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特許 令和元年(行ケ)第10120号「油冷式スクリュ圧縮機」(知的財産高等裁判所 令和3年5月19日)

8月4日(水)配信

 

【事件概要】
 本件は、無効審判において、「本件審判の請求は、成り立たない。」とした審決が取り消された事例である。
判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】
 争点は、本件特許発明の、バランスピストンの仕切り壁側の空間に、油溜まり部の油を加圧することなく導く均圧流路8を設けることが容易か否かである。

 

【結論】
 甲1発明は、高圧ガスから分離されて冷却されてコンプレツサへと再循環される液体を、ポンプを経由してスラストピストン室に導く経路を設けて形成した液体噴射スクリユウコンプレツサであって、逆スラスト力の発生という技術的課題を有しており、そして、スクリュ圧縮機において、バランスピストンに圧力を作用させるための空間に、圧縮機から回収された油を加圧することなく導く配管を設けることは周知の技術事項であるから、甲1発明の上記課題を解決するために、上記の周知の技術事項を適用して、スラストピストン室へ液体を導く経路を非加圧の経路とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。

(本件特許発明)

【コメント】
 被告は、スラストピストン室についてのみ、ポンプによって加圧されない液体を、空所を介することなく供給するという構成は、甲1発明の技術思想に反するものであって、適用が排斥されていると主張したが、判決は、被告の主張のとおり解する余地があるとしても、ポンプにより圧力が加えられない液体をスラストピストン室に供給する非加圧の経路を設ける場合に、これを、ポンプ及び空所を経由しないように設けることまでもが排斥されていると解することはできないとして、被告の上記主張を採用しなかった。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 阿部 寛)

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