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3月23日
9月16日(水)配信
【事件概要】
この事件は、特許を取消した異議決定の取消しを求めた事案である。
裁判所は異議決定の一部を取消した。
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【主な争点】
本件発明2と甲1発明1との相違点3が当業者に容易想到であるか否か。
【結論】
甲1には、甲1発明1において、ポリイミド樹脂膜の支持体への密着性を向上させることができるカップリング剤として、本件発明2記載のアルコキシシラン化合物は記載されていない。また、本件発明2記載のアルコキシシラン化合物がキャリア基板に形成したポリイミド樹脂膜上に回路を形成後、キャリア基板から剥離するフレキシブルデバイス基板形成用のポリアミド樹脂組成物から形成した樹脂膜のキャリア基板への密着性を向上させるのに適するものであることが本件優先日の当業者の技術常識であったことを認めることができる証拠はない。
そうすると、甲1に接した当業者が、本件発明2に記載されたアルコキシシラン化合物を選択する動機付けがあるとは認められないから、相違点3が容易想到であると認めることはできない。
…、甲22には、甲1や本件発明2に記載された上記のアルコキシシラン化合物が、ポリイミドに添加されるシランカップリング剤であるとの記載はない。
そうすると、甲22を根拠に、本件発明2記載のアルコキシシラン化合物をポリイミドに添加することが容易想到であると認めることはできない。
甲2において、シランカップリング剤は、…、本件発明2とは異なる目的のために配合されている。…。
以上によると、甲2~6によって、甲2~6にされたアルコキシシラン化合物を本件発明2のために用いるという動機付けがあるとは認められないから、相違点3が容易想到であると認めることはできない。
…、本件発明2は、当業者が容易に発明をすることができたものと認めることはできないから、効果の点について判断するまでもなく、取消事由2-2は理由がある。
【コメント】
被告(特許庁)は、相違点3が容易想到である根拠として、「甲22の記載によると、本件発明2記載のアルコキシシラン化合物は、いずれも、…、シランカップリング剤(接着促進剤)として汎用のものであるとともに、甲2~6の記載から、他の基材に対する接着性改善のためにポリイミド樹脂(前駆体)に対して添加されるシラン化合物として当業者に公知なものである」ことを指摘したが、上述のとおり、裁判所は、これらの証拠に記載のものは本件発明2と同じ目的でポリイミドに添加するものではないとして被告の主張を採用しなかった。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 吉住 和之)
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