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1月19日
6月10日(水)配信
拒絶査定不服審判において進歩性欠如と判断した審決を知財高裁が取り消した事例。
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相違点2(ボタンがはまり込む切欠き状の部分について、本件は、全ての側縁が閉じた縦状の穴であるボタン穴6であるのに対し、引用発明1は、下縁から凹状に切欠いたボタン係合部である点)に関して、引用発明1(主引例)に甲4発明(副引例)を組み合わせることができるか否かが争点となった。
引用発明1と甲4発明とは、発明の課題や作用・機能が大きく異なるものであるから、甲1に接した当業者が、甲4の存在を認識していたとしても、甲4に記載された装身具取付台の構成から、「細幅の係止導孔(3)を有する円形の釦挿通孔(2)」の形状のみを取り出し、これを引用発明1のボタン係合部19における切欠き状の部分の具体的な形状として採用することは、当業者が容易に想到できたものであるとは認め難く、むしろ阻害要因があるといえる。
甲4発明は、ブローチ等の装身具を衣服の損傷なく止着する取付台を提供することを課題とし、引用発明1や本件のような簡易ネクタイを着用する際の位置ずれ等の固有の問題を指摘するものでもなく、装身具を取付台に着脱する実現手段(作用・機能)においても凹状に切欠いた引用発明1と大きく異なることが指摘されている。相違点に係る副引例の検討においては、その形状のみならず、その使用の態様にも留意する必要がある。むしろ周知・慣用の固着手段の適用と説示したほうが裁判所に支持されたのかもしれない。
本件
甲4発明
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 田村 明照)
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