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3月23日
8月28日(水)配信
【事件概要】
本件は、特許無効審判請求を不成立とした審決が取り消された事例である。
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【争点】
争点は、甲41の4に記載されている「つりピン」は、本件原出願日前に公然知られた発明であるか否かである。
【結論】
甲41の4には、「2006年販売促進キャンペーン」、「キャンペーン期間・予約5月末まで・納品5月20日~9月末」、「有限会社シンワ」、「つりピンロールバラ色 抜落防止対策品」、・・・などの記載があり、複数の種類の「つりピン」が記載されていることが認められる。そして、甲41の4の上記記載内容、特に「販売促進キャンペーン」、「納品5月20日~」と記載されていることからすると、甲41の4と同じ書面が、平成18年5月20日以前に、原告シンワにより、ホタテ養殖業者等の相当数の見込み客に配布されていたことを推認することができる。また、甲41の4に記載されている「つりピン」は、本件発明1の構成要件を全て充足すると認められる。したがって、本件発明1は、本件原出願日である平成18年5月24日よりも前に日本国内において公然知られた発明であったということができ、新規性を欠き、特許を受けることができない。
【コメント】
被告は、2005年のサンプルシート(甲3)や2009年のサンプルシート(甲5)には記載のない納品日(納品5月20日~9月末)が、甲41の4のサンプルシートにだけあるのは不自然であり、甲41の4は、平成18年5月20日以前に頒布されたことを裏付けるに足りる証拠ではない旨主張したが、判決は、甲41の4は、期間を区切って特別に有利な価格を提示することを目的に含む、販売促進キャンペーン用のチラシであると認められるから、表題から認められる文書の目的の違いを考えると、①甲41の4には納品日の記載があり、甲3及び5に納品日の記載がないことは不自然ではないとして、被告の主張を採用しなかった。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 阿部寛)
書誌等(裁判所ウェブサイトまたは知的財産高等裁判所ウェブサイト)
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