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11月24日
4月1日(水)配信
無効審判においてサポート要件違反と判断した審決を知財高裁が支持した事例。
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本件明細書に記載された「低い摩損度」という発明が解決しようとする課題について、本件発明に係る錠剤の12個中7個に「明らかなひび・割れ・欠け」が認められた実施例4に基づき上記課題を解決できると認識できるか否かが争点となった。
「明らかなひび・割れ・欠け」の個数が12錠中7錠であり、摩損度が0.4%とする実施例4の摩損度の評価の記載を、日本薬局方参考情報における錠剤の摩損度試験法で「明らかなひび・割れ・欠け」が見られる錠剤があるときはその試料は不適合であるとされていることとの関係で一義的に整合するように理解することができない。・・・どのような方法で摩損度を測定した結果0.4%という数値を得たのかに関する説明はなく、この点についての当業者の技術常識を示す的確な証拠もない。・・・本件発明がサポート要件に適合するものということはできない。
上記課題と実施例の記載の整合性を検証し、例えば、「低い摩損度」が、摩損度試験の質量減少度を意味する旨を本件明細書に追記しておけば、「明らかなひび・割れ・欠け」が12錠中7錠に認められるものの、「摩損度0.4%」という記載により、サポート要件に適合する旨の判断がなされたかもしれない。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 田村 明照)
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