽ブランド品などの件数が、前年から4.3%増加して3万3019件となり、過去最多を更新したと発表した。差し止めた点数は22.8%増の129万7113点だった。差し止めた侵害物品が正規品であった場合の推計価額とされる「輸入差止価額」は約282億円だった。
引き続き、差し止めの件数・点数ともに中国からのものが最多(件数は全体の80.6%、前年比5.3%増/点数は71.8%、1.0%増)となった。
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