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1月26日
5月27日(月)配信
先週(5月20日〜26日)は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学特別教授の本庶佑氏の研究をもとに開発されたがん免疫治療薬「オプジーボ」をめぐり、大きく2つの動きがあった。米連邦地裁が本庶氏のほかにも2人の研究者を共同発明者として認定するとの判決を下したことが報じられた。さらに、オプジーボの特許契約で取り決めた特許料が著しく低いとして引き上げを求めていた本庶氏に対し、小野薬品側が、対価の上乗せではなく京都大学への寄付を提案していることを明らかにした。
海外では、米地方裁判所が、半導体市場でクアルコムが独占禁止法に違反したとの判断を示した。
ファーウェイをめぐっては、米政府による事実上の米製品輸出禁止措置を受け、同社と取引を停止する企業の動きなどが報じられた。
米連邦地裁は現地時間17日、本庶氏の研究をもとに開発されたがん免疫治療薬の特許について、米研究所の研究者2人を共同発明者として認定する判決を出した。これらの治療薬の特許は本庶氏と小野薬品が持っている。複数メディアは23日付で、小野薬品側が控訴する方向で検討していることを報じた。一方の本庶氏側については、共同通信などが同日付で、本庶氏の弁護士による「内容を精査しており、対応については今後検討していく」とのコメントを伝えた。
今回の判決で発明者と認められたのは、米ダナ・ファーバーがん研究所のゴードン・フリーマン博士とクリーブ・ウッド氏。同研究所は2015年、本庶氏と小野薬品が保持する6件の特許について、フリーマン氏らも共同発明者に加えることを求めて、ボストンにある連邦地裁に訴えを起こしていた。
オプジーボをめぐっては、本庶氏が小野薬品と結んだ特許契約で特許料が大幅に低く抑えられているとして、特許料の引き上げを求める会見を4月に行っていたが、小野薬品は22日、この件についてコメントを発表。「対価の上乗せという枠組みではなく将来の基礎研究の促進や若手研究者の育成に資するという趣旨から京都大学への寄付を検討している旨、申し入れている」とした。提案金額は明らかにしていない。
23日付朝日新聞によると、本庶氏側も22日に弁護士を通じてコメントを出した。「(それまで要望していた対価の上乗せと比べて)寄付の提案金額は明らかに引き下げの提案のため、大学も応諾していない」などとしており、小野薬品側が対価の引き上げに応じない場合、「訴訟提起を検討している」として報じられた。
米連邦取引委員会(FTC)がクアルコムを提訴した裁判で、米カリフォルニア州の地裁は現地時間21日、同社がスマートフォン向け半導体市場で独禁法に違反したとの判断を示した。
22日付ロイター通信によると、地裁判事は同社が過剰なライセンス料を課していたとしたほか、同社のライセンス慣行が数年間にわたって半導体市場の一角で競争を抑制し、競合他社、スマホ市場、消費者に悪影響を及ぼしたとの判断を下した。その上で、同社に対して、(顧客企業などへの)供給凍結をほのめかすことなく、手頃な価格でのライセンス契約を再交渉するよう命じたほか、今後7年間ライセンス慣行の監視命令を下したという。
クアルコムは同日、判決に強く反対するとして、控訴する考えを示した。
米政権が、ファーウェイによる米国製品調達を事実上禁止する措置を導入したことを受け、事実上の輸出禁止措置を発動したファーウェイをめぐり、同社との取引を停止する企業の動きが相次いで報じられた。ロイター通信が米国時間20日、グーグルの親会社であるアルファベットが、オープンソースライセンスでカバーされる部分を除き、ファーウェイへのハード、ソフト、技術的サービスの提供を停止すると伝えたのを手始めに、インテル、クアルコム、ザイリンクスなどの米半導体メーカーや、ソフトバンク傘下のアーム、パナソニックなどを含む各社が米政府の措置に従い、ファーウェイとの取引停止を決定、検討しているなどと報じられた。
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