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インタビュアー:知財ポータルサイト IP Force 成田浩司
成田デザイン経営プロジェクトに関するアウトプットとしては、取り組みの成果を報告するレポートが4月に発表されていますが、ほかに何か取り組んでいるものなどはあるのでしょうか。
外山さん現在は、デザイン経営を導入した企業の事例集をつくっています。デザイン経営として実際にどんな取り組みをしているのか、そうした取り組みをどのように導入していったのかという事例を集めています。
このほかに、海外への発信の重要性に鑑みて、デザイン経営に関して発表したものを翻訳する作業も現在、進めています。
成田そうなのですね。海外への発信は、確かに重要だと思います。
ところで、そうしたペーパーとしてのアウトプットのほかに、たとえばデザイン経営で特許庁が取り組んだことをパッケージ化し、ほかの企業などにサービスとして提供していくような試みはできないでしょうか?
外山さん特許庁がそうしたサービスを行うようなことはあまり考えていません。事業者に入ってもらい、指導を受けながら行った取り組みですし、そうした事業者が、事業として民間企業に対して提供していけるのではないかと思います。
成田確かに、プロジェクトに関わったコンサルタントなどはパッケージ化したサービスを提供できますよね。ただ、特許庁がこれだけの熱量をもって行った取り組みで、実体験した人たちがその温度感を持った状態にあるので、今のうちにもっと世の中に出していけるような仕組みや制度ができるといいなと思いました。
たとえば、特許庁がIPAS事業(知財とビジネスの専門家からなる知財メンタリングチームが、ベンチャー企業と「経営×知財」戦略を共創)で行ったように、デザイン経営のメンタリングを希望する企業に対して、ウェブサイトのどこかをクリックしたら簡単にできますよ、というサービができたらおもしろいのではないでしょうか。「これは確かにいいな、うちもやってみたいな」という経営者がいても、その温度が一番高まった状態のときに具体的にどこに話をもっていったらいいかがわからないためにタイムアウトしてしまう、というのが非常にもったいないように思います。
今村さんそうですね。実務的なコンサルティングは難しくても、特許庁にはデザイン経営の成果物がたくさんあるので、IPASで行ったように専用サイトを立ち上げ、デザイン経営に特化した説明や成果物を出していき、たとえば特許庁の実体験やプロジェクトについては、レクチャーやセミナーを行うといった取り組みは可能かもしれません。関心のある企業や組織は申込みをポチッとするだけで参加できるという。それは、いいアイディアかもしれません。
外山さんメンターなどをそろえて派遣する、という支援も可能かもしれませんね
インタビューに協力してくれた、特許庁の今村亘(いまむら わたる)デザイン経営プロジェクトチーム長。デザイン経営プロジェクトでは、今後も必要に応じてチームの立ち上げや担当課への引継ぎ・解散を行っていく。
成田チーム編成などは、世の中の変遷とともに変わっていくのでしょうか。
今村さんそうですね。今後も必要に応じて新しくチームを作ることはもちろんありますし、ここから先は担当課でできると判断すれば、担当課に実装させた上でチームは解散という流れになります。新陳代謝は重要だと思いますので。
ですから、例えばスタートアップチームなどは、方向性が見え、新しい施策もスタートしたため、いったん解散し担当課に引き継ぎます。一方で、2025年に開催される大阪・関西万博で知財システムの将来像を何か発信できないかを検討するための「万博チーム」を新たに立ち上げました。新しいチームですので、合宿もやりますよ。(笑)
成田新チームでも、やはり合宿を行うのですね。ひとつ屋根の下で同じ釜の飯を食うという試みは、チームビルディングにも最適だと聞きます。プロジェクトチームで絆が生まれ、アイデアが煮詰まっていく現場を一度、IP Forceでも取材させていただけたらと思います。
今村さん、外山さん、今日はどうもありがとうございました。
今村さん 外山さんありがとうございました。