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先週の知財ニューストピックス(6月24日〜6月30日)

7月1日(月)配信

 先週(6月24日〜30日)は、日本音楽著作権協会(JASRAC)などが、「私的録音録画補償金」をめぐる新たな制度の構築などを求める決議書を文化庁に提出し、政府の対応を求める動きがあった。国内ではこのほか、和牛の受精卵などの海外への不正流出防止策を検討するための会合で、流通の管理強化を求める提言がとりまとめられた。
 米中両国間では、膠着していた貿易協議問題に動きがあった。大阪で開催された米中首脳会談後に、トランプ大統領が貿易交渉の再開と「第4段」となる追加関税の発動を先送りする考えを表明。さらに、ファーウェイへの輸出制限措置について、条件付きで米企業による輸出を容認する考えも示した。

JASRACなど、「私的録音録画補償金」改正求める決議書を政府に提出

 JASRACなど5団体は25日、「私的録音録画補償金」をめぐる新たな制度の構築などを求める決議書を文化庁に提出し、政府の対応を求めたと発表した。
 提出したのは、5月30日に開催された著作権協会国際連合(CISAC)総会で採択された決議のうち、日本に関係する3つの決議書。
 1つは、私的録音録画補償金の新たな制度をつくることを求めたもの。日本における現在の同制度が時代遅れとなって形骸化しているため、制度をアップデートして著作権者に公正な対価を支払う形にするべきとしている。
 私的録音録画補償金は、録音・録画が可能な機器を販売したメーカーなどが著作権者に補償金を支払う制度で、それらの売価にあらかじめ著作権料を上乗せするもの。日本の同制度は1988年に改正されたもので、現在では時代遅れとなった録音機器やメディアを対象としているとされる。決議書では、スマホのようなデジタル市場で実際に使われている機器まで、補償金制度の対象を拡大したい考えを示している。
 25日はこのほか、「日本における美術創作者の追及権に関する決議」と「日本映画監督協会への支援に関する決議」も提出した。提出したグループに加わったのは、JASRACのほか、日本映画監督協会、日本脚本家連盟、日本美術家連盟、日本美術著作権協会。
 「日本における美術創作者の追求権に関する決議」は、現在90カ国以上で立法化されている美術創作者の追及権を日本の著作権法にも導入することを要請している。「日本映画監督協会への支援に関する決議」では、映画監督が公正な報酬を得ることを目的とする日本映画監督協会の活動を支持するとともに、公正な報酬を得られるよう立法措置をとることなどを求めている。

米中貿易協議再開へ、トランプ氏、ファーウェイとの米企業取引容認

 各メディアによると、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が29日、大阪市内で首脳会談を行い、5月から中断していた貿易協議の再開で合意した。米国は第4段として準備していた3000億ドル分の追加関税の発動を先送りする。すでに発動している分の関税は維持する。会談後の会見でトランプ氏は、「中断したところから協議を再開する」としたほか、「少なくとも協議の間は追加関税を上乗せしない」と明言した。
 さらに、米国にとって安全保障上の脅威である外国企業を挙げた「エンティティー・リスト(EL)」に入っているファーウェイについて、「安全保障上の問題がなければ米企業との取引を容認する」と発言した。(ブルームバーグは7月1日付で、米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長が米テレビとのインタビューで、ファーウェイがELに残り、「厳しい輸出管理が適用される」と話したことを伝えた。同報道では、同氏が貿易交渉の再開を「非常に大きな合意」としながらも、包括的な貿易交渉合意への確固たる公約などはないとし、これまでの交渉が暗礁に乗り上げる原因となった問題に中国はなお対処する必要があるとの考えを示したとしている)
 なお、27日付けブルームバーグによると、米中首脳会談に先立って27日に開催された日中首脳会談において、通商分野では、安倍首相が知的財産権保護の強化、市場歪曲的な産業補助金の是正などの、公正なビジネス環境の構築に向けた実行的な措置を中国側に要請したという。

バンダイナムコと集英社が中国に新会社、漫画グッズを製造・販売

 バンダイナムコホールディングスと集英社は25日、中国に共同出資による新会社「集英万夢(上海)商貿」を設立することで合意したと発表した。新会社は中国において、集英社が漫画の原作版権を持つフィギュアや雑貨などの商品を企画・製造するほか、ECサイトなどによる販売を行う。設立は10月を予定。資本金は280万ドル(約3億円)で、バンダイナムコホールディングスが51%、集英社が49%出資する。新会社はバンダイナムコグループ傘下となる。

和牛の受精卵など流通管理強化へ、海外流出防止で検討会が提言

 和牛の受精卵などの遺伝資源が海外に不正に流出するのを防ぐため、農水省は26日、第5回目となる検討会を開催した。NHKは同日付で、検討会が売買の記録を義務付けるなど、流通管理の強化を求める提言をとりまとめたと伝えた。
 提言では、輸出が認められていない和牛の受精卵や精液の流通段階での管理を強化するため、畜産農家や流通業者などに売買記録の保管を義務付けることなどを求めている。国や県が畜産農家などに定期的に立ち入り、生産や記録の管理をチェックすることも盛り込んだ。
 報道によると、和牛の受精卵などの遺伝資源を知的財産とみなして輸出を禁じるか否かについては、和牛が同じ遺伝子を持っていても肉質などで個体差が大きく出るため知的財産に該当しないとし、輸出禁止措置などの対策は盛り込まなかったという。
 この問題をめぐっては昨年6月、大阪の飲食店経営者の男ら2人が輸出の認められていない和牛の受精卵と精液を中国に持ち出そうとして捕まり、家畜伝染病予防法違反などの罪に問われていたが、25日に大阪地裁が男らに執行猶予付の有罪判決を下した。

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