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特許 令和2年(行ケ)第10011号「カテーテル組立体」(知的財産高等裁判所 令和3年2月17日)

11月17日(水)配信

 

【事件概要】
 本件は、拒絶査定不服審判において、「本件審判の請求は、成り立たない。」とした審決が取り消された事例である。
判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】
 争点は、引用文献には、隔壁の遠位部に「流入及び流出を可能とするように開口可能なスリットを有して」いるとの本願発明と同じ構成が記載されているか否かである。

 

【結論】
 本件審決は、引用文献には、隔壁の遠位部に「流入及び流出を可能とするように開口可能なスリットを有して」いるとの本願発明と同じ技術的事項が記載されていると認定したが、判決は、引用文献記載の隔壁410は、針の保管及び使用中に針の周りにシールを提供し、針が引き出された場合に密閉されるように隔壁アセンブリ内に設けられたものであって、隔壁410の遠位部460に備えたスリット462は、そこを通るイントロデューサ針の挿入を簡単にするために設けられたものであるから、隔壁410の遠位部460は、流体の「流入及び流出を可能とするように開口可能なスリットを有して」いると認めることはできず、引用文献記載のカテーテルは、上記本件構成を有しない点で本願発明と相違し、この点において、本件審決には、一致点の認定の誤り及び相違点の看過があると判示した。
(引用文献)

【コメント】
 被告は、引用文献には、カテーテルについて、流体を患者に注入することができるとともに、患者の循環系からの流体の除去を可能にするものであることが記載されており、当業者は、引用文献記載のカテーテルの「隔壁」の遠位部は、本件構成に相当すると把握するから、本件審決における一致点の認定に誤りはない旨主張したが、判決は、引用文献記載のカテーテルは、「循環系からの流体の除去等」を可能にするものであると理解できるが、上記記載は、隔壁の遠位部又はその遠位部に設けられたスリットが流体の「流入及び流出を可能とするように開口可能」な構成であることを示唆するものとはいえないとして被告の主張を採用しなかった。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 阿部 寛)

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