シリーズ「特許庁に突撃!!」~第1回 広報の人に聞いてみた 前編~

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最近……、活発ですよね?
 特許庁の広報活動・知財普及活動。
中の人に聞いてきました!

第1回 広報の人に聞いてみた ~前編~

特許庁 総務部 総務課 広報室 インタビュー

組織内で協力関係を作ることの重要性

成田弁理士会で広報をやった経験上、その悩ましい気持ちはよくわかります。みんな「本業はこれだ」と思っているものがある中で、余力で広報に付き合うというスタンスになりがちだから、どうしても後回しにされてしまいます。そうした構図は、企業の知財部とその他の部署との関係にも当てはまるかもしれません。開発部門にとっては研究開発が本業で、知財を出願していくのは隙間時間で、という位置づけになりがちという話はよく聞きます。大学の研究者もそうですし。

そうした状況でもいかにして協力関係をつくっていくかが重要なのでしょうが、そこに頭を悩ませているのは特許庁も一緒なのだなと思いました。

佐藤さんなかなか難しいものですが、私たち一人一人が各課の担当者ともう少し蜜にコミュニケーションを取ろうと、試行錯誤しています。企業で言えば、発明者に各担当者がついて発明を抽出するような形で、どんどんコミュニケーションをとっていけたらいいなと考えています。

インタビューに協力してくれた総務課 広報室 課長補佐 佐藤 玲奈(さとう れいな)さん。
2005年入庁。特許審査官として化学分野を担当。高分子、プラスチック成形体、有機化学分野などの審査に従事。情報システムにおける国際調整、新興国への研修の指導教官なども担当。2018年10月に広報室配属。

成田特許庁内の各課はそれぞれの施策を実施する中で、対象のユーザーと接点を持ちながら活動をしていると思いますが、広報室ではそうした対外的な接点のある活動を基本的に把握しているものなのでしょうか。

清水さん全体の広報活動を考える際には、全体を把握しておくことが理想ですが、現状では、そこまでには至っていません。少しずつ「(全体を把握しようとする広報室の考えや姿勢が)染み出していっている」という状況です。プレスリリースやウェブサイトという接点でコーディネート機能を少しずつ発揮できるようになってきていますが、まだ各課の事業そのものには浸透しきれていません。

成田目指す方向として、全体の広報活動を把握し、その上で全体として足並みや方向性をそろえていきたい考えもあるのでしょうか。

清水さんそうできたらと思っています。まずは、「広報室に相談するといいことがあるぞ」と思ってもらえないと、相談もしてもらえないので、庁内に対してユーザーフレンドリーにしていこうと考えています。そのような思いが伝わってきたのか、「もしかして、広報室に相談したほうがいいものですか?」という問い合わせがだいぶ増えてきたように感じます。

特許庁広報の課題

成田現在、特許庁の広報として課題として認識しているものや、「今後こうしていきたい」というものがあればお聞かせください。

清水さん効果を検証する仕組みをつくる必要があると考えています。これまで、発信をどう改善していくかを考えてきたのですが、それが実際にユーザーにどう評価されているのか、届けた後で効果を生んでいるのかを検証していく必要があります。アクセス分析なども含めて、そのためのツールが不足しており、システムとしてもまだ構築できていません。様々な手段を使った広報活動について、どんな効果が得られ、さらにどう改善できるのか、PDCAサイクルを作って回していかなければと考えています。

佐藤さん各ターゲットに対して、中でも初心者にどう情報を提供していけばいいかというところはまだまだなので、今年度も引き続き検討していきたいと思っています。

小泉さんそもそも知財というテーマ自体がとっつきにくく、「あまり関係ない」という意識を持たれやすいものだと思います。そんな中で、いかに受け手目線に立って情報を発信していけるかが、今、一番の課題です。そこを乗り越えなければ、どんなにホームページをきれいにしても特許庁から情報を得ようとする人は出てこない、というくらいの認識で取り組んでいきたいです。

特許庁広報の今後

成田ウェブサイトのリニューアルや各課への働きかけを通じて、「広報活動はこうあるべき」と思っていたものがだいぶ実現できてきたという感触はおありでしょうか。もしくは、方向性は合っているが「まだまだこれから」なのでしょうか。それとも、目指していた方向性が違っていると感じて揺らぐ心境にあったりするのでしょうか。その辺りの感想について教えてください。

清水さんやればやるほど確信が得られるという実感があります。ユーザー目線を意識し、誰に向けた情報なのかをしっかり考えるという点は、ウェブサイトでも広報誌でも揺らがなくなってきています。新しく作るコンテンツにはその視点が必ず入っているので、全体としてはいい方向に進んでいるのではないでしょうか。

ただ、従来のコンテンツと整合性がとれなかったり、メンテナンスがうまくいなかったりという、新たな課題をどう解決するかについても考えていかなければなりません。

佐藤さん感覚的にはまだまだ道半ばで、改善できる余地がたくさんあると思っています。すぐにできることはすぐに取り組んでいるのですが、長期的に取り組む必要のあるものもあります。いろいろな人の話を聞いたり、相談にのってもらったりしながら、広報室としての知識やスキルを増やしていきたいと考えています。

小泉さんもっとユーザーに届くようにしたい、広報ってこうあるべきだ、という目標はぶれないのですが、そこにたどり着くためにはどうしたら良いか、というところは、考えれば考えるほど難しくなっていくような感覚があります。私が担当している広報誌も、どうしたら初心者ユーザーの方に知財の情報を届けられるかを考えると、進みたい方向は決まっているのですが、ゴールまでの道のりは険しくなっていくように感じています。

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