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11月24日
6月5日(水)配信
【事件概要】
本件は、「サックス用ストラップ」の商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)が争われた事例であり、原審の東京地裁では、商品形態の実質的同一性を認めず、不競法2条1項3号該当を否定した(東京地裁 平成29年(ワ)第21107号)。しかし、控訴審判決である本判決では、知財高裁は原判決を覆して、不競法2条1項3号該当を認めて、差止請求及び損害賠償請求を認容した。
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【裁判所の判断要旨】
原告商品はモデルチェンジをしており、旧原告商品は最初の販売から3年を経過していることから(不競法19条1項5号イ)、原審では、主要なデザイン変更がなされたアジャスターに相当するV型プレート(写真において下側中央部)の美観に基礎を置く部分に限定して、両商品を比較し、当該V型プレートの中央部における側部の窪みの有無や下面の湾曲の有無等の差異により、実質的同一性がないとした。これに対して、本控訴審判決では、デザイン変更の前後で全体の形態が異なっており、デザイン変更した部分を含む形態全体が保護の対象になるとして、差異点は全体の形態からみると些細な差異に過ぎず、そのため両商品の形態は実質的に同一であると判断した。
〈原告商品〉
〈被告商品〉
【コメント】
本件は、部分的なデザイン変更後の商品について、不競法2条1項3号の保護対象・保護範囲が問題となった点で興味深い。なお、被告は被告商品を輸出・販売しているため、準拠法が問題となったが、日本法が準拠法とされた。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 佐藤英二)
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