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1月26日
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3月4日(月)配信
先週(2月25日〜3月3日)は、特許法の改正案、意匠法の改正案などが3月1日に閣議決定された。特許法の改正案では、特許の侵害が疑われる企業への立ち入り検査制度の創設のほか、損害賠償額の算定方法の見直しなどが盛り込まれた。意匠法の改正案では、デジタル化されたデザインや商標を保護しやすくする措置などが設けられた。著作権法改正案をめぐっては、漫画家らから修正を求める声が上がっていることを受け、1日に開かれた自民党の総務会で了承が先送りされたことが報じられた。
米中交渉をめぐっては、米通称代表部(USTR)のライトハイザー代表が米国時間2月27日の米下院公聴会で、合意に拘束力を持たせる必要があることを強調。合意後も知財侵害や構造問題に関する合意事項を中国が遵守しているかを確認する二国間の会合を定期的に開くことなどを求めていると明かした。
政府は3月1日、特許法の改正案、意匠法の改正案などを閣議決定した。これらの法案は、会期中の通常国会に提出される。
特許法の改正は、オープンイノベーションが進む中、中小・ベンチャー企業の特許を守れるよう、訴訟制度を改善することを目指して行う。改正案には、特許権を侵害したことが疑われる側の工場などに、裁判所が指名した専門家が立ち入り調査を行うことができる制度の創設を盛り込んだ。さらに、損害賠償額の算定方法も見直す。権利を侵害した側が販売した数量のうち、特許権者の生産能力を超えるとしてこれまで賠償が否定されていた部分について、侵害した側にライセンスしたものとみなし、損害賠償を請求できるようにする。ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たっては、特許権侵害があったことを前提に交渉した場合に決まると考えれられる額を考慮する。
損害賠償額の算定歩法の見直しについては、実用新案法、意匠法、商標法においても同じ内容の改正を行う。
意匠法の改正は、デジタル技術を活用したデザインの保護や、企業によるブランド構築を後押しすることが目的。改正案では、クラウド上に保存されてネットワーク上で提供される画像や道路に投影された画像といった、物品に記録・表示されていない画像まで保護対象を拡充している。建設物の外観・内装デザインも保護対象に入れる。また、関連意匠の出願可能期間について、「本意匠の出願日から10年以内」までに延長する。これまでは、本意匠の登録公表日まで(8ヶ月程度)だった。複数の意匠の一括出願も認めるほか、意匠権の存続期間を「登録日から20年」から「出願日から25年」に変更する。
ダウンロード違法化の対象範囲を拡大する著作権法改正案をめぐっては、3月1日に自民党が開いた総務会で了承が先送りされたことを2日付朝日新聞が報じた。同開催案をめぐては、漫画家などが表現の萎縮につながるとして修正を求めている。こうした事情を踏まえ、同総務会では「直接かかわっている人の懸念を払拭していく必要がある」との判断で一致したという。
この問題では、国内の漫画家で構成される日本漫画家協会が2月27日、改正案の「改善」を求める声明を発表していた。声明では改正案について、「脱法サイト」対策の取り組みであるとの理解から「前向きに改善を提言する」とした上で、繰り返し複製する「反復行為」を刑事罰の対象とすること、原作をまるごと複製する行為や、権利者の利益が不当に害される場合に民事的規制と刑事罰の対象とすることなどを提言している。その上で、表現や研究などの萎縮や人権の制約につながることがないように審議することを求めている。
2月28日には複数のメディアが、韓国最高裁が元徴用工らの訴訟で三菱重工業に賠償を命じる確定判決を下したことに関連し、原告側の代理人が同日、韓国特許庁に登録されている同社の特許の差し押さえを近く裁判所に申請する方針を明らかにしたと報じた。
このほか、3月1日付産経新聞が、政府の知的財産戦略本部が4月にも、小中学校と高校で使用できる知財創造教育用の教材案と指導案を公表すると伝えた。
米中間の貿易交渉については、米国時間2月27日の米下院の公聴会で、米通称代表部(USTR)のライトハイザー代表が、実効性のある合意とする必要性を強調。知的財産の侵害を含む中国が抱える構造問題について、米中が実務者レベルで協議する場を定期的に設けるなど、中国が合意事項を遵守しているかを監視する枠組みが必要だとの考えを明らかにした。
米国は、当初3月1日としていた交渉期限を延長。トランプ大統領は、交渉がさらに進展した場合、3月中にもフロリダ州にある自身の別荘で習近平国家主席と首脳会談を開催し、最終合意を結ぶ意向を示している。
このほか、テッククランチ(日本版)が3月1日付で、ブラックベリーがツイッターを特許侵害の疑いで提訴したと伝えた。同社はツイッターが自社の6件の特許を侵害し続けていると主張。その内容には、プッシュ通知、メッセージスレッドのサイレンス通知、モバイル広告技術などが含まれているという
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