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11月17日
10月16日(水)配信
【事件概要】
請求項2に係る補正事項は、新規事項の追加に該当するとした審決の判断に誤りはないとして、拒絶査定不服審判請求に対する請求不成立審決が維持された事例。
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【主な争点】
請求項2に係る補正事項(以下「請求項2補正事項」という。)である「前記開放空間は、前記封止部材と前記レンズ部材の間において、前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されることで形成される」との事項は、新規事項の追加に該当するか否か。
【結論】
請求項2補正事項は…開放空間が「前記レンズ部材の外縁を環状に一周することなく前記接着剤が配されること(本件接着剤配置)で」形成されるのであるから、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与することを要すると解される。…以上の趣旨が、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項といえるかを…検討する。
…当初明細書等のうち、実施形態4に係る記載について検討する。
実施形態4では、図8から、レンズアレイ20の外縁と、レンズアレイ20が接着剤により封止部材80に固定される領域との関係から、接着剤はレンズ部材の外縁を環状に一周していないことが理解できるので、本件接着剤配置については、図8から見て取れる事項といえる。
しかし、当初明細書等の…記載によれば、実施形態4に係る記載は、レンズアレイ20の外縁の一部を凹部82bの内側に位置させるという位置関係によって開放空間を形成するのであって、そこでは、そもそも接着剤の配置は問題とされていない。
…以上のとおり、当初明細書等の全ての記載を総合しても、本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与するという技術的事項を導くことはできない。
【コメント】
判決は、「本件接着剤配置が開放空間の形成に寄与すること」を請求項2補正事項の趣旨と認定した上で、当初明細書等の記載からそのような技術的事項を導ことはできないと判示した。この新規事項の追加の判断において、まず補正事項の趣旨を認定し、その上で当初明細書等の記載を当てはめて判断する手法は参考になると思われる。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 和田 雄二)
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