シリーズ「特許庁に突撃!」~第3回 「知財普及の取り組み」について、聞いてみた 前編 ~

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最近……、活発ですよね?
 特許庁の広報活動・知財普及活動。
中の人に聞いてきました!

第3回 「知財普及」の取り組み
について、聞いてみた
~ 前編 ~

特許庁 総務部 普及支援課 インタビュー

充実の補助金ラインナップ

成田ところで、私のイメージでは、海外で特許を取得するのはけっこう敷居が高いのではと思っていて、中小の範疇を超えるような規模の企業でなければ難しいのではないかと想像してしまうのですが、実際はどうなのでしょう。

高田さん中小企業だからといって特許の外国出願をしている企業が少ないかというと、そんなことはありません。

インタビューに協力してくれた総務部 普及支援課 支援企画班の高田万柚香さん

インタビューに協力してくれた総務部 普及支援課 支援企画班の高田万柚香さん

成田なるほど。ユーザーによる補助金への評価はいかがでしょう。

高田さん補助金をご活用いただいた企業からは、外国出願をすること自体が対外的なPRになったり、権利化により模倣品に対する抑止力になった、といった声をいただきました。権利をしっかり持っていないと、逆に海外から訴えられる場合もあるので、対策として有効だったという話も聞きます。

鈴木さん補助金は、出願費用のほかにも、先ほど少し出ましたが、冒認商標の無効・取消係争支援や模倣品の調査、海外知財訴訟費用保険などを取りそろえており、充実したラインナップになっています。

高田さん冒認商標無効・取消係争支援事業では、2018年度には20件以上の支援をすることができました。

成田外国出願補助金による支援は年間800件以上にのぼるというお話でしたが、こうした海外展開支援策は、意外に多くの企業によって活用されているのですね。

高田さんもちろん、よくご活用いただいている企業もありますが、ご新規の企業がけっこう多い印象です。たくさんの方に知ってもらって、使ってもらっているのだと感じています。

赤穂さん一回ご活用いただくと、この支援策のよさがわかるのだと思います。より様々な企業の方にご活用いただけるよう、特許庁としてはパンフレットなども充実させ、宣伝に力を入れています。

高田さんまだこの支援策をご存じないと思われる企業には、産業財産権専門官が訪問して周知を図っています。

成田私も自分が会社を設立した際に、何か使えるものがないかといろいろな補助金を調べたのですが、一般的に、補助金の申請では多くの要件をクリアする必要があり、提出書類の準備もけっこう大変です。最初の敷居が高いなという印象があります。

高田さん確かに、いざ利用しようとすると、ある程度のエネルギーは必要かもしれませんね。

成田補助金の窓口は、特許庁がとりまとめてやっているのでしょうか。それとも、地方の経産局などで案内しているのでしょうか。

高田さん外国出願の補助金は、各都道府県の中小企業支援センターなどが各地域の窓口となっているほか、ジェトロが全国の窓口になっています。冒認商標無効・取消係争支援事業などの侵害対策も、ジェトロが窓口になっています。

これらの窓口に問い合わせていただければ、それぞれの企業の案件に寄り添って申請書の書き方なども丁寧に説明していただけるので、中小企業の皆様には積極的にご活用いただきたいと思います。

成田中小企業は業態も、知財に求めるものもそれぞれで大きく異なるでしょうし、細かなニーズや困りごとを抱えていそうなので、申請の際に相談できる窓口があると非常に心強いでしょうね。

高田さん私自身も担当として補助金を扱うだけでなく、中小企業のニーズを踏まえた上で、そうした企業の要望に寄り添いながら業務を進めていきたいなと思っています。

特許庁が手がける、主な海外展開支援策・補助金

「海外展開」最近の話題

成田先ほど、日本の中小企業が海外で第三者に悪意で商標をとられてしまう話がありましたが、特に中国などでそうした事例があると報じられていますね。近年、経済産業省の施策などもあり、越境ECに参入する企業も増えているようですが、商標での利用が増えていることの背景には、そうした事情もあるように思うのですが、どうでしょうか。

鈴木さん私は産業財産権専門官として企業を回っているのですが、やはり越境ECで中小企業の製品も海外にどんどん出ていっており、そうした企業がどの国で商標登録したらいいのか分からずに頭を悩ませているという話をよく耳にします。

自分たちで直接取引していない状況下で自社製品が海外に流れていっているため、流通先の国を把握できず、知財に関してどう対応したらいいのかわからない、と。

成田なるほど。対処策はないのでしょうか。

鈴木さんたとえば、商品を卸す国を決めてしまい、特定の商社と契約してそれ以外では商品を卸さないといった対策はあります。そのように流通をコントロールすることが解決につながる場合もあります。

成田日本の製品の良さが世界的に認められている中で、企業も自社製品のブランドを守っていく傾向がどんどん強まっているのかなと想像していたのですが、実際のところは、まだ、そうでもないのでしょうか。

高田さん商標を含め知財に関する意識が高まってきている中小企業も増えてきていると感じますが、やはりすべての中小企業がそうだとは言えません。

成田まだまだ注意喚起の取り組みが必要ということですね。

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