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意匠 大阪地裁 平成29年(ワ)第5011号「爪切り」意匠権侵害等事件(平成31年3月28日)

10月30日(水)配信

 

【事案の経緯】

 「爪切り」に係る本件意匠権(登録第1437680号)を有する原告は、被告意匠の実施に対して意匠権侵害に基づく差止請求及び損害賠償請求を行った。意匠権侵害の事実については争いがなく、損害額の認定が主要な争点となった。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【裁判所の判断】

 損害額の認定にあたって裁判所は、需要者の共通性などから、侵害者が侵害行為によって利益を受けているときは、その利益額を意匠権者の損害額と推定することを定めた意匠法39条2項を適用した。そして、その推定の覆滅事由を検討した。まず、本件登録意匠が部分意匠であることを考慮し、本件登録意匠の部分意匠に係る部分(実線部分)は、爪切りを手に持ち、あるいは置いて見たときに大きく目立つ点であり、他の爪切りの意匠には見られない特徴点で、爪切り全体の美感に与える影響が大きいとして、被告製品の意匠全体に占める本件意匠権侵害部分の割合は7割と認めるのが相当であるとした。さらに、被告製品を購入した需要者が商品のデザインを重視して商品を購入することが多いとは考え難いことなども推定の一部覆滅事由たり得るとして、推定覆滅率は60%と認めるのが相当とした。その結果、部分意匠の分と掛け合わせて、損害の額は被告製品の利益の額の28%(0.7×0.4)と認定された。

 なお、本判決では別の被告製品について不正競争防止法2条1項1号が適用され、損害額が認定された。

 

【本件登録意匠】

 

【被告意匠】

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 佐藤英二)

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