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大阪高裁平成29年(ネ)第1147号(平成29年11月16日)

11月6日(水)配信

 

  • 事案の概要と争点

 本件は、フィットネスプログラム「Ritmix」を中国、台湾地域で運営する株式会社Xと、フィットネス関係の衣料品を製造・販売する株式会社Yは、フィットネスウェアを共同して製造・販売する等の協議を行っていた。Yは、同地域を担当するRitmixのマスタートレーナーであるP1の写真撮影を行うなどして、Yのウェアを着用したP1の画像をホームページ等に掲載した。その後、YはXに対し「御通知」と題する書面を送付し、Xとの取引を終了し、契約締結を見送る旨を伝えた。Yは、その後も、Yのウェアを着用したP1の画像をホームページ等に掲載した。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

 

 

 XはYに対し、XがRitmixのマスタートレーナーのパブリシティ権について、独占的な利用許諾を受けており、XとYとの間の取引終了後も、YがP1の画像をホームページ等に掲載し続けていることは、当該パブリシティ権の侵害であって、Xに損害を被らせたとして、不法行為に基づく損害賠償請求を請求した。大阪地方裁判所がこれを認容したため、Yが控訴し、大阪高等裁判所は、今回の判断をくだし、Yの控訴を棄却した。

 

  • 裁判所の判断

(1)パブリシティ権侵害の成否

 裁判所は、最判平24年2月2日民衆66巻2号89頁の判旨を確認し、パブリシティ権の利用許諾の有効性については「パブリシティ権の利用許諾契約は不合理なものであるとはいえず、公序良俗違反となるものではない。」とし、また、第三者による肖像等の無断使用が独占的利用許諾権者との関係で不法行為となる場合については、「少なくとも警告等をしてもなお、当該第三者が利用を継続するような場合には、債券侵害としての故意が認められ、同許諾を受けた者との関係でも不法行為が成立するというべきである。」と述べた。

 その上で、本件について、P1の肖像等に顧客吸引力があることを事実関係に照らして肯定し、Yによるパブリシティ権侵害を認めた。

 

(2)損害額

 裁判所は、XがYの行為により、P1の「画像の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭に相当する額の損害を受けたものと認められる。」と述べたうえで、本件の事実関係に照らし、1カ月あたりの使用許諾料を10万円と判断し、画像を無断で掲載した期間と認められる11カ月間の合計で110万円が損害であると述べた。

 

  • コメント

 本判決は、事例判断ではあるが、パブリシティ権の独占的な利用許諾を受けた者が、いかなる場合に当該パブリシティ権を侵害するものに対して損害賠償請求できるかについて判断を示しており、実務の参考になる。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁護士 寺下雄介)