ホーム > 知財特集記事・知財寄稿記事 > 創英国際特許法律事務所「知財判決ダイジェスト」

この記事をはてなブックマークに追加

特許 平成30年(行ケ)第10149号「冷却空洞が改善されたピストン」(知的財産高等裁判所 令和元年11月13日)

2月5日(水)配信

【事件概要】

 この事件は、拒絶査定不服審判の請求を不成立とした審決の取消しを求める事案である。

 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】

 拒絶理由通知及び拒絶査定の手続において、甲1文献を主引用例とする進歩性欠如の拒絶理由が通知されていたか否か。

 

【結論】

 本件拒絶理由通知書は、理由1では、…、甲1文献には甲12文献と同様の技術事項が記載されていることを前提に、本願発明は、甲12文献及び甲1文献にそれぞれ記載された発明と同一の発明であるから、新規性を欠くと判断し、理由2では、…、本願発明は、甲12文献及び甲1文献にそれぞれに記載された発明から、新規性欠如と同様の理由により進歩性を欠くと判断して、新規性欠如及び進歩性欠如の拒絶理由を通知したものと理解することができる。

 また、本件拒絶査定書では、…、理由2において、…、本願発明は、甲12文献及び甲1文献のそれぞれに記載された発明から進歩性を欠くと判断しており、甲12文献及び甲1文献に記載された発明に基づく進歩性欠如を理由に拒絶査定をしたものと理解することができる。…。

 そうすると、本件拒絶理由通知及び本件拒絶査定の手続においては、記載の仕方が適切とはいえないものの、甲1文献を主引用例とする進歩性欠如の拒絶理由が通知されていたものというべきである。…。

 以上によれば、本件手続が違法であるとまではいえず、取消事由1は、理由がない。

 

【コメント】

 裁判所は、判決において、「原告も、甲12文献及び甲1文献のそれぞれが、進歩性欠如の主引用例となり得ることを前提とした対応をしているものと理解できる。」として、原告の対応も手続が違法であるとまではいえない根拠とした。

 なお、裁判所は、取消事由2(甲1発明に基づく進歩性判断の誤り)についても判断し、理由がないと結論している。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 吉住 和之)

こんな記事も読まれています

特許 令和6年(行ケ)第10023号「情報処理端末」
(知的財産高等裁判所 ...

知財判決ダイジェスト (創英国際特許法律事務所)

特許 令和5年(行ケ)第10132号
「地盤固結材および地盤改良工法」
...

知財判決ダイジェスト (創英国際特許法律事務所)

特許 令和6年(ネ)第10019号
「転がり装置、及びその製造方法」
(...

知財判決ダイジェスト (創英国際特許法律事務所)

知財ニュースまとめ
2月10日

2月16日

先週の知財ニューストピックス(2月10日〜2月16日)

知財ニューストピックス

知財ニュースまとめ
2月3日

2月9日

先週の知財ニューストピックス(2月3日〜2月9日)

知財ニューストピックス

知財ニュースまとめ
1月27日

2月2日

先週の知財ニューストピックス(1月27日〜2月2日)

知財ニューストピックス