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不正競争 平成29(ワ)7764「口コミサイト事件」損害賠償請求事件(大阪地方裁判所 平成31年4月11日)

5月27日(水)配信

 

事件の概要

 外装塗装リフォーム業者であるXが、同業者であるYが運営する口コミサイトにおいて、Yをランキングの1 位と表示したことは、Yの提供するサービスの質、内容が全国の外装塗装業者の中で最も優良であるとして高く評価されているかのように表示をしていた点で、不正競争防止法2113号(現行法同項20号)の「役務の質、内容・・・について誤認させるような表示」に該当するとして、同法4条に基づいて損害賠償等を請求した事案である。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

争点

 口コミサイトにおける被告がランキング1 位であるとの表示が、不正競争防止法2113号(現行法同項20号)の「役務、内容・・・について誤認させるような表示」に該当するか。

 

判決要旨

 本判決は、本件サイトにおけるランキングで1位と表示することは、需要者に対し、不特定多数の施主等の意見を集約した結果として、その提供するサービスの質、内容が掲載業者の中で最も優良であると評価されたことを表示する点で、役務の質、内容の表示に当たるとした。そのうえで、①投稿日が本件サイトの公開日より前のものが複数存在すること、②投稿内容が、投稿フォームからすれば施主等が入力するはずのないものになっている投稿が存在することを考慮して、被告が1 位であるというランキング表示は、実際の口コミ件数および内容に基づくものとの間に乖離があることから、被告の提供する「役務、内容・・・について誤認させるような表示」に当たると判断した。

また、本判決は、被告による本件の不正競争行為は、被告の提供するサービスの質、内容が、本件掲載業者一覧ページに掲載されている業者の中で主観的な意味で最も優良であると評価されていると誤認させるものであるにすぎず、原告の提供するサービスの質、内容についての評価を低下させるものではないから、原告の営業上の信用が毀損されたと認めることはできないと判断した。なお、本判決は、本件ランキング表示の差止めを求めるためにも本件第1訴訟の提起が必要であったとし、本件第1訴訟のために必要となった費用の一部については、被告による品質等誤認行為と相当因果関係を認めるのが相当であると判断し損害と認めた。

 

コメント

 本判決は、ステルスマーケティング(「消費者に宣伝と気づかれないようにされる宣伝行為」1)に関する事案で、被告の表示と、実際の口コミ件数及び内容について乖離がある点を問題としている。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁護士 石川裕彬)

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