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商標 平成29年(行ケ)第10214号「GUZZILLA」(知的財産高等裁判所 平成30年6月12日判決)

6月13日(木)配信

【事件概要】

 「GUZZILLA」という名称で、指定商品を第7類「鉱山機械器具」等とする本件商標につき、原告が、商標登録無効審判を請求したところ、本件審判の請求は、成り立たないとの審決がされたことから、原告が、本件審決の取消しを求めた事案である。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】

 本願商標は、商標法4115号に該当するか。

 

 

【判決要旨】

 本件商標と引用商標(「GODZILLA」)の外観とを対比すると、語頭の「G」語尾の「ZILLA」を共通にし、2文字目と3文字目も似ており見誤るおそれがある。

 本件商標と引用商標の称呼を対比すると、語頭音を除く称呼は「ジラ」と共通する。また、語頭音は、本件商標は「グ」と「ガ」の中間音、引用商標は「ゴ」と「ガ」の中間音としてそれぞれ称呼され得るものであり、いずれも子音を共通にし、母音も近似する。

 「混同を生じるおそれ」について、取引の実情などから、本件指定商品に含まれる機械器具と、原告の業務にかかる商品との関連性の程度は高くない。

 しかし、本件商標と引用商標とは、称呼・外観において相紛らわしい点を含む。また、引用商標は周知著名であって、その独創性の程度も高い。さらに、原告の業務は多角化しており、本件指定商品に含まれる商品の中には、原告の業務に係る商品と一定の関連性を有するものが含まれる。加えて、取引者及び需要者は共通し、商品に付された商標に表れる業務上の信用も取引の際に考慮される。

 そうすると、本件指定商品に含まれる商品の中には、本件商標を使用したときに、当該商品が原告又は原告との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信されるおそれがあるものが含まれるといわざるを得ない。

 

【コメント】

 本判決は、商品の関連性について、「本件指定商品に含まれる油圧式ジャッキ、電動ジャッキ、チェーンブロック、・・・、草刈機等と、原告が引用商標の使用を許諾した玩具、雑貨等とは、ホームセンター等の店舗やオンラインショッピング、テレビショッピングにおいて、一般消費者に比較的安価で販売され得るものであり、日常生活で、一般消費者によって使用されるなど、性質、用途又は目的において一定の関連性を有している」と判断している。また、取引者及び需要者の共通性について検討している。「混同を生じるおそれ」の要件について、商品の関連性や取引者及び需要者の共通性について検討することは有益であると考えられる。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁護士 石川裕彬)

 

書誌等:知財高裁判例集(別サイト)

 

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