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11月24日
5月29日(水)配信
【事件概要】
「本件審判の請求は、成り立たない。」旨判断した拒絶査定不服審判の審決が維持された事例。
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【主な争点】
「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって、切断せずに組み合わされ、その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ天窓、縦窓、流体加熱、野菜の栽培を成し得ることを特徴とするソーラーシステム。」という本願発明における「天窓、縦窓、流体加熱、野菜の栽培を成し得る」という構成要件の解釈。
【結論】
「天窓、縦窓、流体加熱、野菜の栽培」という部分につき、「及び」又は「又は」などの4者の関係性を示す文言は存在しないから、一つの構成において「天窓、縦窓、流体加熱、野菜の栽培」の全てを「成し得る」ものを指すのか、そのどれかを「成し得る」各構成を総称しているのか、また、特定の事項を「成し得る」構成とは、特定の事項が可能である構成を指すのか、特定の事項を達成する具体的な手段を含む構成を指すのかは、必ずしも明確ではない。・・・本願明細書の記載を参酌すると、・・・「天窓、縦窓、流体加熱、野菜の栽培を成し得る」という部分は、「ソーラーパネルを構成するセル素子がウエハのままの円形の状態であって、切断せずに組み合わされ、その丸いウエハ間の空白部分から日光を通過させ」るとの一つの構成において、「天窓、縦窓、流体加熱、野菜の栽培」の全てを可能にするものを指すものと解される。
【コメント】
原告(出願人)は、「本願発明は流体加熱や野菜の栽培に関する構成を含むものである」旨主張したが、判決は、文言解釈として不自然であるとしてその主張を斥けた。進歩性の判断の前提となる本願発明と引用発明との一致点・相違点の認定の妥当性が争点になるケースとしては、本願発明の解釈の相違に起因するものと、引用例の記載事項の解釈(引用発明の特定)に起因するものとがあるが、本件は前者に属するものである。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 小曳満昭)
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