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1月19日
2月5日(水)配信
【事件概要】
この事件は、拒絶査定不服審判の請求を不成立とした審決の取消しを求める事案である。
知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。
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【争点】
拒絶理由通知及び拒絶査定の手続において、甲1文献を主引用例とする進歩性欠如の拒絶理由が通知されていたか否か。
【結論】
本件拒絶理由通知書は、理由1では、…、甲1文献には甲12文献と同様の技術事項が記載されていることを前提に、本願発明は、甲12文献及び甲1文献にそれぞれ記載された発明と同一の発明であるから、新規性を欠くと判断し、理由2では、…、本願発明は、甲12文献及び甲1文献にそれぞれに記載された発明から、新規性欠如と同様の理由により進歩性を欠くと判断して、新規性欠如及び進歩性欠如の拒絶理由を通知したものと理解することができる。
また、本件拒絶査定書では、…、理由2において、…、本願発明は、甲12文献及び甲1文献のそれぞれに記載された発明から進歩性を欠くと判断しており、甲12文献及び甲1文献に記載された発明に基づく進歩性欠如を理由に拒絶査定をしたものと理解することができる。…。
そうすると、本件拒絶理由通知及び本件拒絶査定の手続においては、記載の仕方が適切とはいえないものの、甲1文献を主引用例とする進歩性欠如の拒絶理由が通知されていたものというべきである。…。
以上によれば、本件手続が違法であるとまではいえず、取消事由1は、理由がない。
【コメント】
裁判所は、判決において、「原告も、甲12文献及び甲1文献のそれぞれが、進歩性欠如の主引用例となり得ることを前提とした対応をしているものと理解できる。」として、原告の対応も手続が違法であるとまではいえない根拠とした。
なお、裁判所は、取消事由2(甲1発明に基づく進歩性判断の誤り)についても判断し、理由がないと結論している。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 吉住 和之)
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