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3月2日
8月14日(水)配信
【事案の概要】
本件意匠は、電子タバコケースであり、タバコパッケージを収納する小型収納部と携帯用充電器を収納する大型収納部が二段重ね状に形成されている。原告は、被告各製品は本件意匠権(登録第1557315号)を侵害するとして、製造販売の差止め及び損害賠償を求めた。これに対して被告は先使用権の抗弁を主張し、裁判所はそれを認めて侵害を否定した。
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【本件意匠】
【被告意匠1】
【裁判所の判断とコメント】
本件意匠と被告意匠の類否について、裁判所は公知意匠を参酌して、本件意匠の要部は、各収納部がそこに収納されるタバコパッケージや携帯用充電器の幅や高さとほぼ同じ大きさとされているとともに、背面部の上端を正面まで伸長したベルトについて、その幅が絞り込まれながら大半均一で、小型収納部の幅よりも細くなっており、かつ、伸長が正面中心部までとなっている点にあるとし、被告意匠はその要部を共通にするとして類似すると判断した。
先使用権については、本件意匠の出願日である平成28年6月20日の時点で、原告製品とは関係なく被告各製品のデザインを決定し、その製造委託の発注までを製造会社に対して行うとともに、販売会社から被告製品の販売を受注していたことになるから、少なくとも日本国内において被告意匠の実施である事業の準備をしていたことになるとして、被告は先使用権を有すると判断した。意匠における先使用権の判断事例は少ないので本件は貴重な事例と思われる。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 佐藤英二)
書誌等(裁判所ウェブサイトまたは知的財産高等裁判所ウェブサイト)
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