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1月12日
1月15日(水)配信
機能的クレームに基づき充足性ありと判示した地裁判決を支持した事例。
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「【請求項1】PCSK9とLDLRタンパク質の結合を中和することができ、PCSK9との結合に関して、配列番号49のアミノ酸配列からなる重鎖可変領域を含む重鎖と、配列番号23のアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む軽鎖とを含む抗体と競合する、単離されたモノクローナル抗体。」の「競合する」という機能的表現に関して、被告製品の構成要件充足性が争点となった。
本件各発明をいわゆる「機能的クレーム」と呼ぶかはさておき、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず、明細書の記載及び図面を考慮して、そこに開示された技術的思想に基づいて解釈すべきであって、控訴人の主張は、サポート要件又は実施可能要件の問題として検討されるべきものである。・・・被告モノクローナル抗体及び被告製品は、上記技術的思想に基づいて解釈された本件各発明の技術的範囲に属することは、前記のとおりである。・・・本件各明細書には、本件各発明が、参照抗体1又は2と競合する機能のみによって発明を特定するものであることをうかがわせる記載があるとはいえず、そのことを前提に実施例に限定されるとする控訴人の主張は採用できない。
控訴人(原審被告)は、「機能的クレーム」であるから実施例に限定して充足性を判断すべきと主張したが、知財高裁1部は、充実した明細書の記載を考慮して、特許発明を「技術的思想」に基づいて文言通り広範にクレーム解釈すべきと判示した。
また、サポート要件及び実施可能要件に係る無効の抗弁については、平成29年(行ケ)第10225・226号(平成30年12月27日)における知財高裁4部の「理由がない」との判断を踏襲している。
(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 田村 明照)
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