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11月17日
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5月20日(月)配信
日本行政書士会連合会、山口大学、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の三者は5月7日、著作権の普及啓発に共同で取り組むため、包括連携協定を締結した。三者は今後、それぞれの強みを生かした連携の形を模索し、年度内をめどに具体的な取り組みの内容を明らかにする予定だ。
三者にはそれぞれ、著作権の普及や教育に携わってきた実績がある。たとえば、日行連は全国に広がる行政書士会のネットワークを活用して小中学校の教育現場などで著作権教育を支援してきた経緯があり、山口大学は大学における知財教育のパイオニアとして、著作権を含めた知財教育全般に関して充実したプログラムやノウハウを開発してきた実績を持つほか、文部科学大臣が認定した唯一の知財教育研究共同利用拠点でもある。ACCSは30年以上にわたり、ソフトウェアやデジタルコンテンツの権利保護、著作権の普及啓発などに取り組んできた。
こうした三者のリソースや実績を生かすことで、国を挙げた知財創造教育への注力、教育の情報化や主体的・対話的な学びなどを目指した初等中等教育・高等教育の新学習指導要領(初等中等教育は2017年3月公示、高等教育は18年3月公示)、情報教材の利用円滑化などをにらんだ18年の著作権法改正を受け、著作権教育にも新たな工夫や変化が求められるようになっている現状に対応する。
具体的な取り組みはまだ決まっていないものの、非企業同士によるオープン・イノベーションとも呼べるこの包括連携協定に対し、三者はそれぞれ大きな期待感を示した。
日行連の遠田和夫会長は、同会が著作権の普及啓発を含む多様な業務に携わる中で、「著作権に関わる考え方が国民の間に浸透していないことを痛感せざるを得ない事柄が多々あった」とし、今回の協定で三者が連携することで著作権の普及啓発を積極的に進め、「文化や社会の発展に寄与したい」との考えを示した。
山口大の岡正朗学長は、他大学に先駆けた知財科目必修化や、知財教育の教材・指導プログラムの開発を進めてきた中で、「迅速な教材化」が同校の特色のひとつだとした。内閣府知的財産戦略本部が推進する知財コンソーシアム検討委員会のメンバーでもある同校は、小中高の知財創造教育システムや教材開発にも取り組んでいるといい、協定によって「今まで以上のコンテンツを開発したり、小学校から社会人までひとつの教育の流れをつくっていけるのではないか。大学だけでできる範囲をさらに大きく超えていくというところに、大変期待している」と述べた。
ACCSの久保田裕専務理事は、有識者やメディアの間ですらも著作権に関する正確な知識が共有されているとは言い難いという現状に触れた上で、今回の協定による連携で、教育現場に「著作権法の正しい知識を普及させていきたい」として強い意欲を示した。ACCSによる主体的な取り組みとしては、ビジネス著作権検定や教育著作権検定などの「検定をモチベーションに、正しい知識の普及をしていきたい」とした。さらに、「それに伴い、山口大学がつくっている色々な知財教育の教科書がそこに連動していく。また、5万人近くの行政書士がそれをきちんと勉強することにより、(これらの人たちには)各都道府県に色々なレイヤーの人たちがいるので、そういう人たちが普及活動をしてくれると、日本は一変するのではないか」と話し、三者が連携する際のひとつのイメージを示した。
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