先週の知財ニューストピックス（6月12日〜6月18日）

　先週（6月12日〜6月18日）は、産業技術総合研究所に所属する中国籍の主任研究員が、研究データを中国企業に漏えいしたとして不正競争防止法違反容疑で警視庁公安部に逮捕されたニュースなどが伝わった。

産総研の中国籍研究員を逮捕、中国企業にデータ漏えいの疑い　中国で特許登録

　産業技術総合研究所の主任研究員である中国籍の男が、研究データを持ち出して中国企業に漏えいさせたとして、不正競争防止法違反の疑いで警視庁公安部に6月15日に逮捕された。各紙が報じた。
　報道によると、容疑者の男は2018年4月13日にフッ素化合物に関する研究データを中国企業にメールで送信した容疑がかけられている。同企業は同月20日にこの容疑者を発明人として中国で特許申請し、20年6月に当局から承認されていたという。
　産総研は事件について、把握してから捜査に全面協力する傍ら、「組織体制、ルール、システム上の強化策を積み重ねてきた」とし、さらなる対策を進める考えを示した。

【参照ソース・ニュース】

• 職員の逮捕について（第二報）（6月17日　産業技術総合研究所）
• 職員の逮捕について（6月15日　産業技術総合研究所）
• 産総研漏えい、データ提供の１週間後に中国企業が特許申請…内容が類似（6月17日　読売新聞）
• 送信先の中国企業が特許取得　直後に申請、データ転用か（6月17日　共同通信）
• 送信先中国企業が特許取得　直後に申請、データ転用か（6月17日　日本経済新聞）
• 「産総研」“情報漏洩”事件　中国企業が特許出願し取得（6月18日　テレ朝news）
• “漏えい情報”で中国企業が特許取得か　「産総研」中国籍の男逮捕（6月17日　日テレnews）
• 中国の「千人計画」に参加か 情報漏えいの疑いで逮捕の研究員（6月17日　NHK NEWS WEB）
• 産総研 逮捕の中国籍研究員 過去に中国政府と深いつながりか（6月16日　NHK NEWS WEB）
• 中国の「国防7校」教授を兼任　先端技術漏らした疑いの産総研研究員（6月16日　朝日新聞）
• 中国企業にデータ漏えいか　研究員の中国籍男逮捕、警視庁（6月15日　共同通信）
• 中国企業に情報漏えい疑い　産総研の中国籍男逮捕―警視庁（6月15日　時事通信）
• 産総研の中国籍研究員、先端技術を中国企業に漏えいした疑いで公安が逮捕状…きょうにも逮捕へ（6月15日　読売新聞）

政府、「特許非公開」25の技術分野案示す　2024年春の運用開始へ

　政府は6月12日、先に成立した経済安全保障推進法に基づき、特許出願を非公開化できる対象分野として、25の技術分野を指定する案を有識者会議で示した。
　対象には、レーダーに捕捉されにくいステルス性能や、武器と関連する無人航空機・自律制御技術などのような先端技術、使用済み核燃料の分解・再処理に関する技術といった、甚大な被害をもたらし得る技術などが含まれる。
　一方、固体燃料ロケットエンジンに関する技術などの10分野については、産業の発達に及ぼす影響が大きいことが認められるとして、防衛・軍事目的で発明された場合に限るなどの付加要件を適用する方針を示した。
　同日付のNHKの報道によると、会議ではおおむね賛同が得られたという。政府は今後、必要な政令などを策定し、パブリックコメントを経て、2024年春頃の運用開始を目指す考え。

【参照ソース・ニュース】

• 経済安全保障法制に関する有識者会議（令和４年度～）第７回　令和5年　6月12日（6月12日　内閣官房）
• 「特許非公開」25分野を政府指定へ　武器開発技術などの流出防止（6月12日　朝日新聞）
• “25の技術分野 特許出願を非公開に” 経済安保強化へ案示す（6月12日　NHK NEWS WEB）
• 経済安保強化へ、政府が２５分野「特許非公開」…戦闘機のステルス性能や極超音速飛行の関連技術（6月7日　読売新聞）

欧州議会、AI規制案を採択　生成AIに学習データの開示求める

　欧州連合（EU）の欧州議会は6月14日、AI規制法の修正案を賛成多数で採択した。チャットGPTのような生成AIシステムに対し、コンテンツがAIによって生成されたことを開示するよう義務付けるほか、著作権で保護されたデータが機械学習などで使用された場合、その詳細な概要を公開することなども求める。
　欧州議会のメツォラ議長は会見で、「（規制案は）間違いなく、この先何年にもわたり国際基準になるだろう」と述べた。

【参照ソース・ニュース】

• MEPs ready to negotiate first-ever rules for safe and transparent AI（6月14日　European Parliament）
• Press conference by Roberta METSOLA, EP President, Brando BENIFEI and Dragoş TUDORACHE, rapporteurs on the AI Act plenary vote（6月14日　European Parliament）
• 欧州議会、AI規制案を承認　著作物の開示を義務付け（6月14日　時事通信）
• 欧州議会、ＡＩ規則案の修正を採択（6月14日　ロイター）
• 欧州議会、ＡＩ法修正案を採択…生成ＡＩの学習データ一部開示を義務づけ（6月14日　読売新聞）
• 欧州議会、AI規制法案を可決　「ChatGPTなどは透明性要件を順守すべし」（6月15日　ITmedia）
• EU議会“生成AIの規制盛り込むべき”修正案可決 国内でも動き（6月15日　NHK NEWS WEB）
• EUの欧州議会がAI規制案を採択　「使用明示義務」盛りこむ（6月15日　毎日新聞）
• ＥＵのＡＩ規制　実施は２０２６年ごろ（6月15日　産経新聞）

米音楽業界団体がツイッター運営会社を提訴、著作権侵害で

　複数のメディアによると、米国の音楽関連企業17社からなる団体が6月14日、著作権を侵害されたとしてツイッターの運営会社をテネシー州の裁判所に提訴した。訴えた団体は、ツイッターの利用者が無断で音楽などを投稿することから同社が利益を得ていることなどを問題視しており、コンテンツごとに最大で15万ドル（約2110万円）の賠償を請求しているという。報道によると、賠償額は合計で最大2億5000万ドル（約352億円）に上るとされる。
　ユーチューブやフェイスブック、ティックトックといった他の大手サービスの運営会社はすでに、楽曲の権利を持つ企業などとライセンス契約を締結している。

【参照ソース・ニュース】

• 音楽業界がツイッターに350億円の賠償求め提訴、著作権侵害で（6月15日　Forbes JAPAN）
• 米音楽団体、Twitter運営会社を提訴　著作権侵害で（6月15日　日本経済新聞）
• 音楽関連企業17社がツイッターを提訴　著作権侵害を主張（6月17日　毎日新聞）
• ツイッターに音楽業界団体が約350億円を請求｢イーロン･マスクの買収後､著作権侵害が悪化｣（6月15日　ニューズウィーク日本版）
• 米音楽業界１７社、ツイッターを提訴…１７００の楽曲への著作権侵害で（6月15日　読売新聞）