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特許 令和元年(行ケ)第10129号「ガス器具」
(知的財産高等裁判所 令和2年7月29日)

10月21日(水)配信

 

【事件概要】 拡大先願違反を否定した無効不成立審決が維持された事例。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【主な争点】 甲1発明に存在する隙間1、2が、本件発明にいう「開口」に相当するか否か。

 

【結論】 標準型ガス容器の端部を器具本体外へ出すための開口を、小型ガス容器を器具本体にセットしたときには、空気導入口として活用し、器具本体内に十分な空気の流れを生じさせて冷却性能の向上を図るというのが本件発明の技術思想であると認められる。そうすると、本件発明にいう「開口」とは、小型ガス容器を器具本体にセットしたときに、器具本体内に十分な空気の流れを生じさせて冷却性能を向上させるような「空気導入口」として機能し得る程度のものである必要があるというべきである。

 仮に、甲1の図面から隙間1、2(注:カバー部材5と背面カバー部材6の間に形成される隙間)の存在が認められるとしても、甲1には、隙間1、2から空気を導入して冷却性能の向上を図るという技術思想については全く記載も示唆もない上、図面に描かれた隙間1、2はいずれもごく小さいものであるから、それらに接した当業者が、隙間1、2から空気を導入することで、器具本体内に十分な空気の流れを生じさせて冷却性能の向上を図ることができると認識すると認めることはできない。

 本件発明1と甲1発明は同一又は実質的に同一とはいえない。

 

【コメント】 原告(無効審判請求人)は、「甲1発明は、ボンベ装填部8の背面側を開放するという使用形態が可能な機械的構成を備えている」、「ボンベ装填部8の背面側を開放するという使用形態は周知・慣用技術である」などの主張もしたが、裁判所は、「甲1には、専用小型ガスボンベ2Aの使用中に背面カバー部材を開放することについては何ら記載されておらず、そのことは全く想定されていないというべきである。」として、採用しなかった。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 小曳 満昭)

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