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先週の知財ニューストピックス(2019年3月11日〜3月17日)

3月18日(月)配信

 先週(3月11日〜17日)は、違法ダウンロードの対象範囲を拡大する著作権法改正案について、政府が今国会の提出を見送り、内容を再検討するとのニュースが大きく報じられた。国内ではこのほか、産業界や法務省、最高裁が、特許侵害などの知財訴訟で英語の使用を認める「国際裁判部」の新設を目指すとの報道があった。
 海外では、企業間での特許訴訟に関連する話題が多かった。マイクロソフトが鴻海精密工業を特許のライセンス使用料が未払いだとして米連邦地裁に提訴したほか、クアルコムとアップルの間の一連の訴訟にも判決が下されるなどの動きがあった。

著作権法改正案、今国会提出見送りへ

 違法ダウンロードの対象範囲を拡大する著作権法改正案について、政府は13日、今国会への提出を見送ることを決めた。有識者や漫画家などから懸念する声が相次いだことを受け、国民の理解を偉られていないと判断した。今後は、漫画家などの利害関係者も議論に加えた上で、内容を再検討する考えだ。
 柴山文部科学大臣は15日の記者会見で、改正法案の提出に向けた今回の議論について、「しっかりと利害関係者を巻き込み、オープンな形で行うことに少し欠けていた部分があったのかなと、今となっては反省している」と述べた。その上で、「海賊版対策は喫緊の課題だ」とし、幅広い関係者に参加してもらう形で、再度対応を検討し直す考えを示した。

公取委、クアルコム特許契約の排除命令を取消

 公正取引委員会は15日、CDMA携帯無線通信に関わる特許の使用契約をめぐり、独占禁止法違反で排除措置命令を受けていたクアルコムに対する審判で、「公正競争阻害生を有すると認めるに足る証拠はない」として、2009年に下した排除措置命令を取り消す審決を行ったと発表した(審決は3月13日付)。
 公取委は09年9月28日に下した排除措置命令で、クアルコムが国内の携帯メーカーとの契約に、相手の特許を無償で使用できる「無償許諾」や、契約を結んだ各社が互いに特許を侵害しても訴訟手段に訴えない「非係争」の条項を盛り込んだ点を独禁法違反に当たるとして、契約から削除するよう命じていた。クアルコムはこれを不服として審判で命令を取り消すよう求めていた。

英語で知財訴訟を可能に、国内で紛争対応しやすく

 日本経済新聞は3月15日付で、産業界と法務省、最高裁が参加する協議会が、知的財産をめぐるグローバルな企業間紛争を国内で解決しやすくする制度づくりに乗り出すと報じた。日本企業が国内で外国企業との紛争に対応しやすくなるよう、特許侵害などの知財訴訟で英語の使用を認める「国際裁判部」の新設を検討するという。知財高裁の専門部として新設することを目指す。2019年度中にも提言をまとめ、政府に法改正などを働きかける考えだとしている。

マイクロソフトが鴻海を提訴、特許使用料めぐり

 海外では、有力企業間での特許訴訟に関する話題が相次いで伝えられた。複数のメディアによると、マイクロソフトが米国時間8日、特許のライセンス使用料が未払いになっているとして、鴻海精密工業をカリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。12日付のNAA ASIAによると、マイクロソフトは訴状で、同社は鴻海の中国子会社である富士康科技集団と2013年に特許に関する契約を交わしたが、特定のマイクロソフト製品に関する特許について、富士康が利用状況の定期報告をしておらず、期日に支払うべき特許使用料も支払っていないとしている。
 鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は12日に開いた会見で、マイクロソフトの動きに対し激しい反発を示したと伝えられている。

クアルコム対アップルの一連の訴訟に進展

 クアルコムとアップルの訴訟問題でも進展があった。ロイター通信は米国時間14日付で、アップルが半導体の主要供給元だったクアルコムに対し、特許料の一部払い戻し(リベート)を求めた訴訟で、カリフォルニア州の連邦地裁が同日、アップルの主張を認める仮判断を下したと伝えた。クアルコムには未払いとなっている10億ドル近いリベートを支払う義務があるとの判断が示されたという。

 また、同15日には、アップルが3つの特許を侵害しているとしてクアルコムが損害賠償を求めていた裁判で、サンディエゴの連邦差裁判所がクアルコムの訴えを認め、アップルに約3100万ドルの損害賠償支払いを命じる判決を下したとロイター通信が報じた。

中国全人代、外商投資法を採択

 中国の全国人民代表大会(全人代)は15日、外国企業の技術を中国の合弁相手などに強制的に移転させることを禁じる「外商投資法」を採択した。来年1月1日から施行される。技術移転の強要は、米国との貿易交渉において争点の1つとなっており、貿易交渉の進展をにらんだ動きとみられている。

 米中貿易交渉については、米国時間13日にトランプ大統領がホワイトハウスで記者団に対し、交渉を「急いでいない」と述べたことが報じられ、早期の合意よりも合意内容を重視する米政府の姿勢を鮮明にした。ロイター通信は現地13日付で、トランプ氏が「交渉は極めて順調に進捗していると考えている。(合意が)いつになるのか様子をみたい」とした上で、「(合意は)急いでいない。米国にとり正しいディール(取引)である必要があり、そうればければディールは行わない」と述べたと伝えている。

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