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4月27日
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2月12日(火)配信
先週(2月4〜11日)の知財業界では、米中貿易交渉の妥結が先送りになる中、米国時間5日のトランプ大統領による一般教書演説での中国の扱いに関心が集まった。トランプ氏は、「過去何十年にもわたる破滅的な通商政策を転換しなければならない」として、中国に対し知的財産の侵害や構造問題についての抜本的な解決を迫った。
米中貿易交渉については、11日から次官級交渉を再開、14~15日に閣僚級交渉を実施する予定で、3月1日の交渉期限を前に米中首脳会談で決着を図るとの見通しは立ち消えとなった。
国内では文化庁の著作権分科会が4日、海賊版サイト対策についてとりまとめた最終報告書を公表。違法ダウンロードの対象範囲をインターネット上の全著作物へと拡大する一方で、刑事罰を課す対象範囲を悪質なものに限定するとして、当初案から修正した。
トランプ米大統領は一般教書演説で、「米国の知的財産を盗用し、米国の雇用と富を盗んできた時代は終わりだということを中国に突きつけている」と述べ、中国に対し知的財産の保護や構造的な問題の解決を強く求めた。
米中貿易交渉については、3月1日の交渉期限をにらみ、11日から北京で次官級交渉を再開。14〜15日にかけては閣僚級協議を改めて行う予定だ。同協議では、中国による知的財産権侵害の問題に対し、中国側が抜本的な対策を示すかが焦点になっている。
なお、トランプ大統領は当初、米中首脳会談による交渉の決着に期待感を示していたが、現地7日の各種報道によると、同氏は3月1日の交渉期限までに中国の習近平国家主席と会談する予定がないことを明らかにしたという。
米中関連の話題ではほかに、米国が欧州諸国に対し、第5世代(5G)移動通信網などの構築にファーウェイなどの中国企業を参加させないよう警告しているとのニュースを海外の複数メディアが報じた。
AFPが欧州時間6日に伝えたところによると、米国務省高官が欧州連合(EU)本部のあるベルギー・ブリュッセルで5日、「中国のような国々の信頼できないサプライヤーに慌てて飛びつき契約を結ぶことのないよう呼びかける」と発言。同氏は、ファーウェイやZTEのような「信頼できないサプライヤー」と組むことが、各国の安全保障上のリスクとなる可能性があるほか、知的財産保護やプライバシー、人権などを損なう恐れがあると訴えたという。
さらに、米国時間8日にはブルームバーグによって、EU大使が7日、西側諸国がファーウェイなどの中国製設備を重要インフラプロジェクトに使用することを認めるならば、米国による対抗措置のリスクに直面することになると警告したことが報じられた。
国内では、文化審議会の小委員会が4日、海賊版サイト対策についてとりまとめた最終報告書を公表。著作権を侵害する違法ダウンロードの対象範囲をインターネット上における全著作物へと拡大する一方で、刑事罰の対象とする行為を悪質なものに限定するよう提案した。1月の最終報告案では、すべての違法ダウンロードに刑事罰を課すことを求めていたが、委員から慎重な対応を求める意見が相次いだため、事務局が調整を続けていた。修正した最終報告書は13日に開催される著作権分科会で承認されるとみられ、文化庁はこれを踏まえた著作権法改正案を今国会に提出する見通し。
こうした動きに対し、情報法制研究所(JILS)は8日、「ダウンロード違法化の全著作物拡大に対する懸念表明と提言」を発表。提言書の中で、ダウンロードの違法化の対象となる範囲を「原作のまま」のものに限り、加えて、「著作権者の利益が不当に害される場合」に限るよう求めた。たとえばネット上での不正・犯罪行為の検証に関連したダウンロードもできなくなるなど、対象範囲を限定しないことによる「副作用」が生ずることなどを理由に挙げている。
国内企業に関連するニュースでは、米国時間8日に米デラウェア州の連邦裁判所陪審団が、武田薬品工業傘下のバクスアルタに対し、独バイエルが保有する血友病治療薬の特許を侵害したとして、1億5519万ドル(約170億円)の支払いを命じる評決を下した。武田薬品は1月にアイルランドの製薬会社であるシャイアーを約6兆円で買収しており、同社の子会社であるバスアルクも傘下に収めていた。
国内ではこのほか、コツメカワウソをモチーフにしたマスコットキャラクターをめぐる、著作権絡みの騒動が勃発。元祖とされるマスコットキャラクター「しんじょう君」を保有する高知県須崎市が6日、同じデザイナーが担当して後から生まれたゆるキャラ「ちぃたん☆」を管理する芸能事務所に対し、著作権を侵害しているとして活動停止もしくはデザインの変更を求めことを明らかにした。
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