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特許 令和元年(行ケ)第10159号「X線透視撮影装置」(知的財産高等裁判所 令和3年4月15日)

6月16日(水)配信

 

【事件概要】 請求項1に係る発明の進歩性を認めなかった拒絶査定不服審判の審決が取消された事例。
判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】 本件の争点は、審決における容易想到性の判断に誤りがあるか否かであるが、以下では、その前提となっている副引用例(引用文献2)に記載された技術的事項の認定に誤りについての判断を紹介する。

 

【結論】 引用文献2には、「HMDを装着し操作者を兼ねた術者が見るHMDの画像表示部に表示されるX線画像と実際の患者の患部の位置把握を容易にするために、上記術者の床面上の位置情報に基づいて上記X線画像の回転処理を行う」との技術事項(以下「技術事項2’」という。)が記載されているものと認められるべきである。本件審決は、回転処理されるX線の画像は術者が装着したHMDの画像であること、操作者を兼ねた術者の位置情報が床面(センサ)からのものであるという構成を捨象して、「X線画像を見る者によるX線画像と実際の患者の位置把握を容易にするために、X線画像を見る者の位置情報に基づいてX線画像302の回転処理を行う」という技術事項(技術事項2)を認定したものであり、技術事項の範囲を不当に抽象化、拡大化するものといえ、誤りである。

 

【コメント】 発明の進歩性を否定しようとする者には、引用文献中の自己に都合の良い記載のみが目に留まり勝ちである。そのため、発明の進歩性を否定しようとする者の論理においては、引用文献中の自己に都合の悪い記載が無視され、結果として引用文献に開示された技術事項が不当に抽象化、拡大化されて引用されることがある。本件審決の特に技術事項2の認定もそのようなケースに当てはまるように思われ、本判決は、そのようなケースに遭遇した場合の反論の参考になると思われる。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 小曳 満昭)

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