先週（11月29日〜12月5日）は、漫画などの海賊版サイトへのアクセス数の増加が続き、国内の被害額が正規市場の規模を上回ることが業界団体の調べでわかったことなどが報じられた。

海賊版サイトへのアクセスがコロナ禍で増大、被害額が正規市場上回る

　長引くコロナ禍で、人気漫画などの海賊版サイトへのアクセス数が増加の一途をたどっている。海賊版対策を行う出版社からなる一般社団法人「ABJ」が11月29日に発表した資料によると、出版物の海賊版サイト上位10サイトへの国内からの月間アクセス数が、10月に合計3億9833万回（前月比11％増）に達し、4億回の大台に迫った。11月に閉鎖した「漫画BANK」を含めた上位3サイトの合計は3億回を超えた。2018年に閉鎖した「漫画村」の月間アクサス数は当時、最大で1億回だった。
　作品を「タダ読み」されたことによる被害金額は、2021年1月～10月で7827億円とされ、2020年の正規の市場規模とされる6126億円をすでに上回っているという。

【参照ソース・ニュース】

• 出版物海賊版サイトの最新状況と対策（11月29日　ABJ）
• インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会（第5回）配布資料（11月29日　総務省）
• 海賊版サイト、半年で閲覧20億件　被害額は正規市場超え（12月5日　日本経済新聞）
• 「漫画村」の4倍規模　違法漫画サイトへの月間アクセス数は4億目前に　ABJ調査（11月29日　ITmedia NEWS）

岩波書店、著作権侵害で2冊を回収・絶版に

　岩波書店は12月2日、「岩波ジュニア新書」として出版した「森の日本史」（黒瀧秀久著、2021年10月20日刊行）と「榎本武揚と明治維新――旧幕臣の描いた近代化」（同、2017年12月20日刊行）の2冊について、複数個所で著作権侵害があったを確認したため、これらを絶版とし、回収すると発表した。
　3日付朝日新聞によると、同社が読者からのメールで指摘を受け、著者に確認したところ、ほかの書籍から複数個所にわたって文章を無断転用していたことが判明したという。

【参照ソース・ニュース】

• 書籍回収のお願い（岩波ジュニア新書『森の日本史』『榎本武揚と明治維新』）（12月2日　岩波書店）
• 岩波書店「文章の無断転用」で2冊を絶版に 返品受け付け（12月4日　NHK NEWS WEB）
• 岩波の２冊、絶版・回収へ…複数の無断転用（12月4日　読売新聞）
• 岩波書店が２冊を絶版に　「文章の無断転用」を確認（12月4日　産経新聞）
• 岩波ジュニア新書2冊、絶版し回収に　読者の指摘で著作権侵害が発覚（12月3日　朝日新聞）

日立、仏アルストムから高速鉄道の関連資産取得

　日立グループは欧州時間12月1日、仏アルストムが保有する高速鉄道車両プラットフォーム「V300 ZEFIRO（ゼフィロ）」にかかわる関連資産などを取得すると発表した。2022年前半に取得を完了する見込みだという。取得価格は非公表。
　鉄道システム事業を手がける子会社の日立レールが関連資産を取得する。

【参照ソース・ニュース】

• Hitachi to acquire Bombardier Transportation’s contribution to the V300 ZEFIRO very high-speed train from Alstom（12月1日　Hitachi Rail）
• 日立がアルストム社からV300 ZEFIRO高速鉄道車両関連資産を取得（12月2日　日立製作所）
• 日立、伊高速鉄道の知的財産取得　仏アルストムから（12月2日　日本経済新聞）

音楽用電子機器のズーム、米ズームを商標権侵害で提訴

　音楽用電子機器を開発・販売するズーム（千代田区）は11月30日、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ（ZVC）を相手取り、商標権を侵害する行為の差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に提起したと発表した。「同社登録商標が法的に保護されるべき知的財産であることの確認が訴訟の目的であり、和解金等での解決を排除する姿勢を示す」として、損害賠償請求はしていない。
　同社は今年9月17日、同様の訴訟をZVCの国内代理店であるNECネッツエスアイに対しても起こしている。

【参照ソース・ニュース】

• 訴訟提起に関するお知らせ（11月30日　ズーム）
• 訴訟提起に関するお知らせ（9月17日　ズーム）
• 商標権侵害で米ＺＯＯＭ提訴　音楽用電子機器のズーム（12月1日　時事通信）
• ズーム：米ズームを東京地裁に提訴、商標権侵害差し止めで（11月30日　ブルームバーグ）

経済安保法案、先行して「特許の公開制限」を＝報道

　政府が経済安全保障を推進するために進める法案作成の取り組みについて、12月4日付日本経済新聞は、政府が法案作成を2段階に分けて進める考えだと報じた。記事によると、先行して2022年の通常国会に、機微技術の特許の公開制限などを盛り込んだ法案を提出するという。

【参照ソース・ニュース】

• 経済安保法案、特許の公開制限を先行　適格性評価は後に（12月4日　日本経済新聞）
• 経済安全保障法制に関する有識者会議（11月26日　内閣官房）
• 経済安全保障推進会議　第１回（11月19日　内閣官房）
• 経済安全保障の取り組み強化へ 有識者会議の議論始まる（11月26日　NHK NEWS WEB）
• 経済安保の有識者会議が初会合　北村前NSS局長ら参加（11月26日　日本経済新聞）
• 経済安保法案、策定加速へ　有識者会議スタート「慎重に進める」（11月26日　毎日新聞）

米控訴裁、モデルナ製コロナワクチンで使われる他社特許の有効性認める

　12月1日付ロイター通信は、モデルナが自社製新型コロナウイルスワクチンで使われる技術に関連し、同じくバイオ製薬を手がける米企業アービュータス・バイオファーマの特許に異議を申し立てた訴訟について、米連邦巡回控訴裁判所が同日付で上訴を退けたと報じた。アービュータスが保有する特許の有効性を概ね認めた特許審判部の判断を支持したという。記事では、これにより、モデルナが特許侵害で提訴される可能性が高まったとしている。
　モデルナは、新型コロナウイルスワクチンの特許を巡り、米国立衛生研究所（NIH）とも対立している。

【参照ソース・ニュース】

• 米控訴裁、モデルナ製コロナワクチン巡り他社特許に有効判断（12月2日　ロイター）