先週の知財ニューストピックス（1月13日〜1月19日）

　先週（1月13日〜1月19日）は、特許庁が有識者会議で、AIを使った発明の保護のあり方について議論を始めたニュースなどが伝わった。

特許庁、生成AI使った発明の保護のあり方など議論

　特許庁は1月17日に有識者会議を開催し、特許法の見直しに向けた議論のテーマとして、AIを活用した発明を出願した人に特許を認めるかという問題を挙げた。AI技術の急速な発達を受け、発明を保護する上で必要な制度的措置について議論を進める。米国特許商標庁（USPTO）が示すガイダンスなどを含め、国際的な動向も踏まえて検討する予定だ。
　さらに、「ネットワーク関連発明」などについて、海外サーバーを介したサービスでも、実質的に国内サービスで使用され、技術的効果や経済的効果が国内で発生してる場合などには、技術の「国内での実施行為」と見直すか否かも論点にすべきと提案した。
　このほか、DX時代にふさわしい制度的措置として、「公報におけるプライバシーの保護」のため、公報に掲載する出願人・権利者の住所表記の仕方を検討する必要があるとした。

【参照ソース・ニュース】

• 産業構造審議会知的財産分科会 第51回特許制度小委員会 議事次第・配布資料一覧（1月17日　特許庁）
• 生成AIを使った開発、特許とれるか議論　特許庁（1月17日　日本経済新聞）
• 生成AI用いた知財侵害を抑制　特許庁、企業の開発保護（2024年11月5日　日本経済新聞）

パナソニックHD、中国オッポ・シャオミとライセンス契約　知財紛争を解決

　パナソニックホールディングスは1月14日、中国のスマホ大手2社との間で、携帯電話やスマートフォンの通信規格に関連する特許についてそれぞれライセンス契約を締結して知財紛争を解決したことを発表した。
　オッポとの間では、セルラー通信規格の必須特許を対象としたグローバル特許クロスライセンス契約を締結したと発表した。これにより、両社が全世界で係争中だった特許紛争が解決した。両社は今後、「知的財産の共同プロジェクトで協力し」ていくとしている。
　さらにシャオミとの間でも、セルラー通信規格必須特許に関するライセンス契約を結んだと発表した。同契約は、パナソニックHDが一部の特許を譲渡した米知財信託会社サン・パテント・トラストも含めた3社間で締結した。これにより、3社は全世界で抱えていた知財紛争の取り下げに合意した。パナソニックHDとシャオミは今後、「相乗効果を生み出す知財コラボレーションの機会を持つ予定」だという。

【参照ソース・ニュース】

• PanasonicとOPPOが、グローバル特許クロスライセンス契約を締結（1月14日　パナソニックグループ）
• Panasonic、SPT、Xiaomiが、セルラー通信規格特許のライセンス契約を締結（1月14日　パナソニックグループ）
• パナHD、オッポ･小米と相互ライセンス契約　通信特許で（1月14日　日本経済新聞）

文化庁、ネット上の著作権侵害に対応　個人クリエイターの弁護士費用支援

　文化庁は1月14日、インターネット上の著作権侵害に対して個人クリエイターなどが権利行使を行う際の費用を支援する事業を開始すると発表した。侵害行為に対する削除申請、侵害者の特定、損害賠償請求といった権利行使をする際に必要となる弁護士費用を支援する。
　支援対象となるのは、文化庁が開設する「インターネット上の海賊版による著作権侵害の相談窓口」に著作権を保有する個人クリエイターなどが相談した際、担当弁護士が「著作権侵害の蓋然性が高い」と判断したケース。弁護士に委任して権利行使を行う際、具体的には「削除請求」「発信者情報開示請求」「損害賠償請求」を行う際の経費を支援する。 支援額の上限は、1件あたり150万円。損害賠償請求に関する経費を含む場合は400万円。なお、申請時に1万1000円の自己負担が必要になる。

【参照ソース・ニュース】

• SARTRAS共通目的事業「インターネット上の著作権侵害等に対する個人クリエイター等による権利行使の支援」を開始します（1月14日　文化庁）
• 文化庁「インターネット上の著作権侵害対策」で個人クリエイター支援事業を発表（1月14日　ASCII.jp）
• 文化庁「インターネット上の著作権侵害等に対する個人クリエイター等による権利行使の支援」開始 弁護士費用等を支援（1月17日　Musicman）

改造「ニンテンドースイッチ」販売か、男を商標法違反容疑で逮捕

　任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」を改造して販売していたとして、高知県警は1月15日、茨城県龍ヶ崎市に住む運送業の男を商標法違反の疑いで逮捕した。コンピュータソフトウェア著作権協会（ACCS）が1月16日に発表した。改造したニンテンドースイッチの販売譲渡にかかわる商標法違反の摘発は全国初だという。
　発表によると、男は海賊版ゲームソフトを起動できるよう改造したニンテンドースイッチ本体を「Nintendo Switch」の登録商標に似た商標を付けて販売譲渡した疑いが持たれている。

【参照ソース・ニュース】

• 改造した「Nintendo Switch」を販売譲渡、商標法違反で男性を逮捕（1月16日　ACCS）
• “改造Switch”販売で逮捕者　「海賊版ゲームソフト」を起動できるように改造か（1月16日　ITmedia NEWS）
• “ニンテンドースイッチ”改造し販売か 商標法違反容疑で逮捕（1月16日　NHK NEWS WEB）
• 全国初摘発「ニンテンドースイッチ」不正改造し販売、「はんだごて」で"基板"など加え"海賊版ゲーム"が無料で遊べる状態に　58歳の男を逮捕「改造機を売ればどのくらい反響があるのか知りたかった」【高知】（1月16日　KUTVテレビ高知）
• 改造ニンテンドースイッチ販売容疑　逮捕の男「反響どれくらいかと」（1月17日　朝日新聞）