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4月27日
2月6日(木)配信
みなさま、こんにちは。先日、前より少し大きくなったオフィスに引っ越しをしたCom Laude株式会社(コムラウデ)の村上でございます。安全なインターネット環境の提供実現をドメインの観点から日々考えている者です。
前回は、法人の視点で「誰が何を管理しているのか」を把握しましょう、という課題に触れました。
今回は、ブランドと同一または類似したドメインネームを使った「著名ブランドへのフリーライドドメイン」について見てみましょう。
フリーライドとは、直訳通りの「ただ乗り」であり、他社の信頼に便乗して利益を得る行為です。最近では、偽ブランド品の取り締まりが厳しくなり、テレビでも「どこどこのブランドを模倣したバッグや財布を営利目的で販売していた」等のニュースを頻繁に目にする機会があると思います。これは、ブランドの著名性に便乗した上で模倣品を販売し、不当な利益を得る行為です。では、インターネット上でフリーライドドメインが展開された場合、法人にはどのような影響があるのでしょうか。
事例その1「メーカーA社のサイトと思いきや、、複数のメーカーの製品を販売」
過去実際にあった例としては、第三者が日本のメーカー名でドメインネームを登録し、当該ウェブサイト上では複数の日本メーカーの製品が販売されていたという事件がありました。仮にドメインを侵害されたメーカーをA社としましょう。メーカーA社と同じブランドで第三者による「makera.com」が登録され、ウェブサイト上ではメーカーA、メーカーB、メーカーC、メーカーDの4社の製品が販売されていました。製品を販売する側の第三者は、どのメーカーの製品が売れても自身の利益に繋がります。ただし、ウェブサイトにアクセスをした購入予定者は、本来メーカーAの製品を買う予定だったのかも知れませんが、このウェブサイトがきっかけで別メーカーの製品を購入した可能性もあります。つまり、メーカーAは自社の著名性にフリーライドされた結果、自社の利益も流出させてしまった可能性が考えられます。
もう一歩踏み込んで考えると、ドメインがフリーライドされた先のウェブサイトで販売している製品は模倣品等である可能性もあり、そこで販売された製品が仮に事故を起こした場合、メーカーの過失は問われないにしろ消費者による一方的な評価の低下等を招く可能性も考えられます。
もう一つ、少し違う事例を見てみましょう。
事例その2「カンタス航空と思いきや、、謎のドメイン」
オーストラリアの航空会社カンタス航空ですが、過去、正規ブランドであるQantasと非常に類似したドメイン「quantas.com」がカンタス航空の正規サイトに転送されていたケースがありました。
カンタスは「Qantas」と綴りますが、カンタス航空との関係が不明である類似ドメインは「quantas.com」であり、本来必要のない「U」が2文字目に存在します。tldinvestors.comによると、当該ドメインは過去20年近くカンタス航空のウェブサイトに転送されていたようですが、2019年12月17日に終了したドメインオークションにより、19,138米ドル(約200万円)で売却されたようです。現在の当該ドメインの登録業者は米国の「Godaddy(ゴーダディ)社」となっていますが、他方カンタス航空の法人ドメインは、Godaddyではない別の会社で管理されているようですので、第三者登録の可能性が想定されます。また、domainrecap.comによると、オークション終了前に算定されたquantas.comの価値は15,463米ドル(約170万円)であり、終了1日前の2019年12月16日時点では151の入札があったようです。
なぜ長期に渡り類似ドメインが、正規ウェブサイトに転送されていたのか理由は不明ですが、既にオークションで新登録者に販売されており、現在quantas.comにアクセスすると、Godaddy社のパーキングサイトになっています。
私の勝手な想像ですが、ひょっとしたら今後航空業界とは関連性のないウェブサイトが展開されたり、全く別のウェブサイトに転送される事も考えられます。長期に渡り存在していたドメインのため、既に消費者がアクセスした実績もあるといえるでしょう。今後何か別のウェブサイトが立ち上がった時が、ブランドにフリーライドしたドメインの問題点が表面化する時かも知れません。
次回は第三者登録の検知について考えて行きましょう。
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