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先週の知財ニューストピックス(4月1日〜7日)

4月8日(月)配信

 先週(4月1日〜7日)は、トヨタ自動車がハイブリッド車(HV)関連の特許約2万3740件を無償開放すると発表し、注目を集めた。電動車を普及させる取り組みの一環だとし、技術的なサポートも有償で行う考えを示した。さらに、日本経済新聞が観測報道で、トヨタが全日本空輸(ANA)を含む大手40社と協力し、新事業につながる技術やノウハウを共有・交換する取り組みを始めると報じるなど、トヨタに関連する大きなニュースが相次いで伝わった。

トヨタ、HV関連特許2万3740件を無償開放、電動車の普及促す

 トヨタ自動車は4月3日、電動車の普及に向けた取り組みの一環として、モーター、PCU(パワー・コントロール・ユニット)、システム制御などの車両電動化関連の技術について、保有する約2万3740件の特許の実施権を無償で提供すると発表した。あわせて、これらのパワートレーンシステムを他社が活用する際には、電動車の製品化に向けた技術的なサポートも行う考えを示した。
 これらの車両電動化技術は、同社が20年以上にわたるハイブリッド車(HV)の開発を通じて積み上げてきたもので、HV、プラグインハイブリッド車(PHV)、電動自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの、様々なタイプの電動車の開発にも応用できるコア技術だという。
 世界的に燃費規制が強化される中、関連特許をオープン化することで他社によるHV市場への参入を促し、市場拡大によって関連部品の供給コストを下げたい考えがあるとみられる。同時に、HV車と主要部品が共通するというEVのコスト抑制を図りたいとの思惑もあるようだ。
 無償提供の対象となる技術は、モーターが約2590件、PCUが約2020件、システム制御が約7550件、エンジン・トランスアクスルが約1320件、充電機器が約2200件、燃料電池関連が約8060件。期限は2030年末まで。
 一方、技術サポート実施に関連する費用は有償とする。サポートの内容は、製品化する車両特性に応じた燃費・出力性能、静粛性といった商品力を高いレベルで実現するために必要な、車両電動化システム全体のチューニングに関するアドバイス。

トヨタ、ANAなど40社、知財など共有・交換する枠組み構築へ、との報道

 トヨタ関連ではほかに、同社が全日本空輸(ANA)などの大手40社と組み、新事業につながる技術やノウハウを共有・交換する取り組みを始めるとの観測を7日付日本経済新聞が伝えた。各社が保有する知的財産の価値を他社に評価してもらい、業種をまたいだ提携やデータの円滑な売買を促すことが狙いだという。参加各社が社外のアイデアを活用し、新たなサービスや製品の創出につなげることを目指すとしている。
 記事によると、15日にトヨタなどが、母体となる「イノベーションテックコンソーシアム」を立ち上げ、アサヒグループホールディングス、伊藤忠商事、武田薬品工業、三井住友銀行、電通などの40社強が加わるという。競合企業同士も加入でき、2020年には100社に拡大する方針としている。

本庶教授、特許料めぐる小野薬品工業との契約経緯公表へ、との報道

 4月6日には、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学特別教授の本庶佑氏が、がん免疫治療薬「オプジーボ」をともに開発した小野薬品工業との契約で特許料が大幅に低く抑えられているために次世代の研究者を育てるサイクルが成り立たないとして、次週に契約の経緯を公表することになったと、NHKが報じた。報道によると、小野薬品側は、契約は双方が納得して結ばれていたとしたうえで、「今後も話し合いを続けていきたい」考えを示しているという。

日中が初のイノベーション対話、知財保護などで意見交換

 日本の知財に関連する動きとしてはこのほか、2日に日中両政府が「日中イノベーション協力対話」の第1回目会合を北京で開催したことが発表された。両国は、イノベーション協力を行う前段階の環境整備として、知財分野における取り組みが重要との認識を共有。両国の知財分野の政策を紹介したほか、営業秘密の保護、強制的技術移転の懸念排除、海賊版対策などの課題について意見交換したという。技術移転強制の問題については、中国技術輸出条例(TIER)や外商投資法をめぐる最近の動向などについて中国側が説明した。

米中、交渉継続へ、追加関税・知財・合意履行の仕組みで対立残す

 米中の貿易交渉をめぐっては、前週に北京で行われた協議に続き、3〜5日にワシントンで閣僚級協議が開催された。各メディアの報道によると、追加関税の扱いなどをめぐり、両国の溝が埋まらなかった模様。中国側はすべての関税の即時撤廃を求めており、米国側は合意事項の履行を確認できるまでは撤廃に応じたくない考えだという。トランプ大統領は5日、「合意できるかは余談を持ちたくない」と話し、中国側をけん制したという。また、ホワイトハウスは同日の協議終了後、「多くの重要課題で進展をみたが、かなりの作業が残っている」との声明を出した。
 6日付時事通信の報道によると、トランプ大統領は、「追加関税」「合意履行の仕組み」「知的財産権」をめぐる対立が解けていないことを明らかにしたという。両国は翌週以降もテレビ会議で協議を続ける。
 中国をめぐる問題については、フランスのディナールで5、6日に開かれた主要7カ国(G7)外相会合においても懸念が共有された。加盟国は6日に発表した共同声明で、知的財産の侵害や不公正な貿易慣行の問題に言及し、自由で開かれたルールに基づく国際秩序への責任ある参加を促していく、などとした。

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