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1月19日
10月9日(水)配信
【事件概要】
原告が有する画像処理用LED照明装置に係る商標権で、①「LIGHTING SOLUTION」の文字からなる表示と、②「LDR」(標準文字)などの3文字からなる表示について、被告が①②と同一または類似する標章を商標として使用していることを理由に、その使用差止め、損害賠償等を請求した事案である。
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【争点】
原告各商標と被告各標章の類否、及び被告標章の商標的使用の有無等。
【判決要旨】
(1)①について
被告標章1は、「LED」という文字列の右横上段に「画像処理用LED照明装置」、下段に「LIGHTING SOLUTION」という文字列が配置されているところ、「LED」及び「画像処理用LED照明装置」という部分は、製品の種類を表す一般名称であって独自性がなく、本件カタログの内容を記載するものにすぎず、特に特徴のある字体や装飾もないため、出所識別機能があるとはいえない。他方、「LIGHTING SOLUTION」の部分については、ありふれた用語とはいえず、「照明に関する課題の解決方法」との観念を生じさせることから、本件カタログを目にした需要者は、この部分に注目すると考えられる。
本件商標1(①)は、被告標章1の「LIGHTING SOLUTION」の部分と対比すべきところ、両者は、同じ英単語の組み合わせであって、字体、色の系統も同一であるから外観は類似し、呼称も同一であり、一般に知られた「LIGHTING」、「SOLUTION」の英単語から生じる「照明に関する課題の解決方法」との観念を生じさせる点でも同一というべきである。
したがって、①と被告標章1は、外観・称呼・観念が同一である。
(2)②について
被告標章2(「LED-40」など)は、被告の製造販売する画像処理用LED照明装置のために用いられる極めて多数の型式のうちごく一部の型式のシリーズ名および発光色等を表す表示にすぎず、商品の出所を表示したり顧客を吸引したりする機能を有しないから、商標的使用がなされていないとして、商標法26条1項6号の抗弁が成立すると判断した。
【コメント】
本判決は、被告標章1の「LED」や「画像処理用LED照明装置」という部分は、製品の種類を表す一般名称であり独自性がないことを理由に、出所識別機能がないと判断した。また、被告標章2についてはカタログに表示されておらず、被告商品の内部で商品区別するための型式名としての使用にとどまると判断された。需要者からみて商品の出所を表示していると認識されるかという視点が重要である。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁護士 石川裕彬)
書誌等(裁判所ウェブサイトまたは知的財産高等裁判所ウェブサイト)
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