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特許 令和2年(行ケ)第10128号「安否確認システム、受信機、安否確認方法及びプログラム」(知的財産高等裁判所 令和4年1月11日)

4月6日(水)配信

 

【事件概要】
 本願発明は容易想到であるとした拒絶査定不服審判の審決が取り消された事例。
判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】
 引用発明の「住居内で電源タップ4を一意に識別する符号である検出部ID」は、本願発明の「設置された施設及び施設内での設置箇所に係るID番号」に相当するか。

 

【結論】
 本願発明は、「設置された施設及び施設内での設置箇所に係るID番号」(各部屋を識別できる情報)に基づいて、照明装置の設置箇所を識別し、設置箇所に応じたルールに従って安否判定を行うものであり、安否判定に、設置箇所という位置情報を利用する。
 引用発明の「検出部ID」は、住居内で「電源タップ4」を一意に識別する符号であるが、引用文献1には、「検出部ID」が「電源タップ4」の設置箇所を表す情報と関連することは記載されていない。電源タップをどこに設置してどのような電気機器に接続するかは、電源タップを利用する者が任意に決められるから、「電源タップ4」を一意に識別しても、「電源タップ4」の設置箇所も識別できるとする根拠は見出せない。「検出部ID」から設置箇所を識別するためには、「検出部ID」と「電源タップ4」の設置箇所とを対応付けた何らかの付加的情報が必要である。
 以上によれば、引用発明の「検出部ID」は、「電源タップ4」の住居内での設置箇所を識別するものではないから、本願発明の位置情報のうち、住居内における設置箇所を特定する「内部管理ID番号」とは技術的意義を異にする。審決は、引用発明の「内部管理ID番号」に相当するとして、「施設内での設置箇所に係るID番号」が安否確認に用いられることを一致点の認定に含めており、この認定には誤りがある。

 

【コメント】
 引用発明において、電気機器を照明器具に限定した実施形態を考えると、本願発明に類似するようにも見えるが、人の安否確認のために、本願発明は居間、トイレ、寝室等の各部屋の照明装置の使用状況(人がどこにいるか)に着目するのに対し、引用発明は電源タップに接続されたテレビ、冷蔵庫、エアコン、掃除機、照明器具、電気ポット等の各電気機器の稼働状況(人が何を使っているか)に着目する。両発明は、安否判定のために何に着目するかという基本的な発想が相違しており、本願発明の「ID番号」と引用発明の「検出部ID」との技術的意義の違いは、この基本的な発想の相違を反映したものと言える。審決は、この相違を見逃したため、一致点の認定を誤ったと思われる。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 小林 紀史)

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